城塞 中 (新潮文庫 し-9-21 新潮文庫)

  • 新潮社 (1976年12月17日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (592ページ) / ISBN・EAN: 9784101152219

みんなの感想まとめ

歴史の深淵を覗き込むような本作では、大坂冬の陣と夏の陣を舞台に、家康の巧妙な策略と豊臣家の苦悩が描かれています。特に家康のキャラクターは、策略に満ちた一方で、その陰湿さが際立ち、読者に強い印象を残しま...

感想・レビュー・書評

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  • NHK大河『どうする?家康』が面白い。松本潤演じる家康の爽やかさ清々しさ。エンタメ間満載です。さて、本作『城塞』では大阪冬の陣、夏の陣が描かれています。司馬遼太郎の作品では主人公のことを好きにならずにはいられない魅力があるのが特徴です。が、それをもってしても、家康は好きになれない。大阪冬の陣の発端となる難癖は「犯罪的」とまで書かれているし、本多正純と共に「奸謀」を巡らせていくさまは神懸っています。また、表だってこれらのイメージをださないようにする狸ぶりはすごい。全国の大名に動員をかけることで、主家殺しの仲間にしてしまうことなどスケールが大きいです。
    対比されるのは豊臣家の惰弱さとその中にあって光り輝く真田幸村、後藤又兵衛、木村重成です。これら登場人物のダイナミズムか魅力満載です。
    『人間の運命はその人物の性格によって八割がた決まってると言われるが』など歴史から得られる人間学も溜め息をつくほど見事です。
    さて次は下巻です。あっけなく終わってしまうのかどうか。司馬遼太郎の描きかたに注目です。

  • 政治的駆け引きのおもしろさがあり嫌いじゃないが小幡勘兵衛と真田幸村が出てこないところは妙に暗く陰気な雰囲気があって司馬遼太郎のそれぞれの人物に対する好みが出てる感じがする。

  • 大坂冬の陣、和議、そして外濠、内濠まで埋め立てられて要塞としての価値がなくなった大坂城。何とも物悲しい。

    微に入り細に入り抜かりない、家康の策略描写に圧倒され、最後の最後まで熱中できました。家康、本当に恐るべし。淀君、秀頼、幸村の人物像も記憶にしっかり残り、この時代に興味のなかった自分自身の変化にびっくりしています。豊臣方と徳川方の内部事情をあれこれ考えていた、小幡勘兵衛の存在も忘れられません。

    司馬遼太郎さんお得意の余談も楽しめました。
    ・秀頼は書道に明るいが、家康は文字が下手。
    ・家康、セルバンテス、シェイクスピアは同時代人。3人とも1616年4月に死去。

  • 世紀の悪役と人の弱さ
    情報の大切さは現代にも通じるか…
    物語もいよいよ佳境
    下巻に続く

  • 紆余曲折あり遂に大坂冬の陣に至る。ある本によると戦国時代の年齢と現代の年齢感覚には差があるという。人間五十年の時代だからおそらくそうなのだろう。で、その本だと徳川家康の75歳は現代でいう93歳くらいの感覚らしい。何が言いたいかというと本書でみられる冷徹かつ相手を翻弄するような調略にも幾ばくかの焦りがあったのだろう。真田幸村がいくら活躍しても外を埋められてはどうしようもないだろうし、易々と計略にかかる辺りは豊臣秀吉が生きてたら泣くだろう。

  • 大坂城攻略の執念に燃える家康の言動を〝戦いというよりも極めて犯罪の色彩が濃く、これを犯罪とすればその犯行計画は精密を極めた〟と語られる凄まじいまでの悪辣非道ぶりは、大阪冬の陣の講和条件とした城の外濠(三の丸)を埋めるにとどまらず内堀(二の丸)まで埋めるといった、豊臣滅亡に大手をかける比類のない悪人芸を披露する家康でした。関ケ原で空しく敗れた真田幸村、後藤又兵衛ら豊臣恩顧の武将の覚悟は、城外で死に場所を求めて華々しく散ることでした。豊臣の衰退は淀君の傀儡が起因であり、おのずと崩壊する定めにあったと・・・。

  • 真田幸村や後藤又兵衛の活躍、そして小幡勘兵衛目線の大坂冬の陣が終わり外濠を埋めてしまうところまで。
    家康の狡猾さが凄まじい、、、

  • 秀頼、淀殿を挑発して開戦を迫る家康。大坂冬ノ陣、夏ノ陣を最後に陥落してゆく巨城の運命に託して豊臣家滅亡の人間悲劇を描く。

  • 豊臣氏の大坂の陣での滅亡を描いた物語です。
    大坂城を舞台にした徳川と豊臣の最終決戦は圧巻で、壮大なスケールと人間の思惑が交錯する重厚さにぐいぐい引き込まれました。
    家康の冷徹な計略と、滅びに向かう豊臣方の悲哀、その狭間で揺れる人々の姿が胸に迫ります。
    小幡勘兵衛の視点を通すことで戦の裏側や駆け引きが鮮明に描かれ、戦国の終焉を間近に見るような臨場感がありました。
    ただ、登場人物が多く系譜も複雑なので、歴史知識が浅いと戸惑う場面もありますし、筆致の重厚さが続く分テンポが重たく感じるところもあります。
    それでも、読み終えたあとに残る余韻と緊張感は大きく、豊臣が滅び徳川が天下を固める瞬間の重さを体感できる一冊でした。

  • 実際に読んだ文庫本は、昭和五十五年六月十日 九刷発行のもの。
    (1980年6月10日)
    初版は、昭和五十一年十二月十五日となっている。
    (1976年12月15日)
    Booklog(Amazon)のデータベースには、この年の発行本登録が無かったため、
    1976年12月17日発売の文庫本データの装丁を用いた。

    1982年頃、大学3年か4年生の時に読んだ司馬遼太郎さんの文庫本です。
    当時の価格は、400円。今なら、800円程度かな。

    古くなった読了後の文庫本を処分するにあたり、2026/6/23に登録した。

  • ◾️真田幸村などの浪人武将たちが大坂城入城。
    ◾️浪人武将たちの列伝。
    ◾️豊臣秀頼、大野修理、淀殿の性格描写。
    ◾️浪人武将たちの性格描写。
    ◾️そして何よりも徳川家康の性格描写。
    ◾️城側と家康側の政治力の差で冬の陣が終了。

  • 数多くの名将・猛将を難攻不落の大坂城に迎え、部分的な戦闘(真田丸など)では完勝。しかしその結果は、一部の堀を埋めて講和(結局全部埋められる)


    表面的に見るとあまりに不可解な現実ですが、読み進めると当然の帰着のように感じました。すなわち、当時の大坂方の組織的体質と取り巻く環境と考慮するとどう足掻いても戦略的な成功は難しかったのではないでしょうか?

    しかしながら優秀な個人がその力を発揮しきれず窮地に陥っていく様子を見ると、もう少し何とかならなかったのかなぁという思いで一杯でした。

  • 大坂方の中枢にいる大野修理は、この土壇場にありながら、戦略より政略でいこうとしていた。豊臣家の威光がなお、有効だと信じて。「不幸な計算ちがい」(p266)である。

    この大坂方のおバカさんを利用することで、狸おやじである家康の本領が発揮される。冬の陣の和睦の席で、なんと家康は本多正純(上野)に対して「上野も修理にあやかれ」(p522)と修理をたてにたてた。戦国を生き抜いた一代権力者におだてられ、修理は「一大感動を発してしまった」(p523)。もちろん大ウソである。しかしこれが、家康の大いなる布石。バカを中枢に留めておき、真田幸村らの意見が通らぬようにする策略だった。

    家康の意図通りになる大坂方。その中枢を見届けたスパイの小幡勘兵衛は「愛想がつきた」(p581)。ここまでアホだとは…である。いくら有能な部下を抱えても、上がバカなら同じこと。日本型組織の現実を見せつけられるようで、生々しい。

  • 売却済み

  • 冬の陣終了まで。
    徳川家康の卓越した心理術と忍耐力が随所に感じられる。司馬遼太郎は余談が多いのが少々難点。

  • 大坂冬の陣前後の話。真田や後藤といった武将たちの活躍を帳消しにしてしまうような、老獪な徳川方の政略に思うままに翻弄される豊臣方の首脳陣といった様相。司馬は相当な家康嫌いということで、繰り返し家康の非道をあげつらっている。
    鴫野・今福や真田丸での戦いはそれなりに活気よく書かれるものの、それ以外の小局地戦はほぼスルーで、軍事戦の描写よりも政略戦に重きがあっていささか期待外れだったが、冬の陣自体がそういうものだから仕方ないか。

  • 読んでてイライラする~~~
    気の毒すぎる~~
    むかつきすぎる~~~~

    かなりストレスフル!
    下巻はさらにグレードアップしていきそう。
    結末はわかってるから余計に読んでて辛い(>_<)

  • 大阪冬の陣を中心に描く中巻。真田幸村や後藤又兵衛の活躍が虚しく、あっけなく和睦となってしまう。
    徳川家を守るために徳川家康の暗躍ぶりは、凄い。狸親父の本領発揮というところか。関ヶ原の戦いで敗戦して、豊臣家官僚の質が大きく低下してしまったことも大きな原因の一つ。徳川家康の敵ではなく、負けるべくして負けたという印象だ。

  •  真田幸村が登場し、大坂冬の陣がえがかれる中巻。

     武士たちは己のために自分の居場所を決め、行動している。
     様々な価値観のもとで動く武士を1つの軍としてまとめ、全体として動かすのが大将の仕事。

     大将によって、大坂冬の陣の勝敗は決まった。
     秀頼が大将として機能すれば、この戦の結果はかわったかもしれない。

     歴史の話だけでなく、どんな場面でもトップによって組織が大きく変わることはあると思う。
     トップが有能である事、それにはトップが自分自身を知り組織の人間を知り尽くしているという事が必要なのだと思う。
     決して、目立つトップが有能という事ではない。トップ自身が苦手な事は得意な人間にふるというのもトップの力。
     組織の1人1人の性格や能力をいかし、うまく使っていくことができれば、きっとその組織は最大の力を発揮する。

     徳川家康は、そういうトップだった。だから、徳川が主筋であるはずの豊臣を滅ぼすという、あぶなっかしい計画を進めることができ、成功させる事ができた。

     真田幸村の真田丸。名前は知っていたが、この小説で初めてその機能を知った。
     幸村もまた、己を知り己を生かすためにこの戦に出た。
     彼は恩賞を求めていたわけでもなければ、豊臣の勝利への固執もない。ただ、自分自身の力を試し、結果を残すために豊臣家へ戻った。

     次は下巻。

     歴史的な結果は有名で、読まなくても分かる。
     それを司馬遼太郎がどういう始点からどうえがいていくのかが楽しみです。

  • 徳川の狸に狐、外様の保身、淀殿のヒステリー、豊臣方のマヌケさ加減など読んでて気分が悪くなる。真田幸村や牢人達、瓦や石を投げて戦う足軽の女房達、後藤又兵衛らに影響されて少し成長してる秀頼などは読んでて救い。それにしても、淀殿を含めて織田家ってろくな奴おらんなぁ・・・。

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著者プロフィール

司馬遼太郎(1923-1996)小説家。作家。評論家。大阪市生れ。大阪外語学校蒙古語科卒。産経新聞文化部に勤めていた1960(昭和35)年、『梟の城』で直木賞受賞。以後、歴史小説を次々に発表。1966年に『竜馬がゆく』『国盗り物語』で菊池寛賞受賞。ほかの受賞作も多数。1993(平成5)年に文化勲章受章。“司馬史観”とよばれ独自の歴史の見方が大きな影響を及ぼした。『街道をゆく』の連載半ばで急逝。享年72。『司馬遼太郎全集』(全68巻)がある。

「2020年 『シベリア記 遙かなる旅の原点』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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