橋のない川(四) (新潮文庫)

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  • 新潮社
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感想 : 19
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  • Amazon.co.jp ・本 (576ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101137056

感想・レビュー・書評

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  • これまで読んできてずっと気になっていた杉本まちえの本心がようやく明らかになり、泣きそうになった。豊坊んの「僕は結局のところ、恋愛とはその人にいのちの尊さをさとらせて、生きぬく力をつかませるものだと思うんです。」という考え方、なんて素敵なんだろう。自分の中で一番しっくりくる恋愛の定義にやっとめぐり会えた気がする。ホイットマンの「蜘蛛」、いいなぁ。
    この第四部は「覚醒」の巻だ。堂々巡りの議論から、孝二たちはようやくなすべきことを見つけ出し立ち上がる。

    • アテナイエさん
      こんばんは。この作品のレビューをいつも楽しく拝見しています。
      私もこの小説でもっとも感激したのがこの4巻でした(どうやら当初はここで完結予...
      こんばんは。この作品のレビューをいつも楽しく拝見しています。
      私もこの小説でもっとも感激したのがこの4巻でした(どうやら当初はここで完結予定だったようです)。ですのでマヤさんのレビューから感激が伝わってきて、私もとても嬉しい気持ちです。孝二とまちえのせつない恋が気になりますし、とくに引用されている豊田の言葉は言霊が宿っているようで素晴らしいですよね。私も手控えノートにしっかり写本したくらいです(笑)。
      2017/04/06
  • 大金持ちが金を手放して貧に寄り添い、共に働くば貧を理解せ得るだろうか。
    否、貧乏とは物の不足のみではなく「欠乏の恐怖と憂懼」も含まれる。差別も加えたのがこの部落。

    逃げ続けることで追いかけてくるエタ。生まれで決まらぬと受け入れることで、エタは追うのをやめる。逃げきれられるものではないのだ。

    「僕は結局のところ、恋愛とはその人にいのちの尊さをさとらせて、生きぬく力をつかませるものだと思うんです。」

  •  高齢の岩造は、エッタに生まれたのはわが身の不運、持って生まれた恥、本人の責任と。若い貞夫は、エタは世の中の責任で、自分たちは被害者だと。エタ論議は松川高等小学校の同窓会でも展開。佐山貞一に対する村上秀昭の演説、大垣久雄に対する畑中孝二の演説。平民の中に秀昭や孝二の話に心を動かされる者たちが少しずつ・・・。畑中誠太郎は大正10年11月20日、満期除隊。年内に結納、婚礼、安井誠太郎に。住井すゑ「橋のない川」、昭39.4刊行。杉本まちえと孝二の間に進展はあるのか?! 水平社創立大会も間近に。

  • 【貸出状況・配架場所はこちらから確認できます】
    https://lib-opac.bunri-u.ac.jp/opac/volume/60554

  • 豊太が孝二に語った蛽にまつわる誠太郎との思い出の話で、「人の魂の美しさ」に触れた経験の有無がその後の生き方に影響するのだと、自分の経験を思い出しながら気付くことができました。 同窓会での秀坊んと孝二の演説は、それまで心の中や小森の中だけで留まっていた叫びがついに公の場で解放されてものすごくスッキリしました。そしてちゃんとその叫びが届くべき人達にも届いたことも嬉しく、まちえもしっかり本質を見る事が出来る人だったんだなぁと、意外な展開に「手にぎり事件」を散々引っ張った理由はこれかと納得しました。

  • 3 「大人になる」とはどういうことか[辻智子先生] 2

    【ブックガイドのコメント】
    「被差別部落に生まれた少年の成長を日露戦争から水平社宣言へと向かう時代の中で描く。」
    (『ともに生きるための教育学へのレッスン40』182ページ)

    【北大ではここにあります(北海道大学蔵書目録へのリンク先)】
    https://opac.lib.hokudai.ac.jp/opac/opac_link/bibid/2000073502

    【関連資料(北海道大学蔵書目録へのリンク先)】
    ・[単行本]1964年発行
    https://opac.lib.hokudai.ac.jp/opac/opac_link/bibid/2000169374

  • 呆気なく戦死するもの、ひょんなことから病死してしまうもの、それでも良い人生だったと思われるもの、兵役でシベリアに行きながら生き延びて帰るものなど、過度な誇張も悲劇的な表現もなく、ドキュメンタリーを淡々と見せられているかのような描写が続く。一方で大正の時期の部落解放運動が本格化する流れ。この流れに巻き込まれながらも、人間の本質を追求しようとする若者ら。

  • 水平社結成だどー!

  • 何ページか、コピーした。
    取っておきたい言葉が、いくつもあった。

  • 表紙裏
    シベリア出兵に加わって生死が気遣われる誠太郎。大阪で働く清一と難波の遊郭に身売りしたしげみの上におこった思いがけぬ事件――。さまざまな悲しみ、喜びの日の過ぎてゆくなかで、秀昭、和一を先頭に孝二、貞夫らの青年達が心を一つに新しい歩みを開始する。“全国水平社結成”それは、屈辱にまみれた生活の底から人間の真の自由と平等を求める部落解放運動のさきがけであった。

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