勝海舟(一) (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社
3.87
  • (36)
  • (39)
  • (38)
  • (7)
  • (0)
本棚登録 : 391
感想 : 38
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (640ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101153056

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 第一巻の副題は「黒船渡来」とあるけど、ほぼ勝小吉編。シリーズの通底和音をこの人が作っているということなんだろう。色んな登場人物のエピソードが丁寧に積み重ねられていて読みごたえがある。なんとなく今やっている大河と時代が重なっていて楽しい。

  • 粋で口は悪いが人情家にして親バカな勝小吉のキャラが強く印象に残ります。

  • ずっと読みたいと思っていながらなかなか手が出せなかった一冊。
    勝海舟を中心に大きな歴史世界を描く、「マクロ歴史小説」(たとえば『坂の上の雲』)ではなく、勝海舟の、家族や友人とのやり取り、市井の様子を描いた「ミクロ歴史学」(藤沢周平のような)に近い。
    一巻では、勝海舟の若い頃に始まり蘭学で身を立て長崎に実習に赴くまでが描かれている。僕が最も感動したのは、貧乏ながらもいつも堂々とし、困っているを助ける事に生きがいを感じてい海舟の父・小吉の生き様。 「江戸っ子の粋」というのはこういう事かと思った。
    自分も、もっと人の役に立つような生き方をしたいと感じた

  • 「龍馬伝」が始まったから、というわけではないけれど、子母沢寛の「勝海舟」全六巻を読み始めた。

    海舟が歴史小説の中で取り上げられるのが少ないのは、同じ幕末の人物に比べて悲劇的な面が余り無いせいか、ドラマとして読者に訴えるものが感じられないせいか。咸臨丸での太平洋横断や江戸城無血開城だけでは駄目なようである。むしろ彼が主人公として描かれる場合は、周囲に集まってくる人間との交流に焦点が当てられる。福澤諭吉、坂本龍馬、西郷隆盛、徳川慶喜。彼らと対等な立場でやりあった姿が描かれることがほとんどだ。

    しかし子母沢が描く海舟は、活発に動き回る。特にこの第一巻では、青春時の彼が生き生きと描かれていて、読み進めて行くうちにいつの間にか海舟のペースに巻き込まれて行く。旧幕臣、彰義隊の生き残りを祖父に持つ子母沢の書き綴っていく江戸弁が、落語を聴き慣れている目には小気味いい。歴史小説を読んでいるというより、ひとりの江戸っ子、ひとりの若者の冒険談を読んでいる感じがする。

    この第一巻目では、海舟が蘭学者として名を上げ、長崎海軍伝習所を軌道に乗らせるまで。父小吉や、文武の師、弟子との別れもあり、男として大きくなっていく姿が描かれて行く。二巻目はいよいよ咸臨丸で太平洋に向かう。

  •  幕末ものの小説は大好物です。以前読んだ司馬遼太郎氏の竜馬がゆくシリーズに比べたら見劣りがありますが、この著者は非常に勝海舟が好きなんだろうなあと言うのが伝わってきます。

  • 聞き慣れない言葉と場面の展開リズムが合わず少々読みにくいですね、後半慣れましたが…。粋で人情味溢れる小吉、麟太郎がいいですよね。二巻が楽しみです

  • 読了。
    しかし、全巻読了しようと思ったら、長いな…これは。(苦笑

  • 2018年3月10日読了。
    昭和初期発表の歴史小説。幕府側の立役者の人物から見た幕末維新を読む。登場人物やその周辺の人々の個性溢れる姿や情景描写も奥行きがある。べらんめいの父小吉の江戸弁には少々戸惑ったが、読み進めてくると味わいがあった。海音寺潮五郎、子母沢寛、また違ったファンになりそうだ。

  • 子母沢寛 「勝海舟 」1/6 黒船渡来

    なるほどと思った著者の視点は 「勝海舟は 海外の脅威に立ち向かうために 近代化の必要性を感じた」としたこと。黒船は海外の脅威の象徴

    前半は 勝海舟の父(小吉)を 人情豊かな 時代劇風に描くことで、古き良き時代を演出。後半は 勝海舟の台頭と近代化を同時に描いている

    「腹を立てちゃいけない〜風が右から来たら左へなびく、左からきたら右へなびく〜根だけはぴったり大地へ据えて動かない」

  • 勝海舟の父、勝小吉の話から始まる。
    前半部分は、子吉の話がほとんどだけど、6巻まで読み終わってみると、なぜか、小吉の方が魅力あるように思えた。
    この小説を読むと、やはり、勝海舟がいなければ、江戸城無血開城はなかったのだろうな、と思いつつも、勝は、もっと自分を評価してほしい、認めて欲しい、という自尊心の塊のような男ではなかっただろうか、と思う。いつもいつも不平不満をいいつつも、やはり、江戸のことが好きで、江戸の市民を放ってはおけない、人情家だ。江戸末期、明治維新の中心を歩きつつも、ほとんど無傷で生き抜いたのは、やばい時には、嗅覚が働き、逃げたり、隠れたりしていたのだと思う。それは、卑怯とか、弱虫とか言う、非難の意味ではなく、物事を為す人は、為すために、どんなことがあっても生き延びて、頑張っていくということだ。犬死は、無駄死に以外のなにものでもなく、やり遂げようと言う、強い意思がないということでもあると思うから。
    全6巻

全38件中 1 - 10件を表示

子母沢寛の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×