本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
Amazon.co.jp ・本 (286ページ) / ISBN・EAN: 9784101141138
みんなの感想まとめ
この作品は、盲目の旅芸人であるおりんの人生を通じて、女性の自立や心の成長を描いています。おりんは、厳しい環境の中で自らの道を切り開く姿が印象的で、彼女がどのようにして心の支えを見つけていくのかが丁寧に...
感想・レビュー・書評
-
深沢七郎の『楢山節考』などもそうだけど、こういう昔の地方の民俗や習慣って現代の都会に住んでいるとなかなか知る機会がないのでなんだか別世界のように感じる。
瞽女という存在もこれを読んで初めて知った。途中で出てくる、目の見えなくなった孫と心中してしまうおばあちゃんが悲しい。
水上勉の作品を何作か読んで思ったのは、男性なしで生きていけない女性が多いこと。ちょっと男の幻想がにじみ出ているなと思った。だから私としては、おりんにも『雁の寺』の里子にも『越前竹人形』の玉枝にも感情移入できないし、友達になりたいタイプの女性でもないなぁと思うのである。『鐘の音』の菊野も男がいないと寂しいタイプだね。この人が言う「女の友だちは長つづきはしません」というのは、自分自身も友だちより男を取るタイプだからだろう。
この文庫の最後に入っている『銀の杖』の按摩さんが悟ったことが一番しっくりくる。自活の術を持った女性はつまらない男に囚われて生きて行く理由はもはやないのだ。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
水上勉が好きで、この本を読みたくて図書館や本屋、古本屋など探したがどこにもなく、メルカリでやっと見つけて即買いした思い入れのある本。
瞽女 という盲目の旅芸人がいることもこの本がきっかけで知った。
いま老人ホームで働いているのだが、そこのおばあさんが昔、盲目の按摩さんが家に来てくれた と話していて、按摩がいれば芸人もいるのか、と盲目の人の活躍範囲の広さを感じた。
親が亡くなれば一人で生きて行かなくてはならないのだから、手に職をつけるのは当然だ。
目の見えない苦悩はたくさんあれど、相手の姿が分からないからこそ相手の気持ちを察する神経は鋭くなる。
そして、数人の組で旅芸人を続ける掟を破ってはなれ瞽女となったおりんは、自らの心の中に 亡くなった親を如来様として置き、心の支えとする。
同じく脱走兵として掟破りの平太郎と共に露天商をして暮らした刹那の日々。
下品な男から肉欲の対象とされることもあるが、中には彼のように人柄を好いてくれる者もいるのだ。
女が一人で生きていくためには、心の支えが必要であり、それを創造するまでのおりんの成長ぶりを感じられた。
実在した 瞽女の 小林ハル氏。彼女が幼少期から母親に厳しく芸事を教えこまれ、辛辣な口調で怒られたことを悲痛に感じていたが、自らが成長し弟子を持った時、「母は私を一人で生きていけるように、あえて厳しく育ててくれたのだ」と悟り、亡き母に感謝したというエピソードに涙が止まらなかった。
厳しさは母からのとても大きな愛だったのだ。
最後の短編、「銀の杖」も秀作だ。
結婚したが浮気に走った夫と10数年後に再会した按摩を生業にとする瞽女の話。
時を経ても変わらない夫の姿に腹を立てるでもなく、自分には相応しくなかったのだと判断を下す。それは瞽女として一人で生きていくために必要な気高い矜恃である。
男に頼らなくても、目が見えなくても私は生きていけるんだと、自らを大切に思う清らかで力強さにとても心が震えた。
-
旅芸人おりん
3歳で全盲
瞽女屋敷を追われる(はなれ瞽女(ごぜ))
岩淵平太郎との恋
この本が好きな人におすすめの本
著者プロフィール
水上勉の作品
本棚登録 :
感想 :
