- 本 ・本 (544ページ)
- / ISBN・EAN: 9784101152578
感想・レビュー・書評
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新潮文庫
司馬遼太郎 が考えたこと15
著者晩年のエッセイ集。
「他者を理解することから、二十一世紀の幸福は出発するでしょう」と結論づけたエッセイ「人間について」は 傑作だと思う。
死期を悟ったかのように、著者の晩年のエッセイは 人間に関するものが多い。文学者として、矩を越えない生き方 に到達して、それを文章に遺して 没したように読める
人気作品を数多く書きながら、司馬遼太郎はなぜ虚無に陥らなかったのか? モンゴル好きが 影響しているのか?遊牧性や流動性は 虚無を回避させるのだろうか?
「モンゴルは化石の国ではない。生きて動いているものの、そのよさは不動のものにある」といった言葉にヒントがあると思う。モンゴルの歴史の本を見てみようと思う
「人間について」
*バカとは〜人間の本性にひそむ暗黒の部分のこと
*人間は〜集団となって熱狂がおこると、一人ずつが本然に持っている少量のバカが、足し算でなく掛け算になって〜火山が噴火するように愚行をやる
*民族、宗教、国家〜この三つが人間を集団化させる
*この三つは、人びとが穏やかなときは 素晴らしいものです
*人間という生物は一人では生存しない〜社会が必要です〜この三つは人間に社会を与えてくれる
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18/8/19読了
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司馬遼太郎のエッセイを年代別にまとめた『司馬遼太郎が考えたこと』。
2006年7月、友人との九州旅行の帰りの夜行列車で1巻を読んでから約5年半。再読したり、間が空いたりしながらようやく最後の15巻にたどり着いた。 15巻ともなると、日本人への遺言のようなエッセイが多い。
土地が投機の対象となる現状、失われゆく美しい自然、日本の将来を憂え、歴史の中から日本の指針を示してくれるような司馬氏のエッセイには勇気づけられる。
数多くの司馬氏の小説の主人公に生きざまをダイジェストにした「人間の魅力」や、日露戦争に始まる激動の日本を描く「日本の二十世紀」など、素晴らしいエッセイがたくさん収められている。
歴史好きではない人にも、一読をお勧めします。 -
私は司馬さんの小説はほとんど読んでいません。このエッセイ集と「街道を行く」くらいですが、その膨大で精緻な知識には毎回敬服します。同時に、現在の日本人が忘れかけている、いや、忘れ始めていることどもについて再考を迫られているようです。このような偉大な知性、巨人はもう現れないのでしょうね。
現代人の必読書があるとしたら、こういうものなのでしょう。15冊を読み終えてほぼ1年になりますが、やっと私の中に定着してきたようです。これを期にレビューを書かせていただきました。 -
『日本仏教小論』が、印象に残りました。とくに浄土真宗の成立らへんが。たまたまひとつ前に読んだ『街道をゆく、芸備の道』にも、出だしで安芸門徒について書かれていました。司馬さんの浄土真宗への思い入れを感じました。
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09.10.6
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