燃えよ剣(下) (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社
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レビュー : 835
  • Amazon.co.jp ・本 (560ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101152097

感想・レビュー・書評

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  • もはやノンフィクションのような歴史小説。
    土方歳三だけでなく、近藤勇も沖田総司も、イメージ通り。
    むしろ司馬遼太郎の作ったイメージが一般的になってしまっているようですね。

    新撰組を結成するあたりや池田屋事件とかもドラマチックだけど、その後の新撰組じゃなくなってからの話もおもしろかった。

    戦いに生きる男の気持ちは共感できないけど、真っ直ぐな芯の通った生き方はかっこいい。
    お雪との出会いと別れが切なくてよい。

  • 下巻。
    ここからの新撰組は、正直いいところがあまりなく、戦績だけで見るとほぼ負け戦だ。それは史実で知っていた。
    けれど土方の目線で戦を見つめると、彼は殆どの戦局を読んでいる。色々な事に気がつき、知識も頭に入れた上で、最後に勘を持っている。
    その彼が新撰組が瓦解した後、最後まで戦をつづけていく姿が本当にかっこうよく、時間を忘れて読み進んだ。
    上巻に2週ほどかかっていたが、下巻は4日ほどで読み終わった。

    組織を維持するために冷酷な処断もし、鬼の副長と呼ばれた土方が、後半江戸に帰ってからというものどんどんと人間味をおびてくる。
    最後の五稜郭で、新撰組として戦ってきた人たちを江戸に帰す、自分についてきたお雪とも別れる、慕ってきた小姓を自分の故郷へ送る。皆、土方と戦いたくて残ると言うが、それをよしとせずに見送る。
    何人もの人を殺してきた土方が、最後に信用して信頼して生き残らせるのが新撰組からの仲間であるのは、土方の人間としての優しさを見てしまった気持ちになった。
    彼は死ぬことを決めていたが、それを誰かと道連れに共有するつもりはなく、ただこのまま生きながらえる生涯だけは、先に死んだ仲間にあわす顔がない。その一心で最後まで駆け抜けた土方が格好よく、哀れにも見える。

    最後の晩、死んだ仲間達の亡霊を見る。その姿のあった場所に寝そべる。ぬくもりを追おうとする。
    土方が愛おしく思えた。

  • 最後まで武士の魂を捨てずに幕末の世を駆け抜けた男。

    勝つことだけに戦うのではない。
    その魂を持った人は、この土方歳三さんだけだ。

    読めば、世界観が変わる。

  • 【内容】
    元治元年六月の池田屋事件以来、京都に血の雨が降るところ、必ず土方歳三の振るう大業物和泉守兼定があった。新選組のもっとも得意な日々であった。やがて鳥羽伏見の戦いが始まり、薩長の大砲に白刃でいどんだ新選組は無残に破れ、朝敵となって江戸へ逃げのびる。しかし、剣に憑かれた歳三は、剣に導かれるように会津若松へ、函館五稜郭へと戊辰の戦場を血で染めてゆく


    【感想】
    まるで、ロードショーを見ているかのような、
    鮮やかな描写。
    どうして、こうも、史実に基づくにせよ、
    想像で描けるなぁと思う。司馬遼太郎は天才だ。

    お雪という愛する女性が出来たことで、
    人間味が滲み出てきた、というのもあるなぁと。

    最後まで、義兄弟の近藤勇が亡くなった後も、
    新撰組の副長如く、武士として闘った。

    こんなカッコいい男はいない。


    最期の函館での、
    夢現の中で、近藤や沖田が現れたというのは、
    まさに想像だが、泣けた。

  • 土方歳三の生き様がほんとにかっこいい、と感じることができる。
    特にラストのシーンは必見。
    こんな人が約150年ほど前まで生きていたのか、
    と考えるとすごい。

  • 時勢が傾き薩長に弓引く者は賊とされ追われる側になった旧幕府軍及び新選組。
    激しい弾雨に散る者、負傷や病で離脱する者、方向性から袂を分つ者…かつての同志達が離別していく中、歳三だけは乗った喧嘩に降伏する術は当然持ち合わせておらず刀や槍の時代ではなくなって来た事を肌で感じるも、誠の旗に誓い武士として本懐を遂げる事を最後迄貫くのです。
    かつては京を震撼させた鬼の異名も北上するにつれ、角が削れ穏やかな顔を見せるも白刃戦となれば疾風迅雷鬼神の如し。「格好いい」の言葉以外出てこない!!
    肖像写真を見ても納得の男前ですけど生き様はそれ以上の漢前!
    数ある新選組文献で、私的王座の席はこの書を抜いて当分譲れそうにありません。

  • 上巻の熱気はいつのまにおさまったのだろうか。
    この本を読み返すたびに不思議に思う。
    下巻を読み進め、ふと一息つくと、
    物語の周囲に神秘的なまでの静謐さが漂っているのに気付く。
    それがどこを境目に変わったのか全く分からない。
    ただ気が付けば、空気が変わっているとしか言いようがない。
    司馬先生のすごさに驚くばかりだ。

    京から物語の舞台が移るにつれ、
    肩書きはどんどん変わっていくものの、
    自ら着込んだ鬼副長の皮は一枚一枚はがれていき、
    物語の最初に私たちが出会った「歳」に戻っていく。
    その無邪気さ、奔放さ。
    そして純粋さに、思わずため息が出る。

    私の大好きなシーンは、最後の幽霊のシーン。
    このシーンを読むと、必ず涙がこみ上げる。
    土方歳三の最奥部分に触れたような気持ちになる。

    初めて読んだのは高校3年生の夏。
    この本に出会ったから、今の私はある。
    今年読み返して改めて思った。
    やっぱりベスト1の座は当分変わりそうにない。

  • なんて強い男なんだろう、土方歳三。
    お雪への態度を見ていると決して強くないから鬼になったのかもしれない、とも思えるが、でもその鬼が歴史を変えたのだと思う。
    ここまで信念を貫かせたのは武士になりたい一心だったのか、新選組の為だったのか。
    最後の晩、そして土方歳三の最期に涙涙・・・。

    土方歳三が没して約150年。
    悪名として、賊軍として、その名は残っていないよ、とだけ伝えたくなった。

    誰にだ。誰かにだ。←

  • 新撰組土方歳三の生涯を描いた作。
    とにかく登場人物それぞれのキャラクターが魅力的。新撰組の知識がほとんどなかった自分も、読み終わる頃にはすっかり魅入られWikipediaで各人物を改めて調べてしまったほど。特に沖田と土方の関係が微笑ましくて好き。
    時代小説の恋愛は他著者の某書でオヤジの妄想が描かれているように感じて微妙だな~と思ったことがあったのだけど、この本の土方とお雪の恋は初々しく自然で何とも好感が持てました。

    土方の喧嘩人としての生き方・考え方にしびれる一冊。お勧めです。

    • 猫丸(nyancomaru)さん
      「土方の喧嘩人としての生き方」
      この本は土方像を作った一冊ですね。
      新選組と言えば悪役と決まっていた時に出たので、驚きを持って迎え入れられた...
      「土方の喧嘩人としての生き方」
      この本は土方像を作った一冊ですね。
      新選組と言えば悪役と決まっていた時に出たので、驚きを持って迎え入れられたと思います。。。
      2012/09/10
    • Tamaさん
      >nyancomaruさん
      逆賊として認識されていた新撰組が、年月を経て多くの人を魅了するようになったことは興味深いです。
      また司馬先生の豊...
      >nyancomaruさん
      逆賊として認識されていた新撰組が、年月を経て多くの人を魅了するようになったことは興味深いです。
      また司馬先生の豊かな人物造型力で描かれたこの作品が大きな後押しになっているはず、と思ってます。
      2012/10/08
    • 猫丸(nyancomaru)さん
      「年月を経て多くの人を魅了するようになった」
      日本人が、義を重んじて逆境を受け入れる人に共感を感じる、判官贔屓のようなものでしょうか?
      新選...
      「年月を経て多くの人を魅了するようになった」
      日本人が、義を重んじて逆境を受け入れる人に共感を感じる、判官贔屓のようなものでしょうか?
      新選組結成150年なので、また土方歳三や新選組の話を読みたくなってきたのですが、他に何か読まれたでしょうか?
      読んでみようと思っているのが、木内昇「新選組 幕末の青嵐」、北方謙三「黒龍の柩」と北原亞以子「歳三からの伝言」です。。。
      2013/04/17
  • 土方歳三のようなカッコ良い生涯を送ってみたいと思った。時代に流されることなく喧嘩のために生き、喧嘩で死ぬ。この筋が一本通った彼の人生が色濃く心に残った。

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著者プロフィール

1923年大阪市生まれ。大阪外国語学校蒙古語学科卒業後、産経新聞社に入社。59年「梟の城」で直木賞受賞。独自の史観を駆使し、戦後の歴史小説に新風を吹き込んだ。代表作は『竜馬がゆく』『坂の上の雲』『翔ぶがごとく』など。93年に文化勲章を受章。96年に72歳で死去。

「2008年 『豊臣家の人々 新装版』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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