- 本 ・本 (240ページ)
- / ISBN・EAN: 9784101149189
感想・レビュー・書評
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もう全てが好き。
尊敬してやまない。
「いいね、うんまい。」って言いながら一緒に飲んでいる気分。
そして、死の匂い。 -
美味しいものエッセイだと思っていたら短編小説でした。
世の中には色々な食べものがあるんだなぁ…とふんわり思いました。面白かったです。
食指が動くものはあまり無かったですが、それでもなんだかしみじみしました。哀愁が漂っています。
馬のたてがみは食べたことありました。美味しかった。 -
レースのように透き通り、黒い目玉と、かそけき背骨が板の中に、ひっそり無数に浮かぶ。ばらばらの方を向き、でも、右往左往ではなく、静謐な諦観さえ感じられる──「たたみいわし」
ほてる舌の上で、滑らかにスープになってとろけていく。滋味に満ちた海の恵み。喉を震わし、滑り落ちる、透き通る、繊細な涙のような愛撫──「にこごり」
ひらひら透明な氷頭を噛み締めながら、良く生き、良く死ぬことの難しさを味わう──「ひずなます」
珍味をテーマに設けての超短篇集。日々月々年々、徐々に変容するだけの消えない悲しみ、死ぬことについて、生きることについて。静かに、でもどこかあっけらかんと語る全68話。
大人になって、やっとわかる味がある。まだわからないということは、これからわかる楽しみがあるということだ。
食べ物を考えることは、生きることを考えることなのかも。 -
うばい、うみたけ・・・。珍しい酒肴の数々を題材にした3ページの小さな物語が68編。様々な関係の二人の親密な会話場面の作品が多く、人生を形作る幸せや困難の時間を過ごす人々の情景を描き出すこの短編集は、TVで元気な姿を見せながらも迫り来る死を強く感じていたであろう作者の人生観・死生観を映し出している。説明書きの付いた丁寧なイラストで紹介される68種の珍味を実際に味わいながら、もう一度ゆっくりと読みたい。
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杉浦日向子さんの遺作だと、本を開いてから知りました。本当に観察力に優れ、それを言葉に置き換える力に優れた方だったと思います。口にしたことのない食材まで、ありありとその味が想像できます。そして組み合わせてあるお酒が絶妙。珍味はあまり得意ではないけれど、試してみたくなるから不思議です。
添えられているショートストーリーも、人間くささがしっかり描かれていて、滲みました。 -
梅水晶、なんて名前を考えついたひとは、きっと私と同じように、本と酒が大好きなひとだったのだろう。
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珍味レポートかと思いきや、珍味がエッセンスになってる短い読み切り小説だった。ものすごく短い時間を切り取ってるんだけど、出てくる人達の背景がしっかりあって、全部長編になり得るくらいの質の高さ。石持浅海の作品にも美味しいものを食べる話があって、それを読んだときにも思った事だけど、「誰と」「どんなときに」「何処で」ってことで食事がどれだけドラマティックになるか。物語の出来の良さが過ぎるので自然に感じるが、よく考えれば珍味であればこその物語。杉浦日向子さんは江戸に詳しい人、という印象が強いが、物語作家として素晴らしいんだなと改めて思った。
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【本の内容】
とっておきのちんみ、美味い酒、愛おしい命。
「江戸の達人」が現代の女と男に贈る傑作掌編小説集。
未婚の母を決意したタマヨが食べたいという「たたみいわし」。
幼なじみの墓参の帰りに居酒屋で味わう「かつおへそ」。
元放蕩息子のロクさんが慈しみつつ食す「ひょうたん」。
ほかにも、「青ムロくさや」「からすみ」「ドライトマト」など68種。
江戸の達人が現代人に贈る、ちんみと酒を入り口にした女と男の物語。
全編自筆イラスト付き。
粋でしみじみ味わい深い、著者最後の傑作掌編小説集。
[ 目次 ]
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☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度
☆☆☆☆☆☆☆ 文章
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☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性
☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性
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[ 関連図書 ]
[ 参考となる書評 ] -
珍味よりは、お酒に気がいってしまいます。
銘酒あっての珍味か。
著者プロフィール
杉浦日向子の作品





