関ケ原(下) (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社
4.04
  • (464)
  • (400)
  • (374)
  • (17)
  • (2)
本棚登録 : 3775
感想 : 251
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (512ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101152141

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 関ケ原の合戦を描いた物語。
    家康、三成が争った天下分け目の戦い。司馬遼太郎が描く、政治と軍事の融合した時代小説である。
    ゲームや映画の登場人物かのように感じる部分と、事実として歴史上に存在したことに驚愕し感慨にふけってしまう。当然、その流れの上に現代があることは、にわかに信じ難い。
    それにしても家康の知略とは、現代の派閥闘争の工作そのものと言えるのではないだろうか。義や利とは誰にとってのものであったか。後世に何が伝えられるのだろうか。その延長線上にいる私は彼らから何を学ぶことが出来たのだろう。
    それよりも、やはりおもしろいと感じるのは、どこか歴史をエンタメ化して見ているからだろうか。

    慣れていないジャンルで、ものすごく読むのに時間が掛かった。良い読書ができた。

    読了。

  • いよいよ開戦。


    次々と西軍の大名が裏切り寝返っていくのだが、各々大名のプロフィールがちゃんと描かれている。


    それぞれの大名達の都合と戦略の微妙な違いに読み応えがある。


    石田三成の最期、戦いの後の主な大名の処遇まで細かく描写されていて最後の1ページまで充実していた。 


    続いて城塞を読みたいと思う。

  • 戦いの結末は分かっていた。
    しかし、石田三成を応援せざるをえなかった。

    ひとつは、徳川家康の描かれ方による。
    狸親父などという可愛らしいネーミングが許せず「クソジジイ」と罵りたくなるほど、謀略巧みな人物であった。
    上巻を読み終えた後は本気で腹が立ち、なかなか寝付けなかった。

    もうひとつには、三成の不器用さがある。
    「クソジジイ」である家康に対して三成は、正義感をこじらせた「クソガキ」といったところだろうか。
    頭は良い。
    だが、何事においても言い方が良くない。
    態度も良くない。
    当然嫌われてしまい、孤軍奮闘する。
    読者としては応援せざるをえないではないか!
    この作品を読んで最も学んだことは、社交性の大切さである。

    そんな三成だが、自らの家臣や領民には愛されていた。
    利を欲する諸侯。
    言ったもん勝ち、やったもん勝ち、早い者勝ちの世界。
    それでも、義を説く三成。
    態度が一貫している人物が好きな人には、この『関ヶ原』の石田三成はおすすめである。
    三成がひたすらに説いた義は、その生き様の最期に分かるはずだ。

  • 男の仕事ってカンジの読みたいと言ったら後輩が貸してくれた作品

    日本史の年表だと数行で終わる関ヶ原の合戦ですが
    合戦前の根回しでほぼ勝負がついてたのかと思うと不思議な気がします
    今も昔も情報って大事なんだなと思いました

    結末は分かってるのに「義」の為に戦っている三成に有利な所にくると思わず
    そのまま行ってくれ!っと肩入れしてしまいます(笑)
    司馬さん、さすがです
    無知な私は読んでいると言うよりは勉強してるって感じだったけど
    大谷吉継と島左近の最後はウルッときました

  • 何だろうか、文庫にして3分冊の大作なのだが少し物足りない。

    上杉の動きや真田の事に、あまり触れられてないからかもしれない。

    司馬さんはおそらく家康より三成の方が好きなのではないだろうか。司馬さんが描く三成は酷薄な人間ではなくむしろ優しい人間である。ただよくある話だが、正論が世の中を、組織を動かすわけではない。司馬さんはそれがよく分かっていたのではないだろうか。

  • 誰もが知る関ヶ原。その後の泰平の世を思えば家康が勝者であってよかったと思うし、小早川秀秋がどう評されようがその裏切りは正解だと思う。
    だけど、司馬さんの関ヶ原を読むと義に生きた青くさい三成に勝たせてやりたかったとも感じる。

  • 太閤秀吉の遺児・秀頼を奉り豊臣の恩義に報じるため、西軍を束ね<関ケ原の合戦>の場に挑んだ治部少輔三成でしたが、頼みの綱の毛利軍は調略されて動かず、小早川秀秋の裏切りが効を奏し東軍を戦勝に導くのでした。三成は「義」を貫かんがため敗走するも、東軍捜索の前に屈します。捕縛後の大津城山門前での黒田長政、福島正則、小早川秀秋らのと対面は鬼気迫る圧巻の場であります。祇園下河原での黒田如水と尼僧(初芽)の対面の場は、最終章を飾るに相応しい感慨深い感動を覚えながら終焉となります。

  • 上中下で下が一番読むのに時間がかかりました。
    世の中が何で動くのか等、すごく勉強になりました。
    読んでいる間中、自分もその場に一緒にいるような感覚で、すばらしかったです。

  • 2018年1冊目読了。
    やっと下巻まで読み終わったー!
    年末から読んでるから長かった…。
    *
    戦国武将たちの思惑とか信念とか忠義心とか色んな物が混ざり合って日本中を巻き込んで、関ヶ原という場所での決戦…。
    この下巻は、合戦の様子が描かれてるから後半すごく興奮した。
    *
    なんかしら、気の利いた感想を書きたかったけど…私には無理だな。
    …兎に角、上巻から下巻まで島左近は格好良かった!
    大谷吉継の最期も格好良くてちょっと泣きそうになった。
    そして、黒田如水が恐い!色んな意味で!
    *
    大河で黒田官兵衛は誰がやったんだっけ〜?って思って調べたら岡田くんだった!
    そして、関ヶ原の映画版石田三成も岡田くんなのね〜。
    大河とか見ないから、知らなかった…!
    *
    *
    この後、徳川幕府は300年続いて倒幕の時に活躍する薩摩と長州は関ヶ原が続いてるっていうのが、歴史好きには堪らないエピソードだよね。きっと。
    更に昨日Twitter見てたら、島津家が敵中突破した時に船を出して助けた境商人たちを太平洋戦争の時に島津家が「関ヶ原のお礼です」って言ってお米を送って助けてあげたっていうエピソードが流れてきて、読んだ瞬間また興奮した!
    *
    そんなわけで、次の司馬遼太郎作品はこの流れで『竜馬がゆく』を読みたい!
    8冊もあるから読み終わるのいつになるか分からないど…。

  • みんなからの嫌われ者、石田三成を自分も序盤からずっと好きになれなかったのだけど、最後の最後でその感情も全く逆になった。感動した。
    本当に義を貫いた人だったんだ。

    裏切って家康についた将たちは、その後どんな運命を辿ったのか気になった。
    次読むテーマにしたい。

全251件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

司馬遼太郎(1923-1996)小説家。作家。評論家。大阪市生れ。大阪外語学校蒙古語科卒。産経新聞文化部に勤めていた1960(昭和35)年、『梟の城』で直木賞受賞。以後、歴史小説を次々に発表。1966年に『竜馬がゆく』『国盗り物語』で菊池寛賞受賞。ほかの受賞作も多数。1993(平成5)年に文化勲章受章。“司馬史観”とよばれ独自の歴史の見方が大きな影響を及ぼした。『街道をゆく』の連載半ばで急逝。享年72。『司馬遼太郎全集』(全68巻)がある。

「2020年 『シベリア記 遙かなる旅の原点』 で使われていた紹介文から引用しています。」

司馬遼太郎の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×