木馬の騎手 (新潮文庫 草 135-6F)

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  • 新潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (220ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101135069

感想・レビュー・書評

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  • もともと短編が好きなこともあるが、つくづく『上手いなぁ』と感嘆の声が洩れてしまう。
    子どもを主人公とした短編ばかりが集められているのだが、三浦さんはことに子ども目線での話の描き方が素晴らしいのだ。
    こどもの目線。こどもの目に映る世界。こどもが気づいていない出来事。読者は、それらから背後にある大人の世界の複雑な事情を読み取ることができる。
    簡潔で美しい文体のなかに詩情が溢れている。
    それでいて、どれも切なく物悲しい。

  • 短編の名手、三浦哲郎。この文庫を一読すれば、その所以をまざまざと感じずにはいられない。

  • 「接吻」「厄落し」「初秋」「遠出」「出刃」が気に入った。
    面白くない話が一つもない。
    こんな短編集滅多にない。
    出会えて感謝。

  • 2012年のセンター試験の追試問題で「メリー・ゴー・ラウンド」に出会いました。
    その話の悲しさに驚き、思わず周囲の友達に読ませたのを覚えています。

    特にそういった描写がないのにぞっとさせられる文章に出会ったのは、小野不由美の「くらのかみ」以来です。
    こちらの文章のほうがより洗練されている気もしますが。。

    この短編集の中では、メリー・ゴー・ラウンドの次に「睡蓮」が好きです。
    真っ暗な背景に、足まで泥に使った子供と、ぽっかり浮かぶ睡蓮の花。そのような情景がありありと思い浮かび、背筋が寒くなります。

    子供の無邪気さ故の恐ろしさが丁寧にかつ簡潔に書かれています。
    ただかわいいだけの存在ではなく、何をしでかすかわからない未知の存在であることを認識させられます。

    他の話も胸を締め付けられるものばかりです。

    短編ですぐ読めるので是非他の人にも読んでほしいですね。
    特に中身のない小説ばかりを読んでいる人には是非。小説とはこういうものだと思ってほしいです。

  • 美しく哀しい物語。

  • どれも子供が主人公なのに、成長とか希望とか、子供に重ねられる肯定的なイメージがまったくない短編の数々。まさしく「文芸」。

  • 「ロボット」を読みました。自分が電気仕掛けで動くと信じて疑わない少年の話。

  • 「メリー・ゴー・ラウンド」が好きだと、好きな人が言っていた。私もそれが1番好きだった。


    子供の心情と「喪失の瞬間」を描くのが上手いと思う。
    文体も大変読みやすく、するすると進められる。

  • 小説家としての三浦の業をこの一冊でみた気がした。
    はじめの「接吻」がほんとうにすごいと思った。
    出稼ぎに出ているお父さんに東北から会いにきたキワは、上野駅のホームで見知らぬ女の人に自分の名前を呼ばれる。
    とにかく三浦哲郎の文章は一切の誤魔化しがなく、身を委ねられる。話がいいようにも思うのだけど、この作家はひとつひとつの文章が作品を作っているのだとやはりつよく感じる。
    自分が短篇小説を書くときに、これらの作品はお手本になるだろうな。

  • 日常的だけど非日常なストーリーでどの短編も読み応えがある。ゆったりとした文体。朴訥さとユーモアさと怖さが入り交じっている。

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著者プロフィール

三浦哲郎

一九三一(昭和六)年、青森県八戸市生まれ。早稲田大学文学部仏文科を卒業。在学中より井伏鱒二に師事した。五五年「十五歳の周囲」で新潮同人雑誌賞、六一年「忍ぶ川」で芥川賞、七六年『拳銃と十五の短篇』で野間文芸賞、八三年『少年讃歌』で日本文学大賞、八五年『白夜を旅する人々』で大佛次郎賞、九一年『みちづれ』で伊藤整文学賞を受賞。短篇小説の名手として知られ、優れた短篇作品に贈られる川端康成文学賞を、九〇年に「じねんじょ」、九五年に「みのむし」で二度にわたり受賞。他の著作に『ユタとふしぎな仲間たち』『おろおろ草紙』『三浦哲郎自選全集』(全十三巻)などがある。二〇一〇(平成二十二)年死去。

「2020年 『盆土産と十七の短篇』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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