剣客商売 十五 二十番斬り (新潮文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (258ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101156750

感想・レビュー・書評

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  • ▼「剣客商売」シリーズも、これを含めてあと二冊。なんだかんだと批判もいくらでもできますが、楽しませてもらってきたので名残惜しく読みました。この巻は特別長編です。

    ▼筋立てで言うと、たまたま、
    <幼い男子をかばう男vs数人の刺客>
    を、小兵衛が助けた。
    かばっている男は、元弟子だった。
    ワケありなはずだけど、ワケを言ってくれない…。

    で、まあネタバレですが












    つまりは<幼い男子>が名家旗本の跡取りで。跡目争いで刺客に狙われている。
    そんなこんな事情が分かって来て、分かったら最後は小兵衛が19人vs.1名、敵本拠地をやっつけて。さらには腕の立つ刺客もやっつけて、終わり。二十番斬り。

    ▼という話で、個人的には
    「ちょっと話の運びは雑かなあ…小兵衛が悪者を拷問するっていう段取りとかは好きじゃないなあ」
     とか思いました。けれど、楽しみ方はいろいろで。

    ▼冒頭で
    <小兵衛が眩暈に襲われる。老いか?>

    から始まって、

    最後に
    <眩暈はなんだか気にならなくなった>

    で終わります。

    そんな、老いを意識した小兵衛の心情が、この巻の味わいどころでしょう。

    ▼ただ、どうも剣客商売は、「鬼平」や「梅安」よりも、<長編が面白い>とは限らないですね…長編のほうがややダレる、とも言えます。

  • シリーズ第十五作、三作目の長編。長編といっても200ページちょっと。小兵衛大活躍の巻。大治郎と三冬はあまり活躍せず。久しぶりの杉原秀。面白かった。

  • 通算三度目の剣客シリーズ15巻。シリーズもあと1巻で終わりと思うと寂しいが、年老いていく(といっても剣の妙技は冴え渡っているが)小兵衛の身体に鞭打って働かせ、われわれ読者を楽しませるわけにもいかないなぁと思わせるほど、年齢を感じさせる描写が多くなってきた、シリーズ終盤。

  • ・6/16 いよいよ俺もおじさん連中の仲間入りか.主人公が若いかみさん連れのおじいさんだから、こりゃあ、世のおじさん連中に人気が出る訳だ.あぁぁ、情けない.いやだいやだ.でも話しは結構面白いかもね.
    ・6/17 などと言っている間に読み終えてしまった.これの次がシリーズ最終巻らしいから、このシリーズ、後ろから読むことになりそうだな.

  • ひたすら面白い

  • またまた長編―。
    小兵衛が老人らしくなり、眩暈を覚えて倒れた日。門人が助けを求めて訪れてくる。しかし難解な事件の核は頑として明かされない。

  • シリーズ第十五作目は、さらりと軽く読める短編「おたま」と
    表題作の「二十番斬り」という重みのある、
    迫力溢れる長編が収録されている。

    朝、得たいの知れない眩暈を感じて倒れてしまい、
    いやでも主人公の老いを感じざる終えない物語のスタート。

    しかし、やはりこの主人公は凄かった。
    倒れたその日に、家に侵入した不審な侍二人を追い散らし、
    その侍が目的としていた物置小屋に隠れていた人物が
    まだ幼い曰くありげな子供を連れた男、
    その男が恩師ゆかりの人物であったために、
    事件に巻き込まれていく。

    シリーズがスタートした当初の作品達より、
    明るさや元気、力強さは多少ダウンしたものの、
    よく練りこまれた「いぶし銀の良さ」を感じる
    ストーリーだと思う。

    そんな話の中で登場人物達の間で数回交わされる
    「まずい饅頭」話は面白い。笑った。

  • 特別長編の中では一番面白かったかな。
    展開が急でスピード感があった。
    ゆっくりご飯を食べたりはなかったけど、「まずい饅頭」を出す茶屋が印象的かな。
    池波正太郎にかかるとまずい料理も乙に写るから不思議。
    一つだけ入ってる短編の猫のおたまの話も面白かったかな。

  • 得体の知れぬ目眩に襲われたその日、小兵衛は、恩師・辻平右衛門ゆかりの侍・井関助太郎を匿うことになる。井関は手負いで、しかも日くありげな小さな男の子を連れていた。小兵衛にすら多くを語らぬ井関に、忍びよる刺客の群れ。小兵衛は久しぶりに全身に力の漲るのを感じるのだった。一方江戸城内では、三冬の父・田沼意次が窮地に。
    【感想】
    http://blog.livedoor.jp/nahomaru/archives/50645911.html

  • 小兵衛が眩暈を起こしたところから始まった特別長編『二十番斬り』。相変わらず面白い。そして上手い。
    読了06.01.28

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著者プロフィール

大正十二(一九二三)年一月二十五日、東京市浅草区聖天町生まれ。昭和十(一九三五)年、下谷区西町小学校卒業、株式仲買店勤務。昭和十四年より三年ほど証券取引所にあった剣道場へ通い、初段を得る。旋盤機械工を経て昭和十九年、横須賀海兵団入団。敗戦の翌年、東京都職員として下谷区役所の衛生課に勤務。昭和二十三年、長谷川伸門下に入る。昭和二十五年、片岡豊子と結婚。昭和二十六年、戯曲「鈍牛」を発表し上演。新国劇の脚本と演出を担当する一方、小説も執筆。昭和三十年、転勤先の目黒税務事務所で都庁職員を辞し、作家業に専念。昭和三十五年、『錯乱』で直木三十五賞受賞。『鬼平犯科帳』『剣客商売』『仕掛人・藤枝梅安』の三大シリーズや『真田太平記』等、数々の小説で人気を博す一方、食や映画、旅に関する著作物も多く上梓した。受賞歴はほか吉川英治文学賞、大谷竹次郎賞、菊池寛賞等。平成二(一九九〇)年五月三日、入院していた東京都千代田区神田和泉町の三井記念病院で死去。小社では同じく単行本未収録のエッセイ集『一升桝の度量』(二〇一一)と初期戯曲集『銀座並木通り』(二〇一三)を刊行している。

「2022年 『人生の滋味 池波正太郎かく語りき』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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