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- 本 ・本 (275ページ)
- / ISBN・EAN: 9784101147307
感想・レビュー・書評
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著者の講演9編を収録しています。
幕末から維新にかけて、隠岐島の民衆の力によって成立したコミューンや、九州地方の「隠れ念仏」と東北地方の「隠し念仏」の信仰、さらに柳田国男と南方熊楠の比較などを題材に、正統と異端、民俗と土俗の重層性が考察されています。
そのほか、「蓮如とその時代」というサブタイトルを持つ三つの講演も収められています。阿弥陀如来への一途な信仰を貫き通した親鸞が、多くの学者や評論家の関心を惹いてきたのに対し、世俗的な世界に深くかかわった蓮如はどちらかといえば軽く見られがちだったと著者はいいます。しかし、民衆の野蛮ともいえるエネルギーを吸いあげ、信仰のかたちにオーガナイズした蓮如のうちに、むしろ著者は「悪人正機」の真髄を見ようとしています。
本書の議論を、「悪人正機」の独創的な解釈と呼ぶべきものであるかどうかはいま一つわかりませんが、蓮如という人間のうちに見いだされたエネルギーに、小説家である著者は共感をおぼえたのではないでしょうか。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
隠岐騒動については全く知らなかったので興味深かった。
親鸞と蓮如についての著者の比較、考え方は学者のそれとは違い、
分かりやすく、偉大な宗教者に対する親近感がわいた。
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著者プロフィール
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