剣客商売 四 天魔 (新潮文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (384ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101157344

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  • 秋山小兵衛の愛弟子•落合孫六が、かつて仕えた大名家で八百長試合をする。その審判になった小兵衛は意外な結末を見る「雷神」
    大次郎は、小兵衛のかつての同門•横川彦五郎の病気見舞いに箱根塔の沢温泉を訪れる。そこで出会った浪人は意外な過去をもっていた「箱根細工」
    大次郎の修行仲間•高野十太郎は仇を探す身。助太刀を申し出た稲田助九郎には『念友』山岸弥五七がいた「夫婦浪人」
    小兵衛のかつての門人の息子•笹目千代太郎が江戸に戻って来た。恐るべき修練を積み、小兵衛に打ち勝つ為に。「天魔」
    神田明神前に立札を立てた平内太兵衛には目的があった。近くに住むおちかという娘と、ある約定があったのだ。「約束金二十両」
    大次郎が居酒屋•鬼熊で見かけたのは旧知の坊主。狡知に長けた手段で人の金を奪っていたその坊主は仇持ちだった「鰻坊主」
    小兵衛は煙管師•友五郎を訪ねる。その途上、友五郎の妻の浮気相手が殺害される現場に出会してしまう「突発」
    大次郎の修行時代の恩人•無覚和尚が自殺を図る。盗まれたのは金五十両と、馴染の女だった「老僧狂乱」

    小兵衛•大次郎親子が更に協力関係を深め、様々な事件に立ち向かって行く第四巻。著者を個性付ける、『粋な大人たち』の物語に仕上がっています。

  • 剣客商売 四

    表題作「天魔」で登場した笹目千代太郎は、無茶苦茶強くて、第二巻に登場した“小雨坊”に匹敵する“ヤバイ奴”でした。
    秋山父子の強さは重々承知なのですが、彼のようなサイコな強敵が出てくると、ちょいとヒヤヒヤします。
    そんな千代太郎に対峙するのは、息子・大治郎。
    もう、大治郎の成長ぶりが頼もしくてなりません。剣術だけでなく、小兵衛さんの後妻で自分より若い義理の母・おはるに、箱根細工の裁縫箱をお土産に買ってきてあげたり(「箱根細工」)、優しくて気が利くところも見せてくれます。
    大治郎と三冬が仲良くなってきているのも、微笑ましいですね。

  • <目次>


    <内容>
    読んだ作品の順が違うのは、自腹でなく、図書館で借りているから。私と同じころににわかに『剣客商売』シリーズを読もうと思ってしまった人がいたようで、抜きつ抜かれつして借りているからだ。でも安定の池波節。

  • 2019年7月31日、読み始め。

    ●小兵衛のが使う刀メモ

    ・「国弘の脇差」。
    これは、一尺八分の愛用の脇差。

    ・「藤原国助の大刀」。
    これは、小兵衛の恩師の辻平右衛門が江戸を去る時に「形見」として与えた一振り。二尺三寸一分。


    ●人物メモ

    ・弥七---四谷・伝馬町の御用聞き。

    ・小川宗哲---亀沢町の町医者。小兵衛の碁がたき。小兵衛より10歳位年長。

    ・文吉(ぶんきち)・おしん---鬼熊酒屋の亭主と女房。前亭主は、熊五郎。文吉・おしんは養子夫婦。

    ・牛掘九万之助(うしぼりくまのすけ)---浅草・元鳥越町に奥山念流の道場をかまえる。

    ・金子孫十郎信任(のぶとう)---湯島5丁目に道場をもつ。60歳をこえている。門人は300人以上。

    • やまさん
      seiyan36さん
      こんばんは。
      いいね!コメント!有難うございます。
      「競歩王」と「タスキメシ」なら、私は、競歩王が好きです。
      ...
      seiyan36さん
      こんばんは。
      いいね!コメント!有難うございます。
      「競歩王」と「タスキメシ」なら、私は、競歩王が好きです。
      タスキメシは、お料理の話が多いですよ。
      やま
      2019/11/30
  • ▼収録されているのは、以下。



    雷神

    箱根細工

    夫婦浪人

    天魔

    約束金二十両

    鰻坊主

    突発

    老僧狂乱



    ▼印象に残っているのは、全般、「剣客として生きていく商売」が因果で辛いなあ、という話が多かった。

    「箱根細工」「天魔」が両方、小兵衛が縁があった剣客の息子が、「悪魔のような、悪の剣客になった」というなんとも痛い話。


    ▼あと「突発」が確か、夫を毒殺しようとする悪女の話で、ちょっと異色の短編だった。ジョルジュ・シムノンが書きそうな。

  • 剣客商売4作目。

    「天魔」は、ヒヤヒヤしてしまった。。
    天魔に、親子2人、いや、いずれかがやられてしまうのでは?と。。
    ある意味、天魔は、可哀想な物語でもある気がする。。

    「夫婦浪人」のひどいの浪人は、気の毒だった。。

    大治郎が、おはるとの関係を少し変えたのが今回。
    「母への土産」と聞いて、はて?母?と一瞬戸惑ってしまった(笑)
    そうだよな、たしかに、れっきとした母だ。

    ますます面白くなってくる。

    雷神
    箱根細工
    夫婦浪人
    天魔
    約束金二十両
    鰻坊主
    突発
    老僧狂乱

  • 池波正太郎「天魔」、剣客商売(四)、1988.9発行。8話が収録されています。第5話「約束金二十両」が最高でした。第6話「鰻坊主」もなかなか良かったです。毛饅頭を知らない大治郎、三冬には笑いましたw。

  • 剣客商売 第四巻

    相変わらず一気に読まされてしまう。

    これまでで最大の剣客に相対峙する。
    このときの小兵衛の一言で大治郎への
    信頼と、親としての喜びみたいのを感じる。

    本巻では男女関係多め。

  • おはるの語尾を伸ばした話し方にほのぼのする。箱根細工のお土産のくだりもいい。その中でタイトルにもなっている「天魔」の話。こういうのも話もピリリとして楽しめる。

  • 過去の脇役たちやエピソードの舞台となった店などが何度も登場して、読んでいる側にとっても馴染みになっていくのが楽しい。今回は表題作のような恐ろしい敵との死闘やユーモラスな話、かと思えば「夫婦浪人」のような滑稽さと悲哀が同居する話があり、どの話も味わい深い。小川宗哲先生が本当に良いキャラをしている。

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著者プロフィール

大正十二(一九二三)年一月二十五日、東京市浅草区聖天町生まれ。昭和十(一九三五)年、下谷区西町小学校卒業、株式仲買店勤務。昭和十四年より三年ほど証券取引所にあった剣道場へ通い、初段を得る。旋盤機械工を経て昭和十九年、横須賀海兵団入団。敗戦の翌年、東京都職員として下谷区役所の衛生課に勤務。昭和二十三年、長谷川伸門下に入る。昭和二十五年、片岡豊子と結婚。昭和二十六年、戯曲「鈍牛」を発表し上演。新国劇の脚本と演出を担当する一方、小説も執筆。昭和三十年、転勤先の目黒税務事務所で都庁職員を辞し、作家業に専念。昭和三十五年、『錯乱』で直木三十五賞受賞。『鬼平犯科帳』『剣客商売』『仕掛人・藤枝梅安』の三大シリーズや『真田太平記』等、数々の小説で人気を博す一方、食や映画、旅に関する著作物も多く上梓した。受賞歴はほか吉川英治文学賞、大谷竹次郎賞、菊池寛賞等。平成二(一九九〇)年五月三日、入院していた東京都千代田区神田和泉町の三井記念病院で死去。小社では同じく単行本未収録のエッセイ集『一升桝の度量』(二〇一一)と初期戯曲集『銀座並木通り』(二〇一三)を刊行している。

「2022年 『人生の滋味 池波正太郎かく語りき』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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