湿った空乾いた空 (新潮文庫 よ-4-8)

  • 新潮社 (1979年1月1日発売)
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本 ・本 (219ページ) / ISBN・EAN: 9784101143088

感想・レビュー・書評

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  • 吉行淳之介にしては家庭小説っぽくて新鮮な味わいがある。だからか、読みながら島尾の『死の棘』を比較する意味で当てはめていた。今までは吉行の結婚相手以外の女性とのやり取りを見ても、生物学的な体の分析というところにスポットを当てていたが、今回は行為もなく、不倫相手との関係も作中では落ち着いている。だからその落ち着き加減が妙に面白い。妻は発狂もしないし、主人公に直接害を与えてはこない。平静のなかに主人公の小さな不安がぽっと浮き出る。読んでいて不安を感じさせないのがこの作者のらしさのようで、一冊としてのインパクトは欠けるのかもしれないが、吉行作品をまた一冊読み終えたという満足感は残った。
    僕が初めて昔の純文学を読もうと決意して買った作品を一つこれだと挙げるのは難しいが、神保町で買った200円の『夕暮まで』はかなり印象深く覚えている。あのあたりからなのだ。

  • 旅行記だけど、殆どが主人公の心境や妻との喧嘩、出来事で成り立つ。
    確か深夜特急の最後の対談のところで誰かがこの本を紹介していて、"感情旅行"と表現しているところに惹かれた。

    途中までは想像していたよりも面白くはないかも、と思ったけど、何故か途中からクセになる。
    ちょっと病んでる時に読んだら余計に読み進む。

    主人公の包み隠さない正直な言葉がよかった。


  • なんだかけだるくて、そして皮肉混じりで、生々しい感じ。

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著者プロフィール

大正十三年(一九二四)、岡山市に生まれ、二歳のとき東京に移る。麻布中学から旧制静岡高校に入学。昭和十九年(一九四四)九月、岡山連隊に入営するが気管支喘息のため四日で帰郷。二十年東大英文科に入学。大学時代より「新思潮」「世代」等の同人となり小説を書く。大学を中退してしばらく「モダン日本」の記者となる。 二十九年に「驟雨」で第三十一回芥川賞を受賞。四十五年には『暗室』で第六回谷崎潤一郎賞を受賞する。主な作品に『娼婦の部屋』『砂の上の植物群』『星と月は天の穴』『夕暮まで』など。平成六年(一九九四)死去。

「2022年 『ネコ・ロマンチスム』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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