梟の城 (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社
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本棚登録 : 3557
感想 : 268
  • Amazon.co.jp ・本 (672ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101152011

感想・レビュー・書評

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  • はじめての歴史小説、はじめての司馬作品。
    最初はうんうん言いながら読んでいたけれど、途中から加速度的に面白くなって、一気に読んだ。
    色々な人の立場になって考えてみると、人間らしくあることも仕事人として生きることも、ただの特徴であって、場面で瞬間的に使い分けないといけないな、って勉強になった。

  • 1960年(昭和35年)
    前半期の直木賞(第42回)受賞作

    あらすじ
    織田信長による伊賀侵攻である天正伊賀の乱から10年後、伊賀忍者・葛籠重蔵(つづらじゅうぞう)は隠遁生活を送っていた。仇としていた信長はすでにこの世の人ではなくなり、生きる希望を失っていたが、かつての師匠・下柘植次郎左衛門から、太閤秀吉暗殺の依頼を受ける。忍者としての生涯を華々しく終えることのみを考えていた重蔵は依頼を引き受け、秀吉暗殺に乗り出す。堺の豪商・今井宗久のもとへ向かう途中、小萩という、宗久の養女が現れ、二人は通じ、密かに愛し合うようになる。だが、彼女は重蔵を見張る役目を持ったくノ一だった。重蔵は木さる、黒阿弥らとともに、伊賀を裏切った風間五平らと対決し、秀吉の居城伏見城へ潜入する。
    感想
    時代劇では無い、ハラハラドキドキ
    記憶に残る一冊。

  • 忍者ものでは、この作品が一番好きです。派手さはなくても、重厚な感覚と逆の疾走感も味わえる。読み終わるのが残念でした!

  • 織田信長によって一族を惨殺された怨念と、忍者としての生きがいをかけて豊臣秀吉暗殺を狙う伊賀者、葛籠重蔵。その相弟子で、忍者の道を捨てて仕官をし、伊賀を売り、重蔵を捕らえることに出世の方途を求める風間五平。戦国末期の権力争いを背景に、二人の伊賀者の対照的な生きざまを通して、かげろうのごとき忍者の実像を活写し、歴史小説に新しい時代を画した直木賞受賞作品。



    歴史小説のレジェンド、司馬遼太郎の直木賞作品ということで、面白そうだなあと手にとった。

    武士とは違う、忍者の乱破らしい飄々とした姿に新鮮味を感じつつ、登場人物たちのキャラクターに惹かれていきました。

    伊賀の忍者として暗躍する主人公の重蔵が、忍者として生きることを望み、秀吉の暗殺を実行する場で秀吉本人と話すうちに気分が変わって土壇場で殺すのをやめたり、人間らしい感情の変化が垣間見れて面白かった。
    また、甲賀の忍・小萩との関係について。重蔵に恋をして忍者の世界から足を洗い、普通の人間の生活をしたいと望む小萩。彼女を突っぱねたりしながらも、戦闘で傷を負った際に会いに行ったりなど、徐々にお互いに惹かれあっていくところに魅せられた。
    対照的に、風間五平と木さるの様子も良く描かれていたと思う。木さるの性格もなんだか憎めなくて良い。

    武士として生きたいと伊賀を捨てた五平だけれど、結局忍者としての習性も捨てきれず、曲者として捕らえられてしまう最期に、なんとも切ないなあと…。

  • シバさんがまだ現役新聞記者であったころの連載で、本作での直木賞受賞をきっかけに作家を本業へと切り替えたという時代背景。そうした触れ込みから「大衆向け作品」の香りがしていたのでなんとなく後回しにしていたけれどようやく手にした次第。

    誰かが「司馬は女が書けない」と評していたのをどこかで読んだが、なんのなんの、ほぼ長編デビュー作においてこんなにもたおやかに書ききっていらっしゃるではないか。そうしたある種メロドラマ的な下世話な内容も含まれているのは新聞連載という形式上読者の興味は保たねばならず、つまりは大衆に迎合した作品に傾いていることは否めない。一方でそのごの本職時代を通じて読者が何を欲しているか、その時代がどういった読み物を欲しているかということに長けていたのもシバさん、この頃からその片鱗を見せていたともいえる。というかその後はシバさん、一定の読者層のレベルを引き上げ続けていったようにも思える。

    とはいえその後の彼による全著作物の中では娯楽作品としての度合いが強い方に分類されるのではなかろうか。まだまだ読みきれてない中でこうした分析をするのはまだおこがましいか。

    しかし京と甲賀伊賀を徒歩にて往復すること、そんなに簡単でないことはわかってほしい(笑) 今は第二名神、通っちゃったけどね。

  • 司馬遼太郎氏と言えば、戦後の日本を代表する小説家の一人です。
    作品を読んだことがある方もいらっしゃるかもしれませんね。

    本木雅弘・阿部寛主演で『坂の上の雲』が映像化されたり、『竜馬がゆく』、『国盗り物語』、『功名が辻』など、大河ドラマの原作になった作品も多いです。

    そちらを観たことがあるという方も多いのではないでしょうか。

    その中でも『梟の城』は、1960年に司馬遼太郎が直木賞を受賞して、一躍文壇デビューを果たすきっかけになった作品です。


    【秀吉暗殺をもくろむ忍者の生きざま】
    本作は戦国末期、豊臣秀吉の天下に陰りが見え始めたころを描いています。

    織田信長に家族を殺された、葛籠重蔵(つづらじゅうぞう)という伊賀忍者が主人公です。

    重蔵は忍者から足を洗い、長らく隠遁の生活を送っていました。

    そんなとき、とある縁から豊臣秀吉暗殺の依頼を受けます。

    信長に恨みのあった重蔵は、後継者たる秀吉を誅することで仇討ちをしようと依頼を引き受けます。

    しかし、任務を果たそうとするうちに、かつて共に死線を潜った仲間が裏切って敵方に仕官していたり、くノ一と恋仲になり任務と恋の狭間で揺れたり…。

    はたまた伊賀忍者永遠のライバルである甲賀忍者の邪魔が入ったりと、多くの試練が重蔵を襲います。

    重蔵の敵討ちの想いは結実するのか?

    そんなハラハラドキドキの展開を、司馬遼太郎は透徹な筆運びでハードボイルドに描いています。

    もちろん、司馬遼太郎作品の醍醐味である”司馬史観”も随所に散りばめられています。


    【障害を乗り越える】
    本作を読みながら、重蔵が様々な障害を乗り越えようと苦心する姿に、私自身の起業したてのころを重ね合わせました。

    私はメンターから、
    「例えば、椅子に座っているときは目の前のテーブルは邪魔にならないが、立ち上がって前に進もうとしたら、そのテーブルは障害となる」
    と教わりました。

    何か新しい行動を起こすときは、今まではなにごとでもなかった事象がくるりと障害に姿を変えることがある、という意味です。

    重蔵も、仇討ちの為にときの天下人秀吉を誅するという大望を持つことで、隠遁の生活を続けていたら起こりえなかったであろう障害を体験します。

    しかし同時に、重蔵は達成しようとする過程で、隠遁の中では絶対に得られなかった感情の高揚を手にします。

    まさに私も重蔵のように、普通の会社員として過ごしていたら無縁だったであろう、精神的な成長、仲間、収入などの価値あるものを、たくさんの試練を乗り越えて得てきました。

    『梟の城』は、今なにかを志している人、変わろうともがいている人が読むと、自分を強くすることができる一冊だと感じています。

    もちろん、エンターテインメント性も抜群で読み物としても超一流ですので、ぜひ読んでみて頂けると幸いです。

  • 伊賀忍者の重蔵さんと甲賀くの一の小萩ちゃんのラブストーリーだ。恋などしては忍の終わりと愛情を自重する重蔵さん。重蔵さんを見事騙しきり殺すことができれば愛する一流忍者の敬意が得られると思っちゃう小萩さん。二人のやり取りが面白い。二人とも自分の美学を貫くのに恋が邪魔なんだけど、恋には逆らえませんでしたね。
    主従が大好きなので、重蔵さんに長年尽くしすぎる黒阿弥さんに心が騒ぎました。黒阿弥さんは、重蔵さんが秀吉暗殺の任を受けなかったら、山小屋で重蔵さんと添い遂げる人生を送るつもりだったの?!

  • 物凄い分析力と想像力。そしてそれを表現する文章力が凄い。

    人の心の動きとか。。もはやそこで全部見ててインタビューでもしたのかというくらいのレベル。

    ラストも良かった。
    ただ、木さるがどうなったのかが気になってしょうがない。
    全体的には登場人物全てが人間臭くて良い。イキイキとしてる。

    面白かった。

  • 面白かった!
    最後は別に五右衛門に繋げなくても良かった気が…
    でもスピード感もあってサクサク読めた。

  • 映画を見てから読んだんだけど、やっぱこれはすごい。

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著者プロフィール

司馬遼太郎(1923-1996)小説家。作家。評論家。大阪市生れ。大阪外語学校蒙古語科卒。産経新聞文化部に勤めていた1960(昭和35)年、『梟の城』で直木賞受賞。以後、歴史小説を次々に発表。1966年に『竜馬がゆく』『国盗り物語』で菊池寛賞受賞。ほかの受賞作も多数。1993(平成5)年に文化勲章受章。“司馬史観”とよばれ独自の歴史の見方が大きな影響を及ぼした。『街道をゆく』の連載半ばで急逝。享年72。『司馬遼太郎全集』(全68巻)がある。

「2020年 『シベリア記 遙かなる旅の原点』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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