釈迦 (新潮文庫)

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著者 : 瀬戸内寂聴
  • 新潮社 (2005年10月28日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (326ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101144382

釈迦 (新潮文庫)の感想・レビュー・書評

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  • たった今読み終わったので新鮮な気分。ヘッセの「シッダルタ」も読んだが、瀬戸内流の方に惹かれた。つまるところ私たちは世尊の実態には迫れない。漫画も含め色々な解釈を見聞きしても、そうだなと思ったり、なんとなく違うなと思ったりしても、そう思うだけで実態に近づけるわけではない。

    今回瀬戸内さんの釈迦は、従者アーナンダの視点で描かれている。おかげで、私たちの中の崇高なものに近づきたいけど近づきがたい気分と、語り手の視点とがマッチして丁度良い距離感になっている。

    だが物語の中に、世尊を理解するヒントがちりばめられていないかというとそうではない。世尊は孤独だと言ったデーヴァダッタ、死ねずに永遠に生きる方が地獄に落ちるより苦しいんじゃないかと思うと語ったアングリマーラ。

    けれどそれでも解けない謎がふんだんに残っている。法は平等を説いているのに、世尊はなぜ女性の出家を認めなかったか。最後「この世は美しい」とおっしゃった世尊は、それまでこの世は苦しみだと説いていたのに、最後になってその考えを翻すことにしたのだろうか。小説終盤のアーナンダの悟りもあまりにあっさり成就しすぎているように感じる。

    それでも作中で二度、三度世尊が語る「犀の角のようにひとり歩め」という言葉を始め、覚者の言葉は智慧に満ちていて、それを小説と言うわかりやすい形で教えてくれた瀬戸内さんには感謝する。

    けど物分かりの悪い私は、結局この一度きりの人生をどう生きることが大切に生きることなのか、まだ分からないでいる。

  • 日本人は少なからず仏教徒と言われる。多くは開祖がいてその人の教えの印象が強い。その原点にある人を小説として描いている。これが凄い。もちろん瀬戸内寂聴のブッダ理解であり、仏教理解ではあるけれど、そこに確かに仏を感じるような気がする。寂聴の福音書といったような感じかな。そういう意味では今までになくブッダを近くに感じられるような気がするいい作品だった。巻末の横尾忠則の解説も素晴らしい。

  • 釈迦の生涯を、その語り部であるアーナンダが世尊晩年の侍者としての回想を書くことで、古代インドに誘われた気持ちになる。神格化されたブッダではなく、シッダッタ(〈梵語〉シッダールタのほうが馴染みがあるが)の悟りの境地に至った人間らしさが強く感じられた。同時に読んだ『聖☆おにいさん イエスとブッダのパネェ秘密』は、本書を読む上でも大変参考になった。

  • 仏教の話に出てくるお釈迦さまは、偉大で超人的でよく分からなくなるときがあるけれど、このお話のなかのお釈迦さまは、確かに悟った偉大さや神々しさはありながらも、人間的な温かさが感じられます。

  • 古本屋で購入、ジャケ買いあと釈迦好き、瀬戸内寂聴好き。三拍子揃った。やっぱり間違いなかった面白かった。

  • 前に手塚版ブッダなら少し読んだことがあるけど、聖☆おにいさんを読み出してから改めてブッダの生涯に興味がわいてきた。

    これは読みやすくて面白かった~!アーナンダの視点から描かれているけど、ブッダ自身の回想もあったり、物語として面白かった。

  • おもに仏陀の侍者アーナンダの視点から見た仏陀の晩年を中心に話がすすむ。限りない慈悲の心がいくつもの場面で繰り返し表現され、これが仏陀の人間性かと感心させられる。一方アーナンダはなかなか同じ位置に立てない。かといって彼が悪い人間ということではない。

    ところが、仏陀の出家の際の妻ヤソーダラーへの仕打ち、さらには9年後故郷に帰ってきたとき息子と義弟を出家させる話に至っては、ほんとうにそれが必要なことなのか、仏陀の行動に無慈悲な点が多く矛盾を感じる。あまねく総ての人の幸福を目指すのか、なるべく多くの人の幸せを目指すのか、はたまたゴールはもっと違うのか、あるいは無いのか、答えはない。

    著者寂聴による見方ではあるが、イエスについて書いた遠藤周作の「イエスの生涯」と並び、仏陀の全体像を考えるに大いに理解の助けになった。

  • 子供の頃から、お釈迦様は神様だった。寂聴さんの人間ブッタにふれ、仏教が身近に感じる事が出来ました。

  • 80歳を迎えたブッダは涅槃に入るための最後の旅に出る。その途中、今まで出会った様々な人々の思い出が胸を去来する。

    文章に一切妥協がない、というか軸がブレていない。
    ブッダの息づかいや色とりどりの風景がありありと見えてくるような物語だった。
    「人間は苦しむために生まれた」というテーマを書いているのにもかかわらず、暗く重くなりすぎないのは
    作者の強かで朗らかな性質によるためなのではないか。
    だから最後、生きる辛さも全部含めて「この世は美しい 人の命は甘美なものだ」というブッダの言葉で締めくくられる。
    この言葉に救われた思いがする。

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