司馬遼太郎が考えたこと (8) (新潮文庫)

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  • 本 ・本 (512ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101152509

感想・レビュー・書評

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  •  昭和49年(50歳~51歳)、昭和50年(51歳~52歳)、昭和51年(52歳~53歳)の間に書かれた随筆を纏めたモノである。
     司馬さんが小説などを書かれるときの基本的な考え方が書かれた箇所があった。
    「文章日本語の成立と子規」の中の一節。
     私は合理的精神を社会に普遍させてゆく力は、商品経済・貨幣経済であるように思っている。
     大がかりなことをいうようでだが、聖書の世界にはすでに貨幣が存在していたし、またギリシア・ローマの社会を成立させていたのも、貨幣経済であった。
     中国にも古くからそれがあった。人類の社会はふしぎなほどに均等には進まない。中国と地つづきの朝鮮において李朝がほろぶときまで、商品経済というものがなく、物々交換の世界だった。
     日本史における生活文化は室町期において一変するのだが、そのことは南中国沿岸で盛行した貿易圏に日本が組み入れられ、江戸期は国内経済が充実したが、ただ徳川政権が基本思想としてコメ経済の立場をくずさず、都市を中心に商品経済の存立をゆるしていたにすぎない。
     日本に貨幣経済が圧倒的なかたちではじまるのは、明治4年に太政官が農民に対し、租税を金納することを命じてからである。
     このことは自作農や小地主に深刻な打撃をあたえ、明治初年における百姓一揆や士族の叛乱の主原因をなした。
     それまでの日本の農村は、自給自足を厳重な建前とした点、弥生式農耕の移入のころから原則としては変化していない。
     というようなことであるが、司馬さんが小説を書くとき一貫している価値観あんおである。
     斎藤道三、織田信長、秀吉、坂本竜馬などなど、彼らも司馬さんが想像した人物像に染められているのである(笑)。

  • 17/12/6読了

  • 「庄屋の情報感覚を排す」は必読です

  •  興味深いエッセイが多かった。
    とくに、
    『友人の旅の話』
    『戦国の根来衆』
    『「庄屋の情報感覚」を排す』

  • 09.3.21

  • 文章力、事象を捉える切り口、共に超一級品。こんなの読んだらもう一般作家のエッセイ読めない。

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著者プロフィール

司馬遼太郎(1923-1996)小説家。作家。評論家。大阪市生れ。大阪外語学校蒙古語科卒。産経新聞文化部に勤めていた1960(昭和35)年、『梟の城』で直木賞受賞。以後、歴史小説を次々に発表。1966年に『竜馬がゆく』『国盗り物語』で菊池寛賞受賞。ほかの受賞作も多数。1993(平成5)年に文化勲章受章。“司馬史観”とよばれ独自の歴史の見方が大きな影響を及ぼした。『街道をゆく』の連載半ばで急逝。享年72。『司馬遼太郎全集』(全68巻)がある。

「2020年 『シベリア記 遙かなる旅の原点』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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