- 本 ・本 (544ページ)
- / ISBN・EAN: 9784101152134
感想・レビュー・書評
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上巻に続き中巻。
関ヶ原の合戦に向け、西軍と東軍の準備が進んでゆく。義を重んじる者、大きな力になびく者。三成と家康が代表する歴史的な戦いが始まろうとしている。
多少は脚色されたものであるが、歴史小説から知る各大名の人物像には人間味が溢れ、自分ならばどういった立ち回りをするだろうか、とついつい考えさせられる。
引き続き、言葉、言い回しが難しく読むのに時間がかかる。読解力の足りていない自分を残念に思う。(涙)
読了。下巻へ。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
戦国時代の現場中継を見ているようです。徳川家康VS石田三成それぞれの人間関係、策略が俯瞰できるところが面白い。両者の様子を見比べて、自分だったらどちらにつくかを考えると、まさに究極の選択で、どちらとも言い難し。ただ応援するとしたら、三成の気分になっています。この小説の中での家康はどうもすきになれない。(百姓の立場だったら、新しい世の中になってほしいから、家康かなあ。)家康はワンマンに見えて、重要なところでは必ず会議にかけて全体にはかっている。家康の方がやはり、一枚うわてなんだよなあ。三成、惜しいなあ。
三成にどうか頑張ってもらいたいと思ってしまう、この不思議。関ヶ原の戦いの結果は、歴史事項として既に分かりきっているのに、文章にのめり込んでしまうというか引きずりこまれる。このようになるのは、司馬遼太郎さんの、登場人物に対する様々な思いが入っているからなんだろうなあ。著者の魂が乗り移っているようです。
三成、大谷吉継、安国寺、三人の話し合いの場面、細川ガラシャの最期、特に印象的でした。
関ヶ原の戦いの結末を筆者は、どのような言葉で締めくくるのか、石田三成の応援団の一人として気になるところです。
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今回も馴染みのある人物たちが登場してくれた
鬼島津とか山内一豊とか本田忠勝の娘とか真田幸村とか、、、
小早川はあんまり好きではない笑 -
中巻は大名が東軍か西軍、どちらについたら得かを考え決断していく様子が描かれており、わかりやすい展開でした。上巻は三成または豊家を中心に、それぞれの人物の性格が描かれており、三成と各人が対比で描かれていて、心理ばかりで少しモヤモヤした感じがありましたが中巻でかなりすっきりしてきました。
それにしても小山がそんな大事な舞台だとは知らず。一度遊びに行きましたが、なんか静かなところだな、散歩に丁度良いな、ぐらいにしか思いませんでした。 -
●「関ヶ原」(1966)
●「城塞」(1971)
●「覇王の家」(1973)
というのが、司馬遼太郎さんの「家康三部作」という呼び方もあるようですね。
司馬さんは全く家康に愛情を持っていないんですけど、その憎い家康が天下を取るまでを、ギリシャ悲劇的?とも言える哀切、悲壮、諦め、の感情と、冷徹な俯瞰的な目線で描いてますね。
「関ヶ原」中巻。
伏見、大阪にあって、事実上の天下人である家康。
だが、一応形式上は幼児・秀頼の家来。
このままうかうか歳月を経れば、自分は老いて秀頼が成人する。
徳川の天下にはならない。
さてどうするか。
この辺が面白いのは、じゃあだからといって、秀頼を殺害すればいいというものでもないんですね。
やろうとおもったら軍事的には出来るんですけど。
そこに、戦国なりの?桃山時代なりの?モラルというか、秩序があるんですね。
そもそも、秀吉が天下を取ったのも。
信長が死んで、なんとなく織田家から、織田家の所領と権力を奪った訳です。
これも、「織田の家来ですよ」というふりをしつつ。
ライバルの柴田勝家と戦争し、勝ち、柴田勝家を滅ぼすことで、事実上の権力を握ったんですね。
そして、なし崩しに、
「自分が上座、織田家は下座に座る」
という構図を作ってしまう。
そして、織田家は一大名になって、自分が天下人になる。
自分の子供に世襲する。
それと同じことを、より徹底して、家康は実行したいんですね。
だからまあ、実はモラル善悪で言うと、秀吉と同じことをしたにすぎません。
それを司馬さんも判っています。
ただ、「家康って、やり口は陰険だよなあ」という呟きなんですね。
ある意味、この小説はその呟きに尽きるとも言えます。
この中巻では、戦乱を起こしたい家康から始まって。
わがもの顔に横暴を繰り返す家康に腹を立て、共同で戦乱を起こす、石田三成&直江兼続。
そして、戦乱が始まる…。
というところまでなんですね。
中巻から、ぐっと色合いが増すのが、「群像劇具合」だと思いました。
黒田官兵衛
黒田長政
真田昌幸(&幸村、信幸)
島津義弘
藤原惺窩
福島正則
宇喜田秀家
直江兼続
細川ガラシャ…
などなど。
言ってみれば連作短編小説の雰囲気すらあります。
それらの人々が、まあ、それぞれにドラマチックな人生の曲がり角に立ったのが、秀吉死没から関ヶ原の時期でした、ということですね。
その中で、やっぱりなんだかんだと、「好きなタイプのオトコ」というのがほのかに、いや、ハッキリ判るのが司馬遼太郎さんの可愛いところ…
というか、だからエンターテイメントなんでしょうね。
この「関ヶ原」の場合には、やっぱり島左近なんですね。
家康の、そして三成の話なんですけど。
出番の数はともかく、感情的には、島左近が主人公って感じなんですね。
そういう意味では、物凄くめんどくさくひねくれた長編小説、という趣もあります。
この、「関ヶ原」と「城塞」は、そういう不思議な二部作だ、と言えます。 -
関ヶ原の戦いがいよいよ始まるまで描かれた。本田正信の謀略のおかげで徳川側に豊臣側大名達が味方していくのは政治の大事さを感じた。三成もそんな政治ができたらまた歴史は変わったのかもしれないが作中に何回か出てきたように民衆は富を散財する豊臣政権に疲弊して吝嗇の徳川を好んでいたそうだから、民意は三成につかなかったのは意外。如水や真田昌幸がこの騒乱に乗じて天下を狙ってるのも野心の高さが表れていで面白かった。堀忠氏が小山での軍議で土地城を全て献上する策を山内一豊が盗む流れも策を巡らす戦国時代っぽい
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下巻に感想
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着々と関ヶ原に向かい進んでいく。
中巻では合戦に参加する武将たちの
内情や心の内が描かれており、
結局、いつの時代も人に対する義よりも
自分の家が大事なのだと実感させられる。
東軍に付いた豊臣恩顧の武将たちは、
とにかく三成憎しのように描かれているが
そんな中でも山内一豊の見解が良かった。
でも、西軍には付いてくれないんですけどね… -
いよいよ戦へ。どんどん引き込まれ止まらなくなってきた。其々の立場と背景と人間関係が、読むのが面倒くさいくらい(でも読むのをやめられない)ややこしく絡み合ってる。そんななかで、志を遂げようとするにはどうしたらいいかを教えてくれるような家康。一方で、常に己の正しさを貫く三成。善悪や正誤がくっきり示されず、さあ、あなたはどっち、と突きつけられているよう。わくわくしながら読んでいるのだが、登場人物たちから学ぶことも多い。司馬氏の作品を読むたびにいつも思うのが、なんでもっと早くに読まなかったんだろうということ。
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いよいよ決戦に向けて各人の思惑や思考が表出され出してきて面白くなってきた。戦いの前の作戦や分析が垣間見られ出してきて歴史から勝敗の結果だけはわかっていても、そこに至るまでのプロセスや登場人物たちの心情の機微を楽しみたい。
著者プロフィール
司馬遼太郎の作品





