剣客商売 一 剣客商売 (新潮文庫)

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  • 新潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (368ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101157313

感想・レビュー・書評

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  • 剣客•秋山小兵衛は鐘ケ淵の隠宅で歳の離れたおはると共に暮らしている。息子•大治郎は近くに道場を構え独立している。ここに時の老中•田沼意次の妾腹で美貌の女剣士•佐々木三冬が関わって、様々な出来事が起きる。小兵衛はもちろん、大治郎の剣技は尋常の域を超えており、二人が恐れるものは何もない…。

    第一話は1972年に連載が始まり、以降大人気シリーズとして書き続けられた。言わずと知れた池波正太郎の代表作の一つ。テレビドラマは見たことあったけど、読んだことはなかった。
    読みやすい。サクサクと読める。"大衆時代小説"とは、やはりこれだ。これが大事だ。登場人物のみならず、地の文までが時々「伝法口調」になったり「語り調」になったりするのは、著者の江戸っ子気質が存分に発揮されているからだろう。そしてとりもなおさず、講談などの"語りもの"の流れの先に大衆時代小説があったことの、一つの証明なのではないだろうか。そんなことを感じた。

  • 剣客商売 一

    「鬼平犯科帳」に続き、こちらのシリーズにも手を出してしまいました。
    主人公の秋山小兵衛は、御年60歳。小柄で飄々とした佇まいですが、剣術は滅茶苦茶強いスーパー爺さんです。
    息子の大治郎は巌のようにたくましく、超ストイックな若者ですが、こちらも剣の腕は一流。この凄腕父子を中心に話が展開します。
    酸いも甘いも嚙み分け、40歳も年下のおはると同居して悠々自適に暮らす小兵衛は、男装の美少女剣士で、老中・田沼意次の妾腹の娘、三冬からも熱い視線を送られるなど、“オヤジドリーム”を体現しまくっているのですが、生真面目な息子・大治郎との対比が面白いですね。
    今後秋山父子がどのような事に巻き込まれていくのか、次巻以降を楽しみに・・・。と思っていたら、巻末の解説で今後のネタバレが書かれていて、ちょいと興ざめでした。

  • スーパー爺さん登場!!
    最近は時代小説ばかり読んでいて、読みやすく楽しいシリーズ物を探しててオススメされた作品。
    短編形式で読みやすい。
    秋山小兵衛=スーパー爺さん

  • 2003/04/25
    親子、夫婦、友人と江戸を舞台に人間関係が時に切なく、時には爽快に描かれるシリーズ。
    才能、やりがい、何を幸せと思うのか。今は恵まれている環境と思うけど、それに胡座をかいている日々かも。楽しい毎日だけど、何かをはじめたい!

  • 2019年7月20日、読み始め。
    2019年7月25日、読了。

    これが剣客商売か、という一種の新発見をした感じ。
    テレビ時代劇や映画にもなった作品だが、内容はほとんど知らず、で今まできた。
    が、ここにきて、時代小説にはまり気味で、ようやく読んだ。

    • やまさん
      seiyan36さん
      こんにちは。
      いいね!有難う御座います。
      「取次屋栄三」は、栄三郎の人柄が一番の読みどころです。
      取次屋栄三は...
      seiyan36さん
      こんにちは。
      いいね!有難う御座います。
      「取次屋栄三」は、栄三郎の人柄が一番の読みどころです。
      取次屋栄三は、2010年10月~2019年08月までで20冊書かれています。
      これだけ長く続くのは、それだけ売れているのだと思います。
      いい本を見つけたと思っています。
      しかし、貸出期限が迫っているので2作目を読むのは、少し先になると思います。
      やま
      2019/12/05
  • 初めて読む方は、解説を絶対に読まない方がいいと思います。

  • 「鬼平犯科帳」を一気読みして1年。

    杏さんのエッセイで三冬の話を読み、このシリーズも読んでみよう!と手を出した。

    初め、なんとなーく読み進めるのが遅い感じがあり、設定にのめり込めず。
    鬼平犯科帳の平蔵さんは、ドラマで観ていたので、頭の中で作品通りに自由自在に動いてくれるが、今回の小兵衛は、うまく想像ができず、頭の中で動いてくれない。
    動き出してくれたのは、「剣の誓約」から。
    そこから一気に読みすめたら、とまらない。

    小兵衛さんと、息子の大治郎は、剣の技術は同等くらいと見えるのに、女性に関しては真反対。
    「雨の鈴鹿川」では、辛かっただろうなー(笑)

    女武芸者
    剣の誓約
    芸者変転
    井関道場・四天王
    雨の鈴鹿川
    まゆ墨の金ちゃん
    御老中毒殺

  • シリーズものに手を出してしまった。
    これほど胸躍る時代小説だとは露知らずに。

    剣の腕が立つ親子の活躍を描く短編集。
    ミステリあり、サスペンスあり、アクションあり、官能あり。
    およそ思いつくあらゆる娯楽小説の面白さが詰め込まれている。

    石田衣良のIWGPが好きなら、このシリーズにもハマること間違いなしだ。
    二作目も読みたくてウズウズしてしまう!

  •  痛快の娯楽時代劇。剣の道に生きる秋山親子の周りで起きる、いろんな出来事に老練な小兵衛と真っ直ぐな大治郎が立ち向かう。

     登場人物たちも魅力に溢れ、物語の中に惹きつけられる。

  • ▼「剣客商売(一)」池波正太郎。新潮文庫、初出は1972年頃、月刊「小説新潮」不定期連載だったそう。「鬼平犯科帳」「仕掛人・梅安」と並んで池波正太郎さんの「三大シリーズ」として(ファンには)説明不要の名作です。ざっくり言うと、
    ・六十代の隠居状態の剣客・秋山小兵衛
    ・その息子で町道場を営む剣客・秋山大治郎
    ・小兵衛に師事する女性剣客・佐々木三冬
    の三人がまあ主人公。基本は一話完結で、毎回何かしらか事件が起こって、まあ大まか小兵衛を中心になんらかの解決を見る、という言ってみれば大江戸私立探偵シリーズ。
    舞台は1780年代の江戸かと思われます。なぜ分かるかというと、女性剣客の三冬さんが「老中田沼意次の妾腹の娘」という設定で、老中・田沼意次も脇役として登場します。

    ▼ということは「田沼時代」と呼ばれる1780年代でしょう。ちなみに鬼平犯科帳はその10年くらい後の寛政期。実在の長谷川平蔵が火盗改だったのが1787−1795くらいだったはずなので。
    そして「梅安」がその後の1799−1806くらいの設定。江戸という街の爛熟でいうと文化文政の時代かなあとシロウトとしては思いますが、池波さんの好みは違ったのか。あるいは鬼平が実在だったのでその前後を描いたのか・・・。

    ▼内容は、読んでみて思いますが、「三大シリーズ」が好きな人は、それぞれに好みがあっても全部好きだろうなあ、と(笑)。
    やはり基本的には短所はどれも同じで。

    A・ご都合に出来ている(偶然が都合よく起きる)

    B・主人公が強すぎる(苦戦はしても、絶対に圧倒的に負けないし、そこらあたりの具体技術的な描写は詳しくない)

    C・男性本位昭和感性が強い(笑)。まあこれは男女の情事を一定の頻度で軽く描くことも含めて、「だってその時代の連載媒体が99%男性が読むものだったんだからマーケットの需要として仕方ないぢゃん」とも言えますが。

    なんです。
    「鬼平」は言ってみれば警察商売なので事件と調査が日常ですから、Aに関しては比較的、薄い。(だから鬼平が一番好き、という人も多いのでは)

    ▼ぢゃあ何が面白いかというと、結局は池波正太郎さんの世界観につきて、具体的にいうと酸いも甘いも苦いも熱いも、キレイゴトから悪臭漂う陰惨さまで、くるんで味わう人情噺、ということでしかありません。それに、探偵小説というエンタメをきれいにかぶせる。そこに、ヒーローものというさらに鉄板安心なエンタメ感がトッピング。

    ▼ここまでは、池波さんご自身が知っての通り、フランス/ベルギーの作家ジョルジュ・シムノンの「メグレ警視シリーズ」と同じ作り。それにまた、「江戸情緒」をパリに負けじと厚塗りされているのが池波さんの世界観ですね。

    ▼といわけで第1巻に話を戻すと?スムーズにキャラが紹介されて、なるほどとにかく小兵衛と大治郎の親子はとにかく強くて負けないんだな、ということで安心(笑)。この連載開始時点で池波さんがどうやら50歳くらいだったようですが、秋山小兵衛というキャラがどうやら60歳よりちょっと若いか?60歳か?というくらいのようで、つまりは中年〜初老の男性にとって楽しいファンタジーヒーローなんだなという感じがよくわかります。でもって読者のこっちも丁度50歳なので、そのあまりなファンタジックなヒーローぶりがやや恥ずかしい気もしますが(笑)、とりあえず楽しめちゃうところは作者の巧さだよなあ、と思いました。

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著者プロフィール

大正十二(一九二三)年一月二十五日、東京市浅草区聖天町生まれ。昭和十(一九三五)年、下谷区西町小学校卒業、株式仲買店勤務。昭和十四年より三年ほど証券取引所にあった剣道場へ通い、初段を得る。旋盤機械工を経て昭和十九年、横須賀海兵団入団。敗戦の翌年、東京都職員として下谷区役所の衛生課に勤務。昭和二十三年、長谷川伸門下に入る。昭和二十五年、片岡豊子と結婚。昭和二十六年、戯曲「鈍牛」を発表し上演。新国劇の脚本と演出を担当する一方、小説も執筆。昭和三十年、転勤先の目黒税務事務所で都庁職員を辞し、作家業に専念。昭和三十五年、『錯乱』で直木三十五賞受賞。『鬼平犯科帳』『剣客商売』『仕掛人・藤枝梅安』の三大シリーズや『真田太平記』等、数々の小説で人気を博す一方、食や映画、旅に関する著作物も多く上梓した。受賞歴はほか吉川英治文学賞、大谷竹次郎賞、菊池寛賞等。平成二(一九九〇)年五月三日、入院していた東京都千代田区神田和泉町の三井記念病院で死去。小社では同じく単行本未収録のエッセイ集『一升桝の度量』(二〇一一)と初期戯曲集『銀座並木通り』(二〇一三)を刊行している。

「2022年 『人生の滋味 池波正太郎かく語りき』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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