宮本武蔵(二) (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (512ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101154626

作品紹介・あらすじ

槍の宝蔵院を訪ねた武蔵。傲岸な法師・阿巌を瞬殺するも、老僧・日観に「もっと弱くなれ」と諭され、例えようのない敗北感にひしがれる。修行のためと置き去りにしたお通の残像に惑う恋心。さらに、鼻息荒く乗り込んだ小柳生城ではやむなく逃亡することに…。ついに、美少年・佐々木小次郎登場!因縁の歯車が動き出す。渦巻く功名心、恋心、敗北感…腕力満載、疾風怒涛の第二巻。

感想・レビュー・書評

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  • 宮本武蔵の様々な苦闘、葛藤が描かれるが、この巻においては武蔵の旧友(?)又八やその母、吉岡一門やそして佐々木小次郎といった多士済々な登場人物が物語を彩り、非常に面白い。
    この巻で印象に残ったのは虚無僧(作中で名前のある登場人物だが、ここでは伏せておく)の科白。自戒も込めてココに書き留めておきたい。「いっても、返らないことだが、四十だいほど、油断のならない年頃はない。自分だけが、いっぱし世の中も観、人生もわかったつもりで、少しばかりかち得た地位に思い上がって、ともすると、女に対しても、臆面のない振舞に出るものだから、おのれのような失敗を―運命の神から背負投げを喰わされるのだ。」

  • ちゃんと又八もお杉婆も出てくるのが秀逸。
    それにしても、城太郎はかなりのいたずら小僧である。

  • 2021/12/11読了
    「みんな知っている有名作品」だけど「ちゃんと読んだ事ない作品」でもある。〈新潮文庫〉で全8巻の大作をなぜ今更読もうと思ったか、大谷翔平選手の”二刀流”での大活躍に触発された訳ではなかった……筈だ。
    ちゃんと読んでみると、ドラマとかの『宮本武蔵』の展開がいかに盛られまくったものか良く判った。とは言え、お通さん、道を究めようとする余り、自分を放ったらかして何処に行ったかも判らない武蔵を慕い続ける姿は、一途というのか狂気というのか。特に女性の方は、このあたりをどう思われるのでしょう?

  • 情けないよ又八!

  • 魅力的な登場人物が多く現れた。魅力のある人を言葉だけで描写する文学表現ってすごい。
    朱美とお通と城太郎とお杉ばばと佐々木小次郎、宮本武蔵。彼らの交錯が今後どのような展開を生むのか楽しみだ。

  • 武者修行を続ける武蔵は、槍の宝蔵院を訪ね、当主を倒すも、老僧・日観に「もっと弱くなれ」と諭され、敗北感にひしがれる。

    柳生谷を訪ねた武蔵。庄田家の四高弟に招かれた武蔵だったが、謀と気づく。その時、お供をしていた城太郎が隠居の石舟斎の愛犬を殴り殺してしまう。武蔵は対決の後に逃亡。柳生石舟斎には結局会えず、会わず。そこには、お通がいたのだが。

    築城の石夫をしていた又八が会った浪人は、スパイを疑われて捕らえられ、なぶり殺される。死の間際に、又八は浪人の懐から金銀と書状を手に入れる。そこには、佐々木小次郎あての剣術皆伝の目録が。男が佐々木小次郎なのか?

    又八は、この巻でもグズグズのダメ男。浪人から預かった、盗んだ?財産を遣い込み、あげく佐々木小次郎を名乗り。。

  • バガボンドの連載が止まったので原作と言えるこの本を読んだ。
    井上雄彦さんの絵のタッチのまま読み通せた。
    この本の世界観を忠実に描いているなぁと感心すると同時に、井上さんのメガネを通してしか観られなくなってしまったのがもったいない気もした。

    「五輪書」と併せて読むと、より深く宮本武蔵の強さの秘訣に、身震いするような研ぎ澄まされた感覚に近づけると思う。

    まぁ、知る、見る、近づくと、実践するのとではファンとプロのスポーツ選手くらいの大きな隔たりはあるわけだけど。

  • 1巻から引き続き、引き込まれるように読んだ。宮本武蔵の強固な信念には感服する。彼は常に自分より上のものと比較することで自分の未熟さを思い知り、その克服のために絶え間ない努力をする。私は、他者と比較してはいけないという考えに半分共感する。確かに、他者と自分自身を比べて落ち込むのであれば始めから比較などするべきではない。しかし、それがポジティブな比較、つまり武蔵のような自分を鼓舞する比較であれば必ずしも悪いとは言えないと感じる。大切なのは、自分自身が絶え間なく向上していくことだと考えるため、他者との比較もその目的を達成するための一つの手段として捉えるべきだと思った。次巻がとても楽しみである。

  • お甲の元を出たまではいいが、働くのも頼りない又八。剣の稽古でもしたら良いのにと個人的には思うのですが。
    自分が知らせなかったせいで人が死にかけている割には呑気に思えますし、
    遺品を届けようと思いついたのは良いのに、そのためにはお金を使っても良いという自己判断もまた酷い。
    しかも、そう決めるまでに既に使い込んでいるというのもまた
    又八らしいと言えば言えるのですが。

    対比して武蔵がどんどん成長しているのが、成長しすぎのようにすら思えます。
    ただの悪餓鬼だったのに、すっかり剣士へと成長し、上を目指していきます。
    本旨からは逸れますが、
    『何のために自分の貴重な時間をつぶして他人の貴重な時間を邪魔しにきたのか』
    という言い草が好きでした。

    また小次郎も登場の巻。
    とても自由な感じのするキャラクターで、武蔵とは違った魅力に溢れています。
    「どうせ手入れにやるこの物干し竿、手荒につかうぞ」
    という台詞が恰好良く、印象に残りました。

  • 今回は、般若野の戦いが序盤から迫力満点で読みごたえがある。中盤では又八がメインとなり、前後して佐々木小次郎が登場。さらには吉岡一派との確執がいよいよ表面化して、その戦いの火ぶたが切られそう。
    相変わらず面白く一気読み。しかしこれは是非映像がしてほしい。もちろん再三映画化されているが、今のキャストで撮ってほしい。監督は大友 啓史か小泉堯史?主演は若いころは岡田君で年老いてから役所広司ってありきたりかな?「蜩の記」トリオだな、これじゃ。いっそのこと西島秀俊とか・・・。

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著者プロフィール

1892年、神奈川県生まれ。1921年、東京毎夕新聞に入社。その後、関東大震災を機に本格的な作家活動に入る。1960年、文化勲章受章。62年、永逝。著書に『宮本武蔵』『新書太閤記』『三国志』など多数。

「2017年 『江戸城心中 』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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