戦争を知っていてよかった 夜明けの新聞の匂い (新潮文庫)

  • 新潮社 (2008年11月27日発売)
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感想 : 4
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  • 本 ・本 (336ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101146430

感想・レビュー・書評

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  • 米国がイラクを攻撃した前後のエッセイ集。

    アラブ社会に対する知識が豊かなので,西側社会の視点だけでなくアラブ側の視点からも出来事を語っており,「なるほど」と思えることが多々ある。

    もう10年前くらいの話になるのでタイムリーさはないのだが,こういったエッセイの文庫は,当時の白熱した議論について冷静に眺めることができて面白い。

    曾野さんの人生観が単純で骨太なところが興味深かった。
    特に戦争やゲリラ,犯罪に対して人間が本来的に持つ「悪」をどのように捉えるかの語りは興味深い。

    人生,綺麗事で生きて行ければいいが,そうで無いことも多い。戦争も差別も,数々の理不尽な運命も,それをどう捉え,自分の知性の一部とするかが大切なんだなと中年になって少し気づけた。

  • ソノさんの本はいつ読んでも泣ける。なんつーか、固いエッセイといったらそれまでなんだけど、佐藤愛子のような軽妙さはなく、向田邦子のような上品さもないんだけど、とにかく一本筋の通った国への「愛」があふれているので、泣けるのだ。
    すごく引用の多い人で、聖書からよくまるまる引用しては「引用で原稿料を稼いでいます」なんて自分で言っているけど、よく目につくところにいい文章を引用している。「転載」でなく「引用」になるのは、その文に愛があるかないかだ。
    声をあげて笑ってしまうところもあった。私にはまだまだこの人の著書を読む楽しみが残されていて、幸せだなあと思う。

  • 民間人を巻き込まない戦争などない、電気が十分に供給されてない土地では民主主義は発生しない、予定通りのルートを歩ける人生なんてない・・・
    広範なテーマについての辛口エッセイ。
    すべての意見に賛同するわけではないけれど、面白い。日本財団のトップがこんな人だとは。

  • 『悪夢としての長寿』がとくによかったです(*^m^*)

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著者プロフィール

1931年、東京に生まれる。作家。53年、三浦朱門氏と結婚。54年、聖心女子大学英文科卒。同年に「遠来の客たち」で文壇デビュー。主な著作に『誰のために愛するか』『無名碑』『神の汚れた手』『時の止まった赤ん坊』『砂漠、この神の土地』『夜明けの新聞の匂い』『天上の青』『夢に殉ず』『狂王ヘロデ』『哀歌』など多数。79年、ローマ教皇庁よりヴァチカン有功十字勲章を受章。93年、日本芸術院・恩賜賞受賞。95年12月から2005年6月まで日本財団会長。

「2023年 『新装・改訂 一人暮らし』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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