- Amazon.co.jp ・本 (269ページ)
- / ISBN・EAN: 9784101144238
作品紹介・あらすじ
幼少の頃から後深草院のもとで養育された二条は、14歳の春に院の寵愛を得る。二条は院の愛人となってからも、数多の貴人や高僧たちと交渉を重ねるが、かねてからの出離の思いが高じ、ついには尼となって諸国遍歴の旅に出る。-波瀾にみちた性の体験を大胆に告白し、愛欲の世界を脱して宗教に浄化されていく過程を描いた女流日記文学の傑作を艶麗な筆に甦らせた名訳。
感想・レビュー・書評
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思ってたんと違う
私の日本語読解能力では半分くらいしか読み取れませんでしたが、昔の方が男女関係は奔放だったんですね。。。
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(2015.12.30読了)(2013.06.28購入)
あまり聞いたことのない題名の古典なので、買おうかどうしようか迷った末に、買ったように記憶しています。
作者の後深草院二条が生れたのは、1258年ということですので、鎌倉時代ということになります。「とわずがたり」は、全五巻からなっており、巻一から巻三までは、宮廷篇、巻四・巻五は紀行篇と呼ばれています。「現代語訳とわずがたり」は、宮廷篇の翻訳で、紀行篇は、抄訳となっています。全訳版を読みたい方には向いていません。
時代は、鎌倉時代になっているのに、京都の宮廷生活は、平安時代と変わっていないのかもしれません。『源氏物語』に描かれた世界とほとんど同じで、もう一つの『源氏物語』を読んでいるかのようです。ただし、主人公は、男ではなく、女です。
後深草院二条は、かなりの美女だったのでしょう。後深草院の寵愛を受けるとともに、他に四人の男性に言い寄られ、やむなくなのか、喜んでなのか、関係を結んでいます。
後深草院の正妻の嫉妬を受けたり、後深草院の浮気?の手引きをしたり、後深草院以外の子どもを身ごもってしまい、相手の男の機転に助けられたり、後深草院の暗黙の了承のうえで、言い寄る男の相手をしたり、とかなり興味深い内容の本です。
この本の存在が世に知られたのは、1940年のことだそうです。それまでの700年近い間埋もれていた古典です。一般の人も読める形で刊行されたのは1950年です。
【目次】
巻一 5
巻二 92
巻三 160
巻四(抄訳) 230
巻五(抄訳) 243
注解 252 八嶌正治
解説 261 八嶌正治
●父の遺言(38頁)
お前はひたすら御所様にお仕えして、気まずいことなどおこさないよう、つつしみつとめるのですよ。そうはいっても思うようにいかないのがこの世の習いだ。もし行末御所様の御愛情も薄れ、御所で生活していく経済力もなくなるような時は、ぐずぐずせず、いさぎよく出家してしまうがいい。
●闇路(202頁)
夢に阿闍梨が生前と変わらないお姿であらわれ、「憂き世の夢は長き夢路ぞ」と言って抱きつかれたと見てから、急にたいそう重い病気にとりつかれてしまい、正気もないほどになってしまいました。
危篤の状態のまま、三月も半ばすぎるほどまで煩ってしまいました。気がつくと、私は妊っている様子なのです。
☆関連図書(既読)
「とはずがたり」いがらしゆみこ著、中央公論社、1995.05.25
「美は乱調にあり」瀬戸内晴美著、角川文庫、1969.08.20
「諧調は偽りなり(上)」瀬戸内晴美著、文芸春秋、1984.03.01
「諧調は偽りなり(下)」瀬戸内晴美著、文芸春秋、1984.03.01
「寂聴生きる知恵」瀬戸内寂聴著、集英社文庫、1997.03.
「源氏物語の女性たち」瀬戸内寂聴著、NHKライブラリー、1997.11.20
「白道」瀬戸内寂聴著、講談社文庫、1998.09.15
「いよよ華やぐ」瀬戸内寂聴著、日本経済新聞・朝刊、1997.12.01-1998.12.13
「釈迦と女とこの世の苦」瀬戸内寂聴著、NHK人間講座、2000.04.01
「藤壺」瀬戸内寂聴著、講談社2004.11.24
「秘花」瀬戸内寂聴著、新潮社、2007.05.15
「日本を、信じる」瀬戸内寂聴・ドナルド・キーン著、中央公論新社、2012.03.11
「月の輪草子」瀬戸内寂聴著、講談社、2012.11.01
(2016年3月11日・記)
(「BOOK」データベースより)amazon
幼少の頃から後深草院のもとで養育された二条は、14歳の春に院の寵愛を得る。二条は院の愛人となってからも、数多の貴人や高僧たちと交渉を重ねるが、かねてからの出離の思いが高じ、ついには尼となって諸国遍歴の旅に出る。―波瀾にみちた性の体験を大胆に告白し、愛欲の世界を脱して宗教に浄化されていく過程を描いた女流日記文学の傑作を艶麗な筆に甦らせた名訳。 -
源氏物語をもう一度読み返してみたくなった!
比較してみると、源氏は割と誠実だったのかも…と思ったり。末摘花をちゃんと引き取ったもんね。 -
先日読んだ『中世の非人と遊女』から読もうと思ったのですが。どの訳を読もうと考えて、これにしたのは正解でした。やはり合っています。
今どきの性差別だ倫理観だとかいうものを出来るだけ排除して読もうとしたのですが、なかなか難しいです。彼女を「奔放」と呼べるのかどうか、同時代に生きてないので断言できない。
朝廷内の政争も幕府の政争も彼女の前では人生の背景に過ぎない。女は強いです。 -
鎌倉時代の皇室に仕えていた女官の生々しい日記文学。
十四歳で後深草院天皇の愛人にさせられて、十五歳くらいで早くも初産。ほかにもかねてからの恋人、西園寺実兼との密通、妊娠までしてしまうし。性助法親王(後深草院の四歳年下の異母弟)には猛烈に言い寄られて、またも密通し、この間柄は後深草院にばれちゃうけど、それも受け入れられて二度も出産。四度も出産して、結局最後の一人の子どもは手元で育てたようなんだが、その行く末も本には書いていない。育児からは遠い身分の人みたい。後半の旅の話は抄訳になっているのだが、そっちもそれなりに面白いのではないかなと思ったりする。