司馬遼太郎が考えたこと (5) (新潮文庫)

  • 新潮社 (2005年3月27日発売)
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感想 : 10
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  • 本 ・本 (496ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101152479

感想・レビュー・書評

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  • 1970年2月から1972年4月までの随筆です。
    昭和45年11月に書かれた「異常な三島事件に接して――文学論的なその死」は丁度私が大学生の時に起きた事件で、とってもインパクトのあるものでした。
    司馬さんは、松陰の死とは別系列のものであり、文学論のカテゴリーにとどめるべきだとの私見を示されていた。
    その12月には、「街道をゆく」連載予告がありました。
    あと、旅順のこと、村田蔵六のこと、大阪城の時代、関ヶ原私観など
    あの時代の雰囲気を楽しみながら読めました。

  • 金子拓「織田信長 不器用すぎた天下人」のあとがきに導かれて。全巻はボリュームあるので、まずは5巻から。最初に目についてのは、個人的に最近読んでる三島由紀夫の切腹による死について。思想的、文学的なしにとどまるもので、政治的な死として扱うべきではない、と。それ以外では総体として、中国との関係でも、幕末、明治の話でも、よく言えば大づかみで方向性を示す、悪く言えば大きな声で大雑把なことを言ってるように思えた。資料からは厳しいけど、私はこう思いたい、と言われたら、小説としては成り立つけど...と。以下興味を惹かれたトピックス/日本で本当のプロの学者の最初は藤原惺窩/北条時頼が抜擢した青砥藤綱/戯曲「花の館」/日中戦争時の冀東政権/天保の庄屋同盟/広瀬正「ツィス」、自分の空想をどれほど精緻に計数化しうるかということに挑んだ

  • 17/11/3読了

  • 関ヶ原が映画化されるタイミングで、本書の関ヶ原私観を読めてよかった。映画をみなさいということか苦笑

  • この巻は何だか難しい読みものが多かったような気がする。
    これは集中して読めなかったということもあるかもしれない。
    しかし
    司馬遼太郎という人の頭の中はどうなっているのだろう?
    私の場合、「司馬遼太郎はここが凄い!」と、なかなか具体的に言えないのであるが、それでもやはり司馬遼太郎が好きだ。

  • ☆☆☆2012年5月レビュー☆☆☆

    「司馬遼太郎が考えた事」は全15巻一通り読み終えているのですが
    思いついたものを再読しています。
    何故、大阪や京都に独自のイントネーションが残ったかを説明するエッセイが面白かった。江戸時代、上方では武家が少なく参勤交代による江戸との言語混合が少なかったからではないかと司馬氏は推測する。
    空海に関するエッセイなど難しいテーマもあるが
    すらすら読めてしまう
    面白い本です。

    〇〇〇2018年12月レビュー〇〇〇

    「わが街」
    司馬氏が住居を構える東大阪市(布施市)の猥雑さを、やや皮肉をこめた愛を以て語る。東大阪市というのは、豊臣時代は一面の沼沢地であり、この湿地帯をたった七件の農家が長い年月をかけて開拓したとか。
    今(昭和45年)は日本屈指の人口密度の高い都市になっているのが不思議・・・という締めくくり。
    都会の雑踏の中でしか小説が書けないという司馬遼太郎の居住地にふさわしい感じだ。

    「神坂氏と作品集『黒潮のろまん』」
    このエッセイは、和歌山が生んだ作家、神坂次郎氏の全集についてのエピソード。紀州下津の本屋が、神坂氏の全集を出すにあたって「損をしたいのだ」という意気込み。「紀州人というのは、むかしからそういうところがある」と司馬遼太郎は述べる。司馬遼太郎は、紀州の風土を愛した人だが、ここでもその愛が伝わってくる。

    「ゴヤを待ちつつ」
    司馬遼太郎を旅をすることのおおい画家・須田氏がなんとも言えず素晴らしい。「ゴヤがもし存在しなかったら・・・」という話から、マネやモネは別の絵かきとして存在し、今日の芸術の歴史も・・・と熱く語る須田氏。そのような須田氏を、司馬遼太郎は畏敬の念をもった見つめる。須田氏の芸術への情熱がよく表れたエッセイだった。

  • 09.2.6

  • 名文

  • いまから35年あまり前に書かれたというのが信じられないくらい
    示唆に富んだエッセイです。
    司馬氏の発言には今日でも通用する内容がたくさんあるので驚かされてしまう。私は「坂の上の雲」のあとがき、わが空海、異常な三島事件に接して、「旅順」から考える、競争の原理の作動などがおもしろかった。

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著者プロフィール

司馬遼太郎(1923-1996)小説家。作家。評論家。大阪市生れ。大阪外語学校蒙古語科卒。産経新聞文化部に勤めていた1960(昭和35)年、『梟の城』で直木賞受賞。以後、歴史小説を次々に発表。1966年に『竜馬がゆく』『国盗り物語』で菊池寛賞受賞。ほかの受賞作も多数。1993(平成5)年に文化勲章受章。“司馬史観”とよばれ独自の歴史の見方が大きな影響を及ぼした。『街道をゆく』の連載半ばで急逝。享年72。『司馬遼太郎全集』(全68巻)がある。

「2020年 『シベリア記 遙かなる旅の原点』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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