- Amazon.co.jp ・本 (672ページ)
- / ISBN・EAN: 9784101153094
感想・レビュー・書評
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山岡鉄太郎や益満休之助らに西郷への書簡を託し、「恭順謹慎」する慶喜の姿勢を説き、自らも西郷と面会し、慶喜の処刑を免除するなどの条件を飲ませた。
幕府内の戦争論者たちからは首を狙われながら、慶喜を水戸藩に送り出し、江戸城の無血開城を成し遂げる。
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幕藩体制から明治維新に変わる激動期、西郷との交渉、江戸城無血明け渡し、旧来価値観の現実と世界的歴史の流れの狭間で日本という国や国民への使命感と徳川家にも忠節を尽くす海舟の真骨頂発揮のくだり。咸臨丸での渡米や海軍創設の経験や日々の情報収集の土台があってこそである。儒教的価値観による武士道や攘夷の思考を超えて、それが勝海舟の現実的に時代を見抜く洞察と行動に結実する。1から5迄読んできて、途中冗長に感じるところも多々あったが長編独特の構想と重厚な展開のなかで最も盛り上がる決定的な場面となっている。
フィクションとはいえ事実関係への納得と同時に細やかな人情話が結構面白い。
歯切れよい独特の江戸弁でテンポよく展開する各場面の描写は時空を超えてリアルであり読み出しの頃の戯画的違和感を払拭して余りある。
西郷や鉄舟、そして大久保一翁、海江田、益満等々海舟を取り巻く傑物たちの魅力、政治を担う能力とりわけその胆力に感服である。 -
太平洋戦争終戦間際の日本がなんとなく感じられるような幕末日本。繰り返し出てきた「赤誠」はあまり口に出されなくなってきた。なぜ西郷隆盛はこんなに勝と足並みを揃えられたのか。わかるようなわからないような感じ。少し都合よく書かれている様にも思える。子吉イズムの方が前面に出てきているような。
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2018/5/25読了
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子母沢寛 「勝海舟 」4&5/6 大政奉還→江戸開城
勝海舟の国家観が 幕府と西郷隆盛らを方向づけ、戦さによらず、徳川家から 朝廷への大政奉還、江戸開城に至っている。
なのに 著者は 江戸開城で この本が終わらせていない。つまり 勝海舟による近代国家樹立は まだ 先があると考えている。最終巻に 著者が考える 勝海舟の最後の仕事があるはず
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2014/09/30完讀
成為軍事總裁的勝,一心想要保日本國不成為外國的餌食,體察將軍恭順的心意,決心必要時刻需忍人所不能忍,然而因此受到許多人的不諒解,等著要拿勝來血祭。勝雖然有心要和平解決,但另一方面也有魯西亞對抗拿破崙的焦土政策的覺悟:雖然談判,但他從來沒有示弱。山岡與益滿入營向西郷表明心意,勝等待時機成熟,終於和西郷對談。西郷相當盡心盡力地讓徳川的嘆願都被接受,雖然有些小波折,慶喜前往水戸恭順,江戸城也即將移交給官兵。
這本書裡面有很多好漢剖腹相見的場面。西郷與勝,勝與大久保一翁,勝與山岡等等。勝一直強調用赤誠來解決問題,剩下就交給上天。或許沒有勝和西郷兩人正好處在這個位置上,或許根本無法順利地達成這個和平的任務,江戸也可能生靈塗炭吧。很多關鍵時刻其實在任何一個環節不同時(例如有人暴走)就可能出現不同的結果,儘管後見之明的後世讀者如我早就知道最後歷史的結果,但讀起來依然是戰戰兢兢,心驚膽跳。但看到這麼多好漢淡淡的對話場面,很多不需要言語的感情在下面流動,實在覺得這部份寫得相當地好,也是非常非常日本式的味道。這種,無法翻譯只能意會的情感,正是這卷的醍醐味,也是日本文學裡面令人心儀無比的橋段阿。 -
<1巻〜6巻までまとめてのレビュー>
やはり子母沢寛は面白い!!
子母沢の小説は全部鵜のみにしてはいけないとは言われているけれども、それでも子母沢が祖父から聞いたという、この時代の雰囲気、江戸っ子気質、ユーモアなどが巧みに表現され、確かにそういう時代があったのだという実感が得られる。江戸時代という時代そのものが伝わってくる、これが子母沢小説の醍醐味である。
勝麟太郎の性格や考え方が分かり、そしてその勝を慕う人達とのやりとりを読むうちに、まるでその仲間に入ったかのような、どんどん登場人物達と親しくなっていくような感覚に陥り、読み進めていけばいくほど楽しくなる。
杉さんもは本当に家族のような気になってしまった。
全くもって、読んでいるのが楽しい本でした。 -
第五巻読了。
勝海舟の人生の大きな節目である江戸開城を元氷川の目線で描く。
(常時、元氷川の目線でストーリーが進むことも新鮮)
この巻での主人公は山岡鉄舟であり、その豪快さ、胆力の強さが魅力的。また、その才能・能力を一瞬で見極めることが勝や西郷のリーダーたる最たる能力なのだろうか。
いよいろ次巻が最終巻。
以下引用~
・政治向きの根本は経済だ。戦も、議論も悉くが、経済を離れちゃあねえ。
・この日本国には、大きな道が一本よりねんんだが、近眼の奴あ、一番分かり易いその大道がよく見えねえのか、往々、迷い込んで泥溝へおちるよ。
・値打ちのねえ人ら、自分で自分に高値をつけて、人を追い越そう、追う越そうとしている。値打ちのある人は、その値打ちを内輪にかくして、むしろ退いて安きを求めようとしているところも見える。高橋さん、この兼ね合いがうまく行けば世の中あ治まる。
・勝はいつもいう。策などというものは馬鹿の骨頂だ、丁度網を張ったところへ鳥が来れあいいが、その上を飛んだら仕方がないだろう、対手はどう来ると定まっていないじゃないかと。
・戦は兵隊だけでやるんじゃあねえ、兵の強いとか弱いとかあ先ず次の問題だ。それよりも底の力となるものは経済だ、この目算もなしに戦をしてどうなるもんかえ。
・長州人は元来が、死んだ後々の事まで、世の中に誤解されねえように、克明に遺言などを書くという風だが、薩人はそこへ行くと至極あっさりしたもんで、斬られる場に直っては一言も言わず、智己を千遇に待つという流儀だ。 -
勝海舟の江戸開城の周辺の出来ごとが書かれています。
抗しがたい時の勢い、時の流れの中で、100年先を見つめ、「日本国」という幕府を脱した考えのもと行動する勝海舟。その報いが敵からも、味方からも命を狙われるという。
こころに残った場面
「気はながく、心はひろく、色うすく、勤めは堅く、身をばもつべし」
徳川の人間は、江戸開城後、徳川復興のために活動することが徳川のためにならないことも、わかっていながらどうすることもできず、そうせざるを得ない。勝はその時の濁流を泳ぎ、悠々と見下ろしている。その透徹した視点、いかにして身につけたのか?
いろいろと考えさせられました。