ユタとふしぎな仲間たち (新潮文庫)

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  • 新潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101135076

感想・レビュー・書評

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  • 児童文学というだけあって、とても読みやすい。嫌な気持ちになることもないし、めちゃくちゃ平和。現実に起こり得ないことなのかもしれないけど、実はこの世界のどこかでこんなことが起こってるんじゃないか、と楽しくなる。

  • 劇団四季の映像から入ったので、登場人物や風景は映像として浮かびやすかった。
    児童文学ということですいすい読み進めることができたが、ふとした描写の表現などは大人が読んでもいいなぁと思うものもたくさんある。
    座敷童子との別れが突然かつ案外あっさりしたところも、児童文学らしい感じがする。だからといって幼稚だとかそういうわけではない。
    なんだか自分も座敷童子に会ってみたくなる。

  • 「満月の夜、座敷わらしに会いたくて、古い温泉宿の離れ座敷にとまった。「ワダワダ、アゲロジャ、ガガイ・・」座敷わらしの呪文がきこえ、部屋の大黒柱に穴が開いた!」

    (『キラキラ子どもブックガイド』玉川大学出版部より紹介)

  • のんびりした話と思いきや、いちいちディティールが妙な設定というか、座敷わらしの生い立ちやら生き方やら、なんだか一筋縄ではいかないわけですよ。これが子ども向けと思いきや、大人の方がじんわりくるんじゃないか。
    しかし座敷わらしのおかげで一気にスターダムに成り上がるわ努力も欠かさないわで、やっぱそこらへんはチビッコ向けよのう。ちょっと甘いんちゃうかと穿った見方をするまでが大人よ。

  • 講義で読んだ 空気とか感覚の描写が好き

  • ペドロの恋心がじんわりくるのと、昔の子への悲しさがユーモアに描いてあって読みやすかった。

  • 繰り返し見た、四季のビデオ(昔々、教育テレビで放映されたもの)を懐かしく思い出しながら、歌を頭の中で歌いながら、読了。

  • 劇団四季ミュージカルの感想はこちら。
    https://booklog.jp/users/junsuido/archives/1/B00005FR17
    小学校の音楽で歌ったり、学芸会で演じられたりしています。
    本来は座敷童子は男だけなのですが、学芸会だと配役の関係もあり女の子として演じられたりしています。原作で男だけというのは「女の子だったら売れるから間引きしない。間引きするのは育ててもしょうがない次男以下の男の子」なので、女の子が入ると事情が変わりますね。


    ===
    小学校6年生の勇太は、父親の死により母親の生まれ故郷の湯ノ花村に転校してきた。
    東京生まれ東京育ちの勇太(ユタ)には、田舎の村は退屈で仕方がない。学校の友達とも馴染めないし、元気な友達や先生からはもやしっ子扱いされている。
    そんなユタをみて温泉宿の銀林荘で働くおじいさんが「それなら座敷童子と友だちになってみないかい」と声をかける。なんでも満月の夜に座敷の大黒柱からひょっこり座敷童子が現れるといわれているらしい。ユタは退屈しのぎと、何かを変えたいと思って銀林荘の離れに泊まる。
    夜中。
    本当にひょっこりと座敷童子が現れた!

    ユタは座敷童子たちと交流していくうちに、元気に逞しく育ち、徐々に村の子供達からも馴染んでゆくのだった。

    ===
    冒頭ではもやしっこユタだが、何かを変えたいという思いがあり、そのために座敷童子たちと仲良くなった。座敷童子たちから聞いた話をもとに、自分で飢饉や餓死の歴史を調べることもする。
    この姿勢があるから、徐々に村の子供達からも認められるようになったり、最後には座敷童子たちとも手を降って分かれることができる。

    永遠の赤子の座敷童子たちは、おしめをしながら煙草をくゆらせ、人間の女の子に恋もするという親しみやすい姿をしている。
    しかし座敷童子になった理由は子沢山の間引きであったり、飢饉の餓死であったりする。
    座敷童子たちの合言葉「ワダ ワダ アゲロジャ ガガイ」は、遊び疲れて帰りが遅くなった子供の「我だ我だ 開けてくれ 母ちゃん」という意味で、座敷童子たちが言ってみたかった言葉だ。

  • ミュージカルだけじゃわからなかった所を理解出来た。泣く。素晴らしい作品

  • 三浦哲郎の描く児童文学。

    いままで読んだ彼の作品とちがうと思ったのは、喩えの言葉のセレクトで、いくつか目に付いた。

    p41 ぼくは、ちょうど閉店時間を迎えた銀行の玄関の自動シャッターのように、どうしようもない重たさで垂れさがってくる瞼を支えようとしながら、心のなかでそう叫んだ。

    またぼくは主要人物のざしきわらしの髪型のことを、ビートルズの頭と表している。

    三浦哲郎がこんな表現をしてくるのかと、素直におどろいた。

    p186 燃える離れから噴き上げた火の粉は、赤い河のようになって村の空を流れ、その先は村のむこうの野の方まで及んでいた。

    こちらは簡潔で、それでいて美しいなと思う表現。
    こんな文章を書けるのすごいなと思う。

    三浦哲郎が児童文学をいくつか書いていた理由が気になる。

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著者プロフィール

三浦哲郎

一九三一(昭和六)年、青森県八戸市生まれ。早稲田大学文学部仏文科を卒業。在学中より井伏鱒二に師事した。五五年「十五歳の周囲」で新潮同人雑誌賞、六一年「忍ぶ川」で芥川賞、七六年『拳銃と十五の短篇』で野間文芸賞、八三年『少年讃歌』で日本文学大賞、八五年『白夜を旅する人々』で大佛次郎賞、九一年『みちづれ』で伊藤整文学賞を受賞。短篇小説の名手として知られ、優れた短篇作品に贈られる川端康成文学賞を、九〇年に「じねんじょ」、九五年に「みのむし」で二度にわたり受賞。他の著作に『ユタとふしぎな仲間たち』『おろおろ草紙』『三浦哲郎自選全集』(全十三巻)などがある。二〇一〇(平成二十二)年死去。

「2020年 『盆土産と十七の短篇』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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