橋のない川(五) (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社
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本棚登録 : 175
感想 : 16
  • Amazon.co.jp ・本 (496ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101137063

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  • 毎回のことですが、よくもここまで細かく多くの人の心の動きや生活の営みを描けるなぁと驚かされます。住井すえさんの、登場人物の一人一人への愛情を感じます。そのおかげで私も畑中家を始めとする人達が大好きになりました。同じく子を持つ女性目線で、ぬいやふでの孝二に対する思いやりや心配、家計の切り盛りのあれこれには特に感情移入してしまいます。突然来客があり、慌ててありあわせのもてなしをする場面や、孝二の外出のために行き届いた支度をする所など、すごくリアルと思います。そしてそれにしっかりと応える孝二が頼もしく、愛おしいです。

    農作業の大変さと、奈良の自然の色々な表情にも、水平社の動きと同じくらい惹かれます。つい100年前まではこんな生活をする国民が大部分だったんだと、戸惑いの様な寂しさの様な気持ちになります。重労働や夜業の合間に交わされる会話だからこそ重みがあるように感じました。文盲でも、畑と家に縛り付けられている生活でも、深い知恵や愛情を湛えているぬいにこの巻でスポットライトが当たったことに感動しました。

    孝二が国粋会の人達と言葉でやりあう場面は息を詰めてしまう程でした。理路整然とした話の運び方がとても勉強になります。


    まちえがただのお金持ちのお嬢様でなかったことには拍手喝采でした。豊太宛の手紙から伺える真摯さに、まちえと孝二が結ばれたら良いのにな…と思ってしまいます。

    あとは、聞き慣れない日本語が多く、語彙力が広げられることも良かったです。

    本当に、書ききれないほどの感想が出てくる本で、自分の子供達にもいつか読ませたいです。

  • これまで耐えに耐えてきた差別、偏見、搾取、弾圧などに力強く抵抗し始める住民たち。筆者が描くその思いは、人として当たり前のことばかりであるが、この小説の中だけでなく、**ファーストやヘイトスピーチなど、現代でも起こっている事柄に思えてならない。

  • 3 「大人になる」とはどういうことか[辻智子先生] 2

    【ブックガイドのコメント】
    「被差別部落に生まれた少年の成長を日露戦争から水平社宣言へと向かう時代の中で描く。」
    (『ともに生きるための教育学へのレッスン40』182ページ)

    【北大ではここにあります(北海道大学蔵書目録へのリンク先)】
    https://opac.lib.hokudai.ac.jp/opac/opac_link/bibid/2000073502

    【関連資料(北海道大学蔵書目録へのリンク先)】
    ・[単行本]1970年発行
    https://opac.lib.hokudai.ac.jp/opac/opac_link/bibid/2000169374

  • 水平社創立以来、だんだんと小説というよりもドキュメンタリーっぽくなってきた感じがする。孝二らの投獄という難儀な出来事もあるが、静かに時は進んでいく。
    そしてそろそろその年が来るはずだなぁ、と思っていたら巻末でついに来た。来てしまった。しかも渦中には自立の道を求めて行った豊坊んがいるはずで…。孝二同様頭が真っ白になった瞬間、ぬいお祖母んの「若いのよりもさらに美しい」顔が目の前に見えた。
    大地は生きているのだから動くのは当たり前というお祖母ん。そのお祖母んは動く大地にしっかりと足を踏みしめて、これまで生きてきたのだ。辛いことから逃げ出さず、面と向かい合う、耐え忍ぶ、あるいは立ち向かう。どうしたらそんなに強くいられるのだろう。孝二はぬいの血を濃く受け継いでいると思う。
    どうか生きてて豊坊ん、そして朴さん…。

  • ぬいとふでの生活がとても愛おしくなってきた。

  • 不当な差別に虐げられてきた人たちが、今や“賤民”を返上して、“選民”の道をいかんとす。歴史の教科書では理解し得なかったできごとが、生きた言葉で語られることのおもしろさ。長~い語りや手紙のやりとりが多く、またかぁ~なんて言いたくなるところもなくもないが…。思いがけず、孝二らが裁判にかけられたりして、いよいよ歴史が動き始める。年内に7部まで読み終えられるかしら。

  • どんどん引き込まれていく。
    生涯をかけて己が内なる鬼の追放に精進するまちえ。
    私の中にもある己が内なる鬼。
    気づかないふりはできない。

  • 表紙裏
    大正11年3月、全国水平社は結成された。故なき差別に泣かされてきた多くの人々は、これを拠点に力強く立ち上がる。しかし、ふるい因襲と偏見はなお、かたくなに厚い壁をめぐらして人々を寄せつけまいとする。抑圧と抵抗の激しい騒ぎのなかで、孝二ら小森の青年7人は獄舎に送り込まれる。だが、真実と正義を求める人々の声は消えることなく、燎原の火のように各地にひろまってゆく。

  • はぁ。5巻まで読み終えた。
    つらい経験をしたけど、それでまた一回り大きくなったね。
    ただ、世間は悪、孝二たちは善という単純な構図になっているのがちょっと気になる。

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