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本 ・本 (576ページ) / ISBN・EAN: 9784101152417
感想・レビュー・書評
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ついに戊辰戦争が開始される中編。長岡藩では緊急事態下で河井継之助を家老に任じて、幕府と朝廷の様子を探るべく藩主自ら大阪・京都に直接赴くことを決意する。長岡藩を含めた幕府方の大軍が徳川慶喜のいる大阪城周辺に集結するなかで、ついに鳥羽伏見の戦いが勃発するのだった。
徹底的なリアリストとして、藩には緊縮財政を迫りつつそこで得た金で最新鋭の武器を西洋から仕入れる継之助。プロイセンという列強のなかでは後発の国で、自らも成り上がろうとするスネルからガトリング砲など強力な武器を次々に購入し長岡に運び入れていく。
恐らくは著者の創作だろうが、河井継之助と福沢諭吉の対話はお互いがリアリストでありながら、戦争に対するスタンスが異なって面白い。歴史は幕臣でありながら戦争からは徹底的に逃避した福沢諭吉に後世の評価を与えたが、立場が異なれば河井継之助も生き長らえてもっと名を残したに違いない。 -
読み出すと止まらなくなる。
情景が目に浮かんでとっても面白い。 -
藩に殉じるブレない継之助。クライマックスの下巻へ。
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河合継之助は越後長岡藩の老中となり、幕府が倒れようとする幕末に何とか自分たちが存続できるように考えを巡らせる。この間では徳川慶喜や大政奉還のことなどが描かれるが、今までよくわかっていなかった大政奉還のことが、ようやく少しわかったような気がする。そして薩摩長州のしたたかさと幕末から明治維新のかけての複雑さがちょっとわかった。今までは竜馬がゆくなどの、明治維新を起こした側からの物語しか見たことがなかったからなのだと思う。新しい視点で見ることができた。
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継之助、長岡に戻る。人材不足の長岡藩、継之助は家老に祭り上げられる。世は、大政奉還から鳥羽・伏見の戦い、そして江戸無血開城へ。今(2021年5月末)のNHK大河の「青天を衝け」で、ちょうど同じ頃をやってるが、長岡藩にこんな世界を分かっていた人がいたなんて全然知らなかったわ。福沢諭吉との対話なんて最高!
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長岡藩の百石藩士・河井継之助の備中松山、長崎の遊学の旅、藩主・牧野忠恭の覚え目出度い継之助の異例の大出世、大政奉還後の長岡藩の藩政改革の様子など、痛快な挿話の数々が情緒豊かに語られていく。風雲急を告げる時代を背景に、譜代大名長岡藩の行末を按じ、一命をかけて闘争の炎を燃やす家老・河井継之助の凄まじい生涯を描いた、著者の筆力の凄さに今更ながら驚き、この歴史小説の世界に引き込まれていく。
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印象的だった箇所
なにごとかをするということは、結局はなにかに害をあたえるというとだ
何者かに害をあたえる勇気のない者に善事ができるはずがない
(207頁)
あと、継之助と福沢諭吉のやりとりは刺激的で面白い。普段使っている熟語(自由とか権利とか演説とか)を福沢諭吉が苦心して案出したというのも新鮮だった。
著者プロフィール
司馬遼太郎の作品





