忍者からす (新潮文庫 し 5-47)

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  • Amazon.co.jp ・本 (349ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101150475

感想・レビュー・書評

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  • 本書は九編からなる連作の忍者伝奇小説である。「オール読物」に昭和39年 1月号から12月号にかけて連載された。短篇集ではないので、はじめから順に読んでいったほうがよい。柴錬といえば忍者小説の大家であるが、 本作は熊野権現の幻の忍者団"熊野神鴉党"の忍び「鴉」が代を継いで、 歴史上の意外な人物と交錯していくという趣向で、いかにもそれらしく 描いているので、初めは史実なのかと思って読んでいた。その人物とはすなわち「一休禅師」「山中鹿之介」「塚原卜伝」「丸目蔵人」「由井正雪」「幡随院長兵衛」「蜀山人」「国定忠治」である。なんと・・・怱々たる日本の傑物たちの活躍の陰に「鴉」たちの暗躍があったとは・・・なんてね。もちろん、 これらは小説であり、作者の想像力の飛翔にまかせた忍者譚である。 柴錬節全開で最後まで面白く読めた。

    本書の「鴉」のような、まるで超能力者の忍者は多くの小説に登場する。それは半ばホラ話であったが、いつの間にか超人としての忍者像は俗世間に定着して、海外でも同様に認識されるようになった。漫画「NARUTO」や海外で制作される忍者映画などを観てそう思う。小説など創作物の力もバカに出来ないものだとつくづく思う次第である。

  • 忍者小説の醍醐味は、著者の圧倒的な想像力。柴錬はすごい!

  • 柴錬のものは総じてハズレが少ないが,これは特に忘れられ気味なのが惜しいような秀作.16世紀から19世紀まで代替わりしては歴史に暗躍する異形の忍者.という設定もいいし,各章の物語も変化に富んでいて飽きさせない.

    漫画原作としても向くと思うのだが,まだ手を付けられていないようである.

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著者プロフィール

1917年-1978年.岡山県生れ。慶應義塾大学支那文学科卒業。在学中より「三田文学」に現代ものの短編を発表。戦後、「書評」の編集長を経て、創作に専念。1951年、『イエスの裔』で第26回直木賞を受賞。以後、時代小説を中心に創作し1956年より「週刊新潮」連載開始の『眠狂四郎無頼控』は、剣豪小説の一大ブームを起こす。1969年に『三国志英雄ここにあり』で第4回吉川英治文学賞を受賞主な作品に『赤い影法師』『御家人斬九郎』『剣は知っていた』『決闘者 宮本武蔵』『チャンスは三度ある』など多数。

「2022年 『第8監房』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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