- Amazon.co.jp ・本 (449ページ)
- / ISBN・EAN: 9784101154695
感想・レビュー・書評
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黒田官兵衛(1546~1604)の半生。
以下、本書より葉室麟氏による巻末の解説。
私は中学三年の時に左足の膝を悪くして入院し、そのまま受験して高校入試は合格したものの出席日数が足らず、一年間、休学した。
同級生から取り残され、復学してからも武道の実技はできず、その時間は武道具庫で面や小手、胴などの整理をして過ごした。
汗臭く薄暗い武道具庫で板敷の床に座って、小さな窓から差し込む日差しを眺めた。
思春期特有の孤独感や前途への不安が胸にあった。
その頃、『黒田如水』を読んだ。
窓から藤の花が見えた訳ではない。
しかし、いつか自分も官兵衛のように藤の花を見る事があるのではないか、という思いはあった。
だから、四十数年前の文庫本を今も持っているのだろう。
人生での躓きを感じた読者は、官兵衛が藤の花に託した祈りを胸深く感じ取るのではないだろうか。
葉室麟氏は2012年に『蜩ノ記』で直木賞を受賞。
2017年に亡くなっている。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
黒田如水となっているが、物語は黒田官兵衛のときのもの。
大河ドラマの岡田准一が時折フラッシュバックした。 -
大河ドラマの『黒田官平衛』はたまにみる程度なので、毎回見てるツレにちょこちょこ質問しながら読みました。時代物は苦手な方ですが、かなり楽しめました。なによりもすごく読みやすい。
ドラマとは異なる部分が多々あり、小寺政職が「頼りないけど根はいい人」っぽいのがなんか。宗円だけは最初から最後まで柴田恭平で脳内再生されました。ドラマ見てる人は読んでみると面白いかも~ -
官兵衛が若い頃の話。
kobo -
古臭さを感じさせない文体、さすが吉川英治だと思った。
最近流行の黒田官兵衛が黒田如水になる前の話。伊丹城での幽閉から救出がメインだった。愚直なまでに誠実、話せば何とかなるという胆力は読んでいても清々しい。参謀としての活躍よりも、参謀までの道のりが描かれている。本作を初めとし、様々な黒田官兵衛が書かれている著作を読むのには良いのかもしれない。
荒木村重を描いた、遠藤周作の「反逆」も併せて読みたい。 -
黒田如水 吉川英治著
昭和18年の作品で改版されてます。※70年以上前の作品
勘兵衛、秀吉、竹中半兵衛と出逢うシーン
夏の夜はみじかい。殊に、巡り合ったような男児と男児とが、心を割って、理想を談じ、現実を直視し、このときに生まれ合わせた歓びを語りあいなどすれば、夜を徹しても興は尽きまい
ここからの友情、裏切り、武士の生き様と、戦国の世の無情さと。
何となく、ベンチャー界隈の武将の方々にオススメです!
さすがに言い回しが古いなと感じますが、清張氏とは違った面白さです。