江戸川乱歩傑作選 (新潮文庫)

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  • 新潮社
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レビュー : 846
  • Amazon.co.jp ・本 (352ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101149011

感想・レビュー・書評

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  • 初江戸川乱歩作品。

    『二銭銅貨』
    江戸川乱歩の導入としてやさしめなお話。怪盗に憧れる書生二人の知力バトルと思いきや、最後の思わせ振りな描写が秀逸。

    『二癈人』
    ある意味一番ぞっとした話。こういう巧みな心理操作で人生が狂うというのはミステリーというよりとてもリアルな感じ。

    『D坂の殺人事件』
    明智小五郎初登場作品。
    奇抜なトリックを描くのではなく人間心理の奥深さ、恐ろしさを描く、江戸川乱歩独特の探偵小説。素人の主人公がトリック的な部分に着目して犯人を見誤ったのに対して、探偵の明智小五郎は徹底的に心理的な部分を探索して真実にたどり着いているのが面白い。

    『心理試験』
    こちらもお得意の人間心理を専門的に描いた作品で、明智小五郎も登場。
    主人公は殺人に至るまでに色々と考えを巡らせ、知力の限りを尽くして偽装工作も万全に整える。だけど明智小五郎の眼力にかかればそんながっちがちに固めた偽装工作にもわずかな綻びが見つかって、最後は粉々に崩壊。

    『赤い部屋』
    罪に問われることのない殺人。作中では作り話ということになっているけれど、現実にそんなことがあるのかもしれないと思わせるトリックと、赤い部屋の中に漂う緊張感が凄まじかった。

    『屋根裏の散歩者』
    ちょっと滑稽な感じのするお話。他の作品同様、殺人がなされそれが探偵によって暴かれるという内容だったけれど、主人公が屋根裏から覗く人間模様をメインに描いても面白そう。

    『人間椅子』
    まさに気味が悪いの一言。屋根裏の散歩者に似ていて、他から気づかれずに人の様子を観察しているわけだけれど、椅子の中の観察者が観察相手に対して抱く欲情など、とてつもなく狂気。

    『鏡地獄』
    鏡の魅力に取り付かれて狂っていく青年のお話。これも相当理解も共感も困難な話だけれど、親もなく周りに構ってくれる人間も少なく、財産だけがたくさんあるという状況で、少しずつ世間一般とは感覚がずれていってしまう様子はなんとなく分かる感じがした。

    『芋虫』
    閉鎖された空間の中でただただ獣のように快楽に溺れる男女のお話。
    何が恐いかって、手足を無くして何も出来ない状態であるにも関わらず生かされた人間の悲惨な末路がとてつもなく後味が悪く恐ろしい。

  • いやはや乱歩をなめていた。

    どの作品も素晴らしかった。
    どんでん返しとか、趣向とか、全然現代に通じるよ!と言う感じ。

    そして読みながら、現代作品に影響を与えてるんだなあと思ったり。
    D坂は恩田陸、心理試験は東野圭吾、赤い部屋や人間椅子は乙一っぽい。他にもなんかどっかで読んだような話というのを大昔に書いてるんだから、乱歩はすごい。

    少年探偵団のワンパターンさしか印象になかったので、なめきっていた。すごいなあ。

  • ピース又吉さんの「第2図書係補佐」で紹介されていたので図書館で借りました。初めての江戸川乱歩です。

    人間の心の闇と、変態的な欲望の独特の表現が非常によかったです。どれもよかったけど、個人的には「人間椅子」「鏡地獄」「芋虫」が好き...というか、変態大爆発という感じでした。一気読みではなく、夜な夜な1話ずつ楽しみました。

  • 変態による変態のための変態の推理小説。

    あまりの読みやすさに驚いた。
    推理も勿論素晴らしいが、人間の深層心理や生理的欲求による犯罪の恐ろしさを表現するのが巧みすぎる。怖いもの見たさに、ページをめくる手が止まらなかった。

  • 満島ひかり主演でが映像化したものを見て興味が湧いたが、
    本当に本当に本当に傑作で感動している。
    ずっとこんなお話が読みたかった...

  • 面白い。文章や構成が巧みで、じっくり読んで味わいたいと思うのだが、続きが気になって頁をくる手が止まらない。終盤に向かって不穏な空気を思いきり高めておいて結末で救済する、心理面でのどんでん返しが凄く好き。「赤い部屋」がマイベスト。

  • 初の江戸川乱歩

     二銭銅貨
    泥棒の話がメインかと思いきや、松村と私の騙し合いバトルが中心。
    暗号の下りが分かりづらい。読んでて混乱した。当時の金銭感覚って5万でも大金だったのね。
    自信満々に推理する松村を、最後に私が逆転するのは爽快。

     二廢人
    最後のどんでん返しが面白い。最初の方を読み返すと、「見覚えがある」など結構伏線あったのに気づかなかった。なんでわざわざ木村はネタバラシしたんだろう。井原を騙したことに罪悪感あったのかな。
    最後の一文が好き。木村にハメられたのに、怒らず讃美しちゃう井原の心の広さが素敵。後味よき。

     D坂の殺人事件
    「私ドMなの...首絞めて殺されてもいい」出会い系で知り合った女との行為中、そう言われてドン引きしたことがある。まさに古本屋の細君のような女だ。不本意ながら(自分はSではないんで)、首絞めてみたけど全然興奮しなかった。古本屋の主人も毎晩こんな感じだったのかと思うと同情するわ。互いの性癖を満たせる関係じゃないと、恋愛は長続きしないと思う。夜の相性も大事だからね。

     心理試験
    受験生顔負け。心理試験に対して予習する蕗屋の努力っぷりが面白い。その才能を他に活かせば良かったのに。完璧すぎるが故に明智に見破られちゃって残念。単語言わせて反応見るのは、慣れれば素人でも出来そう。
     盗んだ金を交番に届けて時間をかけて受け取る、というアイデアが面白い。すごく慎重な犯人。俺だったらすぐお金欲しいから、こんな考え浮かばないや。

     赤い部屋
    殺し方の発想がすごい。友人に崖ダイブさせて死なすのはエグくて笑った。「日常の些細な行為が俺も殺人に関与することがあるのでは?」と思わさられた。ラストは斜め上で衝撃で白けて残念。偽物ピストルから本物バーンで終わってくれたら良かったのに。

     屋根裏の散歩者
     郷田三郎の性格が面白い。自分のやりたいこと見つけるまで、あらゆる事をやり尽くす行動力は見習いたい。人々が外で見せる顔と中で見せる顔、異なるのがリアル。ちなみに俺は外面いいけど、家の中では死人みたいな顔してます。最後、郷田が自首するのを見越して退場する明智カッコええなー。

     人間椅子 
    人間が入れる椅子ってどんなデカさなんだろ。想像できない。椅子の中で女の身体と触れる感触味わってみたいな。創作か実話か、いずれにせよ最後は気持ち悪い余韻が残る。

     鏡地獄
    ニキビ面みる所と、蚕を半殺しにする所の描写がリアルで気持ち悪かった。友人がヤバい趣味に走ったら止めないと大変なことになる、そう思わされた。

     芋虫
    気持ち悪さNo.1の作品。目だけギラギラしてる肉塊が怖かった。人間の部位で1番生命力あるのは目かもしれない。目を潰すところ痛かったなー。何も抵抗できない相手を一方的に支配する、その感覚ちょっと分かるから時子に共感した。

  • 探偵小説の第一人者といえば江戸川乱歩ではないか。本作は傑作選のため、選りすぐりの作品が収録されているが、中でも【人間椅子】の恐怖感と最後の安堵感は凄まじかった。

  • 「D坂の殺人事件」のみ読了。タイトル有名だけど、実はまだ読んだことなかったので、実は明智小五郎とは初めての邂逅。whodunitとwhydunitの合わせ技。そして乱歩らしい設定。楽しめました。


  • 乱歩の初期作品集という事で、最初はある程度
    探偵小説じみたものから回を増す毎に人間の
    キチガイじみた欲求を芸術に昇華した恐怖小説…
    という印象だった。
    巻末の評論では乱歩が作家に就くまでに、
    いくつかの職を渡り歩いていたことで得た
    発想をもとに生まれた作品もいくつか
    あったようで、これらは数多の知識と
    経験の為せる技なのか…と納得した。

    まず乱歩のなにが好きかというと、
    事件におよそ関係のない事柄は省略し
    要点だけを述べてかつ、重大なことは
    見落とさないよう注意してくれることで
    読み手を脇道に逸らさないでいてくれること。

    書き手である乱歩自身が時折、
    作中に語り手として現れて「読者諸君」と
    語りかけてくれることで親密感を味わえること。

    ミステリーというよりは人間の心理を巧みに
    操った非現実的なようでいて身近に潜む犯罪の
    恐ろしさが凝縮されてこの一冊で味わえる事。
    人間の生理的な欲求がそのまま犯罪思考に
    つながっていくという事が、決して他人事では
    ないようなそんな恐ろしい感覚。

    すべては乱歩の思うがままに事が運んでいくことが
    なんの抵抗もなく素直に受け入れられる。



    「芋虫」が間違いなく傑作であると思えるのは
    わたしの中に無自覚のうちにある残虐性に
    よるものではないと思いたいのですが……

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著者プロフィール

江戸川乱歩(えどがわ らんぽ)
1894年10月21日 - 1965年7月28日
日本を代表する小説家・推理作家。三重県生まれ。ペンネームの江戸川乱歩は、小説家エドガー・アラン・ポーに由来。早稲田大学で経済学を学びながらポーやドイルを読む。様々な職業を経験した後、大正12年、雑誌「新青年」に「二銭銅貨」でデビュー。昭和22年、探偵作家クラブ結成、初代会長に就任。昭和29年、乱歩賞を制定。昭和32年から雑誌「宝石」の編集に携わる。昭和38年、日本推理作家協会が認可され理事長に就任した。代表作に『D坂の殺人事件』、『陰獣』、『孤島の鬼』、『怪人二十面相』、『幻影城』、『探偵小説四十年』など。少年探偵団シリーズは絶大な人気を博した。

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