橋のない川(六) (新潮文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (528ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101137070

感想・レビュー・書評

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  • 関東大震災後の混乱が語られる部分は怖気がした。流言の怖さを思い知る。バイアスのかかった頭で真実を見極めるのは平常時だって難しいのに、まして非常時では…。
    七重の選択には少しもの悲しさもあったけれど、結婚を肯定的に受け取れるようになっただけ、前に進めたということだろうか。孝二は、和一は、どうするのだろう。
    この作品、ぬいお祖母やんのたくましさが表立って書かれているけれど、ふでお母んもものすごくできた人だと思う。これ以上理想的な嫁姑関係ってあるだろうか。
    全7巻という長編作品だけど、言いたいことはずっと一緒なのだなと感じる。

  •  この一週間は、読書の中心は「橋のない川」です。第7部はありますが完結編といわれた第6部迄一気に読了しました。12年余りで書かれた大長編、3271頁を1週間で(^-^) 第6部は大正12年の関東大震災から。水平社、朝鮮人、社会主義者などへの迫害が。住井すゑ「橋のない川(六)」、昭45.11刊行、506頁。小森、井野などの村と島名、松川など一般農村の間には、渡る橋もない大きな川がごうごうと流れている。船場の豊太に求婚された七重は、断りではなく遠慮の返事を。東京に行くまちえと小森に残る孝二の行方はどうなる?!

  • 【貸出状況・配架場所はこちらから確認できます】
    https://lib-opac.bunri-u.ac.jp/opac/volume/60556

  • 豊太の七重へのプロポーズが断られた時は残念で残念でたまりませんでしたが、要太郎との結婚式当日の場面で、ああこれで良かったんだなぁ…と思えて、涙なしでは読めませんでした。子供の頃から登場してきた七重の成長に圧倒されて、七重は女性版の孝二なのかと同性として眩しかったです。水平社宣言を不在の婿席に掲げて「大崎の土になります」と啖呵をきる?七重はカッコ良すぎます。七重も、ふでやぬいの様に優しくて強い女性として年を重ねていくのでしょうね…。きっと住井すゑさんの周りにこんな人達が実際にいたんだろうなと思わされます。

    まちえについては、本人の心情が直接分かるのは豊太宛の手紙だけですが、終盤の和一と孝二の会話で、まちえの葛藤が目の前に迫ってくる様で、まちえもこの10年以上苦しんでいたんだなぁと、その葛藤自体が大きな川に橋が架けられていく材料になるのではないかという予感がしました。

    私の狭い世界や人間理解では測りきれない素晴らしい人達ばかりが出てきて、全然消化し切れていないので、もう一度読み直したいです。

    解説も、納得しながら読みました。直球でのびのびとした人物・心理描写は、確かに文学界では軽く見られてしまうのかもしれませんし、私も最初は戸惑いましたが、とても爽やかで良いなぁと思います。

  • 3 「大人になる」とはどういうことか[辻智子先生] 2

    【ブックガイドのコメント】
    「被差別部落に生まれた少年の成長を日露戦争から水平社宣言へと向かう時代の中で描く。」
    (『ともに生きるための教育学へのレッスン40』182ページ)

    【北大ではここにあります(北海道大学蔵書目録へのリンク先)】
    https://opac.lib.hokudai.ac.jp/opac/opac_link/bibid/2000073502

    【関連資料(北海道大学蔵書目録へのリンク先)】
    ・[単行本]1973年発行
    https://opac.lib.hokudai.ac.jp/opac/opac_link/bibid/2000169374

  • 大逆事件や関東大震災の際の朝鮮人虐殺などを通じて、差別や、人が人を支配することの恐ろしさを描いている。道理としてはわかっていても実際に社会が変化することを好まない人々。これも現代に通じる感情。

  • 読み終えたくなくなってきたわー

  • 折しも正月の最中、大正十三年一月一日のくだりに取りかかる。水平社が設立され、その波は全国へと広がる。関東大震災が起こり、混乱の中で復興を遂げようと立ち上がりはじめた、時代の大きな変化を肌で感じるような年の明けである。いつでも孝二を温かく見守るぬいの姿に、理想の母像を見たように思う。

  • 9784101137070 515p 2009・2・15 47刷

  • ぬいの生き様が美しい。どんな境遇でも前向きに生きるって、簡単なようで難しい。変えたくて動いているのに、変わらないものがある。それが、己の心であったりするとき、切ない。読み進めずにはいられない。

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