黒田如水 (新潮文庫 よ 3-19)

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  • Amazon.co.jp ・本 (449ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101154695

作品紹介・あらすじ

播州御着城城主・小寺政職の家老・黒田官兵衛(如水)は、織田信長と盟を結ぶため、岐阜へ赴き、羽柴秀吉の知遇を得る。織田家の重臣・荒木村重が、反織田の旗頭・毛利氏に呼応して叛旗を翻す。伊丹城に篭城する村重を翻意させるため、官兵衛は、単身、敵地に向かうが……。「天下を獲れる男」と秀吉に評された天才軍師の波瀾の生涯。

感想・レビュー・書評

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  • 黒田官兵衛(1546~1604)の半生。
    以下、本書より葉室麟氏による巻末の解説。

    私は中学三年の時に左足の膝を悪くして入院し、そのまま受験して高校入試は合格したものの出席日数が足らず、一年間、休学した。
    同級生から取り残され、復学してからも武道の実技はできず、その時間は武道具庫で面や小手、胴などの整理をして過ごした。
    汗臭く薄暗い武道具庫で板敷の床に座って、小さな窓から差し込む日差しを眺めた。

    思春期特有の孤独感や前途への不安が胸にあった。
    その頃、『黒田如水』を読んだ。
    窓から藤の花が見えた訳ではない。
    しかし、いつか自分も官兵衛のように藤の花を見る事があるのではないか、という思いはあった。
    だから、四十数年前の文庫本を今も持っているのだろう。

    人生での躓きを感じた読者は、官兵衛が藤の花に託した祈りを胸深く感じ取るのではないだろうか。


    葉室麟氏は2012年に『蜩ノ記』で直木賞を受賞。
    2017年に亡くなっている。

  • 大河ドラマもあって、誰の官兵衛を読もうかと思いましたが、やはり、吉川英治かと思い手に取りました。期待を裏切らず、面白くどんどん読み進められました。先を見通す先見の明、裏切られる事の日常の世の中で、それでも仁を貫く官兵衛に心の強さ、深さ、広さをほんの少しばかり分けていただいた気がしました。

  • 伊丹の城に囚われ1年余。救出劇が中心。

  • 黒田如水となっているが、物語は黒田官兵衛のときのもの。
    大河ドラマの岡田准一が時折フラッシュバックした。

  • 書かれているのは、黒田官兵衛が小寺家の若家老だった頃から、三木合戦終了後までである。したがって、本能寺の変から秀吉が天下を取るまでや、九州での活動については書かれていない。

    つまり、黒田官兵衛の生涯を概観したものにはなっておらず、少々物足りないかもしれない。

    前半は小寺家での苦労、後半は幽閉されてからの苦労が書かれているが、これは当時の吉川が置かれていた状況を反映しているのかもしれない。

    前半の小寺家でのエピソードは、時流を読めない無能なトップのもとでは、下にいる自己本位で動き、結果として組織を滅ぼすこと、後半の官兵衛救出のエピソードでは、有能なトップのいる組織では下にいる人間も1つの目標のもとに動き、結果、大きな成果をあげることが読み取れる。

  • 物語が途中まで・・

  • 戦国武将の物語を読むときに思うのは、決して武将の武勇伝=戦争賛美ではないということに気を付けないと読み方を誤ってしまう。
    物語は、戦国時代という自らの力の及ばない歴史の激動に巻き込まれた人間の苦悩であるはずだ。
    だからこそ時代を過ごした人々の運命の変転の中で、どのように生きていけばいいのか・・・という問いかけを、物語の中に見つけなければ著者のの作品にかける思いというものが伝わらなくなってしまい、単なる戦記物に終わってしまうように思う。
    物騒な世の中ではあるが、何とか窓の外に藤の花が見える時代が来ればいいのにと感じました。

  • BSフジ「原宿ブックカフェ」のコーナー「ブックサロン」で登場。
    http://harajukubookcafe.com/archives/853

    ゲスト葉室麟さんの人生を変えた一冊。

    「中学生の頃、その時丁度私も関節炎で左足を痛めておりまして、体育の剣道とかに出られなかったんですよね。それで皆は練習をしている中、武道庫の整理をしろと言われて。そういう思春期の高校生くらいで、皆から置いて行かれて、体育館の隅のくらいところにいる自分って切ないですよね。武道庫の中に小さい窓があって、光が差してたんですね。そういう体験があった時に、黒田如水も土牢から見える藤の花に希望を見出してたんですよね。自分もその時に何か希望を見出したいなと思っていたので、たまたま読んでいて苦しいことに耐えてやっていくんだなというその時読んだのが今も支えになっていますね。」(葉室麟さん)


    原宿ブックカフェ公式サイト
    http://www.bsfuji.tv/hjbookcafe/index.html

    http://nestle.jp/entertain/bookcafe/

  • 官兵衛さんの青春時代の話。
    思考力もあり、行動力もあるんですが、先走りすぎて敵に捕まって1年も牢獄に入れられたりして。
    生死の境をさまよっても、あきらめない精神力がすごいです。
    戦時中に書かれたらしいですが、死を煽らないように書いてあるのがいいですね。
    作者の良心だったのかな。

    2014.01.31

  • 大河ドラマの『黒田官平衛』はたまにみる程度なので、毎回見てるツレにちょこちょこ質問しながら読みました。時代物は苦手な方ですが、かなり楽しめました。なによりもすごく読みやすい。

    ドラマとは異なる部分が多々あり、小寺政職が「頼りないけど根はいい人」っぽいのがなんか。宗円だけは最初から最後まで柴田恭平で脳内再生されました。ドラマ見てる人は読んでみると面白いかも~

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著者プロフィール

1892年、神奈川県生まれ。1921年、東京毎夕新聞に入社。その後、関東大震災を機に本格的な作家活動に入る。1960年、文化勲章受章。62年、永逝。著書に『宮本武蔵』『新書太閤記』『三国志』など多数。

「2017年 『江戸城心中 』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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