いよよ華やぐ (上) (新潮文庫)

  • 新潮社 (2001年9月28日発売)
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  • 本 ・本 (368ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101144320

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  • 俳人であり、小さな小料理屋のおかみである主人公「阿紗女」は、御年91歳。若い頃から、モテてモテて、もうモテてしょうがない人生。90歳をすぎた今も、その魅力および気力はまったく衰えていない。娘や友達の病・お店のお客の不運を目の当たりにし、はるかなる過去に思いをはせる…という内容。

    折々に、阿紗女が過去をふりかえっていくんだけれども

    大好きな男と恋愛結婚⇒
    男蒸発、実家の家業も傾く⇒
    死んだ姉の夫(生理的にキライ)と結婚させられる⇒
    運命の男(既婚)と出会いフォーリンラブ!不倫まっしぐら!

    という、なかなかすごい遍歴でして。娘を一人産んでて、現在の関係は決して悪くないんだけど、かつて恋してる間はほとんど忘れちゃってましたテヘペロみたいな。水商売の才覚があって(まあそりゃあるわな)、バリバリ仕事しながら、恋に愛にまい進してきたという。親しいお友達も、ていうか娘も同じような感じ。波乱万丈。
    うん、これは、大人の女性にはうれしい小説でしょうねー。だって91歳で、俳句に関しては天才で、未だ自分のお店持って毎日たのしく働けて、「信じられないほどおきれい」とか頻繁に言われるんだよ、阿紗女。もうファンタジーだよね。夢だよね。勇気もらえるよね。さすがは寂聴先生、ツボ心得てますな。

    登場人物の言葉選びや口調が、なんだか全体に心地よい。みなハキハキとリズムよくしゃべるし、出てくる単語がどことなく雅。ストーリーに複雑さや驚きは少なくて、ごくシンプルだけど…「人生はつらくて熱くて、ごちゃごちゃで、でも最高に楽しいもの」という大らかな世界観に、ゆったりと身を任せることができる。

    「あれ、これ、さっき聞いた話…?」ていう感じで、同じ内容が別な章に書いてあったりしたんですが。終わりも、えーこんな結末かい、みたいな感じでしたが(笑)

    今時分は、『読ませる』作品てすごく多くて。ジェットコースターに、高級外車に、あるいは磨き上げた自転車に乗せて…入念に用意され整えられた「結末」へ連れて行ってくれる作品がね。それは本当に幸せなことなんだけれども。
    ストーリーも構成も、結末さえも最重要ではなくて、「大らかに生きる」空気やスピードを共有する、それを大事にする。そんな読書もいいねえ、と思ったりして。

  • 90歳を迎える女性にはたくさんの愛の遍歴があった。戦争を過ごし、姉妹の夫と結婚させられ、不倫を続け、などなど。
    すべてが彼女の一部であり全てだ。
    他にもあらゆる愛を体験した女性たちが慰め合い、励まし合い、ちょっとは羨んだりしながら仲良く過ごす。
    こんな素敵な仲間達がいてくれたらいいだろうなぁ。

  • 70を越えてなお 恋に仕事に・・いよよ華やぐ三人の女たち

  • 女は生涯、女でなくっちゃ。

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著者プロフィール

1922年、徳島県生まれ。東京女子大学卒業。63年『夏の終り』で女流文学賞、92年『花に問え』で谷崎純一郎賞、11年『風景』で泉鏡花賞を受賞。2006年、文化勲章を受章。2021年11月、逝去。

「2022年 『瀬戸内寂聴 初期自選エッセイ 美麗ケース入りセット』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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