勝海舟(二) (新潮文庫)

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  • 新潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (688ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101153063

感想・レビュー・書評

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  • 2018/3/16読了

  • <1巻〜6巻までまとめてのレビュー>
    やはり子母沢寛は面白い!!

    子母沢の小説は全部鵜のみにしてはいけないとは言われているけれども、それでも子母沢が祖父から聞いたという、この時代の雰囲気、江戸っ子気質、ユーモアなどが巧みに表現され、確かにそういう時代があったのだという実感が得られる。江戸時代という時代そのものが伝わってくる、これが子母沢小説の醍醐味である。

    勝麟太郎の性格や考え方が分かり、そしてその勝を慕う人達とのやりとりを読むうちに、まるでその仲間に入ったかのような、どんどん登場人物達と親しくなっていくような感覚に陥り、読み進めていけばいくほど楽しくなる。
    杉さんもは本当に家族のような気になってしまった。
    全くもって、読んでいるのが楽しい本でした。

  • 2巻目。680ページくらい。

    勝海舟が本格的に軍艦を指揮し始める時期。
    長崎で5年学び、咸臨丸で日本で初めての日本人による渡米。
    勝海舟が船酔いに弱いのが、面白いですが、本当にすごい。
    一から学び、短期間で渡米を果たす。また世界の情勢を見、ハワイに立ち寄り、欧州列強の国々に食いものにされる様を見る。
    日本国という視点に立ち、幕府内部から理想に向かって変革を成し遂げようとする。
    その様がユーモアと人情厚い勝海舟の人間性に焦点をあてつつ描かれていて、面白いです。

  • 子母沢寛著「勝海舟」第二巻読了。勝は日本初の遣米使節艦長として咸臨丸で米国へ渡航する。福澤諭吉も登場。
    勝がこの時アメリカで観たものは、近代化された先進国としてのアメリカと、既に黒人等の奴隷を使っていた弱肉強食国としてのアメリカ。
    日本が欧米列強の植民地となり民族的に支配されることの怖れが、世を変える強い志の発火点になったように思える。
    (負の部分にも目を向けていた)

    坂本竜馬や岡田以蔵も登場し、まさに”日本”海軍を何としても立ち上げるべく奔走する海軍開祖たる姿がいきいきと描かれている。

    以下引用~
    ・伝習生の一番いけないことは著しく不規律だということです。陸上のものよりは海上のものはいっそう規律を厳しくしなくてはならないものなのです。
    ・「人間は、地獄の一丁目を通るたんびに少しずつ偉くなるもんだ。修業のための修業だけじゃ、多寡の知れたもんだよ、」
    ・「わたしは、かねて書物だけで知っていたアメリカへ来て実地をみて、さてしみじみ感じたが、日本人という人間は誠に怖い人間ですよ、偉い人間ですよ、五十年とは云わない、三十年の後をご覧、今の毛唐人たちが、眼を見張って、日本国を見るようになるから」
    ・幕府の金は使わねえが主な支出や給与は凡そは木村さんご自分の金だ。木村さんは幕府もない、自分もない、ただ日本国があり、日本海軍だけがあったのだ。
    ・先ず天下一致を前提としてすべての海防論が成り立ちます。その天下一致が出来なければ、百千の海防論も空論に過ぎません。

    以上

  • 第二巻では、長崎海軍伝習所での日々、咸臨丸での渡米、大坂や京での政治活動などが描かれている。
    「海軍こそが国家の礎」と信じて疑わない勝は、旧態依然とした幕府に見切りをつけ、「日本国」をどうするかという広い視野で物事を考えるようになる。読み進めていくと、勝が見ているのは「今」ではなく、「百年後」だという事が分かる。現代の有権者も政治家もこの姿勢を見習うべきだと思う。
    「人斬り以蔵」と呼ばれた岡田以蔵に対する優しさには涙が出そうになった。以蔵も、勝のアドバイスに従っていれば違った道を歩むことができたかもしれないのに。

  • 咸臨丸で米国に渡った苦労が主な内容。10.7.3

  • 開国か攘夷か。黒船の威嚇を背景に条約締結を迫る列国を前に、国論は真二つに分断された。折しもオランダから到着した新造艦咸臨丸。この日本初の遣米使節艦艦長として、勝は安政7年、福沢諭吉、中浜万次郎らを率い渡洋の壮途につく。しかし、数知れぬ困難を乗り越え、異国の風土を目のあたりにして帰国した時、大老井伊直弼は暗殺され、物情は騒然、幕府の権威は地に堕ちていた。

    1996年6月17日初読

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