- Amazon.co.jp ・本 (592ページ)
- / ISBN・EAN: 9784101152080
作品紹介・あらすじ
幕末の動乱期を新選組副長として剣に生き剣に死んだ男、土方歳三の華麗なまでに頑な生涯を描く。武州石田村の百姓の子"バラガキのトシ"は、生来の喧嘩好きと組織作りの天性によって、浪人や百姓上りの寄せ集めにすぎなかった新選組を、当時最強の人間集団へと作りあげ、己れも思い及ばなかった波紋を日本の歴史に投じてゆく。「竜馬がゆく」と並び、"幕末もの"の頂点をなす長編。
感想・レビュー・書評
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新選組をテーマにした作品は沢山あるが、今までは興味を持って、見てきたものはそれほど無かった。今回も妻からの勧めで、司馬遼太郎作品から始める。あまりにも有名な小説だ。
京都育ち、京都住まいの私。新選組が歩いた京都の世界に、引き込まれるのにはそう時間は掛からなかった。
時は幕末。ここ京都。その名は新選組。
よく見るあの羽織、誠の字。色んなイメージがあるだろう。
本書は土方歳三にフォーカスした時代小説。
格好いいけど、どこか寂しく、不器用な男。剣に生きたその姿を描く。
概ね、登場する人物の印象は、他のそれと変わらないが、沖田の人柄には誰だって好感を持ってしまうだろう。だから切ないのだ。
新選組を強くする。その為に、あくまで副長であること、近藤を輝かせ、嫌われ役は引き受ける。妥協を許さぬ規律の中で、登場人物それぞれの思惑が交差する。
また、人の感情、腹の底について巧みに表現されていて、読んでいて心が動く。
嘘のようで本当の話。本当のようでうその話。
全部ひっくるめて、エンタメ作品である。
かつての日本に実在した若者たちの熱き活動を見る。
上巻読了。
下巻へ。 -
1962年から 1964年
新選組副長・土方歳三の生涯。
東京の片田舎、武蔵国多摩で、バラガキで百姓の息子である、歳三。
幕府の浪士徴募に、大和武士と成らんとして、同道場の近藤勇らと、共に京へ出立。
浪人集団を、とにかく強い組織にすることを目標とし、新選組を結成。
剣の腕前と、組閣力は、確か。
数々の維新志士達との闘いに明け暮れる。
そこに、思想とか主義は、読めない。
とにかく、切る。
もう、幾つ手首が転がったんだかわからない。
強い集団を作る、武士としてのステイタスを得ること、それが、原動力。
歴史の流れの中央部へ向かっていく、偶然と必然。
誰も止められない怖さ。
近藤との折り合いも悪くなりつつ、周囲から疎まれ始め、下巻へ。
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【あらすじ】
幕末の動乱期を新選組副長として剣に生き剣に死んだ男、土方歳三の華麗なまでに頑な生涯を描く。
武州石田村の百姓の子“バラガキのトシ”は、生来の喧嘩好きと組織作りの天性によって、浪人や百姓上りの寄せ集めにすぎなかった新選組を、当時最強の人間集団へと作りあげ、己れも思い及ばなかった波紋を日本の歴史に投じてゆく。
「竜馬がゆく」と並び、“幕末もの”の頂点をなす長編。
【内容まとめ】
1.新撰組の発足から失脚・殲滅までを描いた幕末物語
2.新撰組プロデューサーの土方歳三は策士、レイプ魔、そして最強
3.近藤勇は神格化された無能
4.新撰組は史上最悪のブラック企業
【感想】
新撰組のストーリーを描いた物語。
中でも、副隊長の土方歳三の一生を中心に描かれている。
農民上がりで弱小道場出身の近藤・土方が何故、そもそも何故こんなにも強いのか?という事は置いといて、単純に面白い!!
司馬遼太郎の作品は結構わき道にそれるのに、この作品はほとんどそういったヨリ道無しで、1000ページ弱でまとめられているため読みやすい!!
新撰組発足→幕末の京舞台→維新→戊辰戦争までをたった2冊でまとめるとは・・・
「翔ぶが如く」や「坂の上の雲」もそれぐらいにまとめろよと思う。笑
やはり幕末はドラマチックだなー
坂本竜馬が大好きだけど、幕末は色んな視点から読んでみるとより面白いな。
今度は長州目線の「世に棲む日日」を読みたいなー
【引用】
p192
「つまりは、こうか。新党結成の願いを、芹沢を通じて京都守護職様に働きかけさせるのか。」
「そうだ。芹沢は毒物のような男だが、この際は妙薬になる。そのうえ都合のいいことに芹沢一味の5人とは、同じ宿ときている。」
もしこういう偶然がなければ、新撰組は出来上がっていたか、どうか。
土方歳三と近藤が、入洛(じゅらく)後まず熱中した仕事は清河斬りであった。
p197
近藤は苦しくとも精一杯のお世辞は言わねばならぬ。
これが黒幕の土方歳三が引いた図式なのである。
事を成すまでは、どうしても芹沢鴨という男が必要だった。
p212
軍用金はどうなるのか。
13人の隊士の食う米塩をどうするのか。
壬生の郷中の者は、隊士の服装を見て、みぶろ、壬生浪、と嘲り始めていた。
p248
「罪あるは斬る。怯懦(きょうだ)なるは斬る。隊法を乱す者は斬る。隊の名を?(けが)す者は斬る。
これ以外に、新撰組を富岳の重きに置く法はない。」
「歳、きくが」
近藤は、冗談めかしく首をすくめた。
「俺がもしその4つに触れたとしたら、やはり斬るかね?」
「斬る」
「斬るか、歳。」
「しかしその時は私の、土方歳三の生涯も終わる。あんたの死体のそばで腹を切って死ぬ。沖田総司も死ぬだろう。天然理心流も新撰組も、その時が最後になる。」
「近藤さん、あんたは総帥だ。生身の人間だと思ってもらっては困る。
奢らず、乱れず、天下の武士の鑑であってもらいたい。」
p274
歳三の持っている唯一の可愛らしさが、おそろしく下手で月並みな俳句
「公用に、出て行く道や 春の月」
「知れば迷ひ 知らねば迷はぬ 恋の道」
朝、佐絵を想った。想うと、たまらなくなった。
p304
戦場の場で臆した者は、後で必ず処罰した。処罰といっても在来の武家社会にあった閉門・蟄居(ちっきょ)といった生温いものではない。全て死罪である。
隊士にしてみれば、乱刃の中で敵に斬られるか、それとも引き上げてから隊内で斬られるかのどちらかであったから、決死の日常である。 -
歳三や総司が魅力的なのは言わずもがなだけど、七里や山南も好きだなー。
近藤が思想を重んじたのに対し、歳三はルールや士道を用いて組織を強化しようとしたのが興味深いですよね。 -
ゴールデンカムイ→土方歳三つながりで気になって久々に長編小説を読みましたが、とにかく面白い。
小説がこんなに面白いとおもったのは何年ぶりか、です。
小説を読むのは何年も遠ざかっていましたが、この本のおかげで読書熱が再燃しました。
ストーリーは史実にある程度沿っていますが、フィクションも入っていて実際の土方歳三がこう生きたわけでは、多分ありません。
でも「本当の土方歳三がこんな人物であってほしい」と思うほどに司馬先生が書いた土方歳三は魅力的でした。 -
幕末の日本で、敵からも味方からも最も恐れられたのがこの男。
新撰組副長として、必死に生きていく漢の中の漢。
魅力的な作品で、土方歳三の虜になります。 -
函館で読んだ。が、舞台はまだ京である。
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燃えよ剣を読んで、新選組にどっぷりとハマってしまった。
京都に行った際には、池田屋跡地や壬生寺に足を運び、芹沢鴨との決闘でできた柱の刀傷など現壬生寺の当主に説明してもらったりした。
好きすぎて夢にも出てきた。自分が新選組の隊士で鬼の副長である土方が、当時勤めていたベンチャー企業の鬼の部長と呼ばれる人だった(笑)。
竜馬がゆくと賛否は分かれるけど、これはこれで幕末のもうひとつの物語。尊皇攘夷派と倒幕開国派と思想は違えど一生懸命に生きる幕末の若者の生き様が見れる作品。是非ともオススメしたい。
著者プロフィール
司馬遼太郎の作品





