剣客商売 六 新妻 (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社
3.81
  • (72)
  • (112)
  • (125)
  • (2)
  • (1)
本棚登録 : 918
感想 : 55
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (368ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101157368

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 渡部甚之介は将棋好きの剣客。ある日、秋山小兵衛の家で将棋を指し続けて、果し合いの約定を失念してしまう「鷲鼻の武士」
    佐々木三冬は根岸の寮に帰るさなか、一人の女性を助ける。女性は絶命するが、抜荷の証拠を託した「品川お匙屋敷」
    秋山大次郎は佐々木三冬と無事結婚。小兵衛と三冬は親子となる。そんな中、小兵衛はかつて道場に来ていた美男子を町中で見かける「川越中納言」
    大阪へ、修行時代の恩師の墓参りに行った大次郎は帰途に同姓同名の人物に出会い、その苦境を救う為に尽力する「新妻」
    小兵衛が料理屋•元長で見かけたのは品の良い老人。老人は行方不明になった娘の行方を探していた「金貸し幸右衛門」
    植村友之助は、病を得るまでは小兵衛の高弟だった。そんな彼が、偶然拾った畳針で人助けをする「いのちの畳針」
    金杉新田に住む鷲巣見平助は道場破り。日本橋の間宮道場に訪れると、その日、道場に来ていた大次郎と戦う。大次郎と真剣で立会いたいと望む平助だったが「道場破り」

    ついに結ばれた大次郎と三冬。大次郎の道場で修行していた飯田粂太郎も元服し、小兵衛は63歳•おはるも23歳になった。(「金貸し幸右衛門」冒頭に記述あり)
    「解説」によると、著者は67歳で亡くなったそうだが、著作は驚くほど多い。本作は著者が50代の作品だそうだが、脂がのりきっている感じがする。
    つい先日見に行った映画館では、「鬼平犯科帳」の新シリーズ予告をやっていた。私が子どもの頃、父が、松本幸四郎主演のテレビシリーズを熱心に見ていたが、ついに孫が同じ役を演じる時代になったのだ。池波正太郎の作品は、ある意味で時代を超えて残るのかもしれない。

  • ▼収録されているのは以下です。


    鷲鼻の武士

    品川お匙屋敷

    川越中納言

    新妻

    金貸し幸右衛門

    いのちの畳針

    道場破り


    この中で「品川お匙屋敷」が、以下の内容。密貿易をめぐる犯罪事件に佐々木三冬が巻き込まれる。悪人に捕まってしまう。それを大治郎が助ける。三冬の父である田沼の言い出しで、ふたりは結婚することになる。祝言を上げる。


    ▼なかなか急展開ではありますが、その脱力さも池波節かな、と。


    ▼印象深いのは「川越中納言」。川越中納言の名で呼ばれる悪党を、小兵衛が成敗する。というそれだけの話なんですが、かつて被害にあった娘が、無事に幸せに市井で暮らしている。最後に小兵衛に赤ちゃんを見せに来る。小兵衛は赤ちゃんを見て、自分の子が、大治郎が、赤ちゃんの頃を思い出す。それだけの一幕が、素晴らしい。


  • 剣客商売 六

    「品川お匙屋敷」では、密貿易に関わる一味に三冬が攫われてしまいます。必死に探し回る大治郎。“愛しい人を助けに行く殿方の図”というのは、鉄板でカッコイイものです。
    何とか無事に三冬を救出した大治郎に、三冬の父・田沼老中から三冬を嫁に貰ってほしいとの申し出があり、めでたく二人は結婚する事に。本当に、お似合いのカップルです。
    晴れて大治郎の妻となった三冬が、慣れない家事に奮闘する姿も微笑ましいです。登場当初は権高なところもあった三冬ですが、すっかり女性らしくなってきて、変われば変わるものですね。

  • 2019年8月27日、読み始め。

    ●人物メモ

    ・永山精之助---町奉行所の同心。弥七の直属先。
    ・弥七---四谷・伝馬町の御用聞き。
    ・徳次郎---内藤新宿の下町に住む。女房は、おせき。
    ・又六---深川・島田町の裏長屋に住む、鰻売り。

    ・小川宗哲---亀沢町の町医者。小兵衛の碁がたき。小兵衛より10歳位年長。

    ・文吉(ぶんきち)・おしん---鬼熊酒屋の亭主と女房。前亭主は、熊五郎。文吉・おしんは養子夫婦。

    ・長次・おもと---浅草駒形堂裏の河岸の料理屋「元長(もとちょう)」をひらいている。

    ・牛掘九万之助(うしぼりくまのすけ)---浅草・元鳥越町に奥山念流の道場をかまえる。

    ・金子孫十郎信任(のぶとう)---湯島5丁目に道場をもつ。60歳をこえている。門人は300人以上。

    ・杉本又太郎---団子坂の無外流・杉本道場の当主で、秋山親子とも顔見知りの剣客であった父親を1年前に亡くしている。

  • 鷲鼻の武士 渡部甚之助、理不尽に巻き込まれる
    品川お匙屋敷 抜け荷と三冬の拉致
    川越中納言 淫乱犯罪
    新妻 大治郎、同姓同名で人間違いされる
    金貸し幸右衛門 小兵衛小金持ちになる
    いのちの畳針 板挟みの御用聞き
    道場破り 鷲巣見が不憫

    やっと結婚します

  • タイトルの「新妻」大治郎のことかと思いきや違った。なるほど。二人の結婚のきっかけとしての人質事件…少しさっぱり書かれているような気もした。意次からではなく、大治郎または三冬からプロポーズしてほしかったような。「いのちの畳針」「道場破り」よかった。

  • シリーズ第6弾。「剣客商売」の六冊目にあたるこの『新妻』に収められた7編は作家・池波正太郎が元気そのものだった頃の作品である。なかでも、「品川お匙屋敷」で秋山大治郎と佐々木三冬は結ばれるのである。世間を知らぬ、微笑ましほどに初心なカップルの誕生だ。

  • とうとう結婚したぁー。
    ふたりのうぶな感じがほほえましい。

    相変わらず絶好調な物語。
    俯瞰的→個人への視点の移り変わりも絶妙で、つい引き込まれる。
    正義だからといって助からないことがはがゆいけど、
    そういったことも小兵衛と大治郎がすっぱりと成敗してくれて
    おおかたすっきり。

    こんなはまったシリーズは始めてかもしれないー

  • 次から次へと一気読みしてしまいます。買っておいたのが六冊なので、しばらく休めます。笑

  • <目次>


    <内容>
    大治郎と三冬が結婚した(ただし、第4巻はまだ未読)。最後の道場やぶりはドラマで見た記憶がないが、やっているだろうな…。

  • 大治郎がどんどん逞しく、立ち回りも巧みになっていく。そして「火加減もわからぬし、水加減もわからぬ」な三冬の初々しいこと。二人がこの先、どのように描かれていくのかますます楽しみになる。最後の2編「いのちの畳針」「道場破り」が特によかった。

  • 秋山大治郎のことを思いながら夕暮れの根岸の里を歩んでいた佐々木三冬は、背中を斬られて逃げてきた女に小さな品物を託される。それが密貿易に係わるものだったため、三冬はその一味から狙われ、捕らわれて地下蔵に押し込められる。
    鬼神のごとくなって探し回った大治郎が奇蹟的に三冬を救出すると、父・田沼意次は、いきなり三冬を嫁にもらってくれと頼むのだった。シリーズ第6弾。

  • 池波正太郎の剣客商売シリーズも№六「新妻」(2002.11)、いよいよ佳境に入ってきました。鷲鼻の武士、品川お匙屋敷、川越中納言、新妻、金貸し幸右衛門、いのちの畳針、道場破りの7話、どれも読み応えがあります。なんといっても、朴念仁で二人ともおのれの胸の内を打ち明ける術を知らない佐々木三冬と秋山大治郎が結婚しました。家事は何も知らない三冬が初々しいです。小兵衛に「一肌脱いでいただきたい」と言われたら、恥じらう三冬w。一方、大治郎は巻を追うごとに、逞しく、頼もしく成長しています!

  • 剣客商売6作目。

    タイトル通り。というべきか。
    (タイトルと三冬は、直接関係ないが)
    三冬が女性になったな。。
    章を追うごとに女性になっている気がするが、武術はそのまま励んでほしいところ。

    「品川お匙屋敷」は、いろいろな意味合いでヒヤヒヤした。

    「金貸し幸右衛門」は、悲しい結末。
    幸右衛門と関わりがあるということが恥だと思ったのか。
    寂しすぎると思った。

    鷲鼻の武士
    品川お匙屋敷
    川越中納言
    新妻
    金貸し幸右衛門
    いのちの畳針
    道場破り

  • いよいよ結ばれた2人

  • 三冬が女らしくなってきた

  • 全シリーズのクライマックス? 小兵衛は絶好調だし。

  • タイトルから大治郎と三冬のことかと思って読んだのだが、良い意味で体をかわされた(笑)「品川お匙屋敷」が切っ掛けで、老中・田沼から縁組みを申し入れられるなどは当時としては破格のことだろう。「新妻」「道場破り」で大治郎の情の厚さが堪能できる作品だった。「金貸し幸右衛門」の中の『かえって戦乱絶え間もなかったころのほうが、人のいのちの重さ大切さがよくわかっていたような気がするのじゃ。(中略)生死の意義を忘れた人それぞれが、恐ろしいことを平気でしてのけるようになった。』とは、平成の世でも言えることだろう。

  • (^.^)

  • かわいい夫婦ができあがりました!

    「品川お匙屋敷」の延焼の原因が大治郎としか思えないのですが、
    思い違いでしょうか…。
    ちょっともう一度読み直してきます。

  • 秋山大次郎を助ける逸話はなかなかでした。
    新婚はいいねえ。

  • 11/2〜11/3

  • ・・・。

  • 遂にというか案外あっさりというか、息子も結婚!
    個人的にはラブコメ編をもう少し楽しみたかったところ。

  • いつも通り安定の剣客ワールド。
    大治郎の結婚とか家と財宝ゲットとか結構大きなイベントあったけど、それでもなんだかいつも通り。
    茶漬けをすするようにするすると読める。
    それがいいとも言えるし、安定すぎとも言える。
    まぁこの世界がイヤな人はここまで読まないだろうから、これでいいんだろうけどね

  • 時代小説。「剣客商売」シリーズ第6弾。7作。

    「鷲鼻の武士」「品川お匙屋敷」「川越中納言」「新妻」「金貸し幸右衛門」「いのちの畳針」「道場破り」

    「品川お匙屋敷」で大治郎と三冬が結ばれる。この話がメインのように思えるが、「鷲鼻の武士」の渡部甚之介(「金貸し幸右衛門」にも出てくる)や「いのちの畳針」の植村友之助、「道場破り」の鷲巣見平助など魅力的な人物が描かれる小作品により惹かれた。

  • やったという感じ!

    このシリーズの全体がわかるだけに、ココで?早くない?という気にもなる。
    小兵衛の立ち振る舞いのかっこよさに改めて、こんな爺さんになりたいもんだと思う。

  • 三冬が誘拐されて、大治郎が助け出して
    田沼意次の勧めで 結婚。
    ふーむ。
    ちょっと 簡単すぎた感じがある。
    もう少し、紆余曲折があってもよかったのだが。
    淡々としたのが 池波正太郎の流儀かも。

    読みこなれてきた。
    物語としては 安定感がある。
    浅野幸右衛門より 1500両と屋敷を譲り受けるのが
    秋山小兵衛を さらに悠々自適とする。

    道場破りをして お金を稼ぐ
    体面を守るために 襲撃する。
    ごろつきを養う 道場にもいろいろあるが 
    大治郎の道場はなぜはやらぬのだろう。

  • 剣客商売シリーズ六作目

    剣士の三冬に訪れた最大の危機。
    抜け荷に関する事件に巻き込まれ、囚われ監禁されてしまったのだ。
    その時の大治郎の動揺といったら…。
    でも、それで晴れて二人は結婚することに。大治郎から言うのではなく、意次から頼まれて…というのが何とも大治郎らしいです。
    ちょっとあっさりしすぎて拍子抜けしたのと、唐突だなぁ…という思いはあるけどめでたしめでたし。

    さて、夫婦になった二人は…というと、三冬の若妻ぶりが初々しくてかわいい。これまで剣術に没頭して来た分、家事がほとんどできないんですね。
    大治郎から、「さ、おあがりなさい」と渡された飯を「かたじけない」「む…これはうまい」と食べる妻。
    このシーンには笑ってしまいました。
    また、その時のご飯がすごく美味しそうで。

    鉢に生卵を五つほど割り入れ、醤油と酒を少々ふりこみ、中へ煎鴨の肉を入れてかきまぜておき、これを熱い飯の上から、たっぷりとかけまわして食べる。

  • ようやっと、三冬と大治郎が・・・。
    一服の清涼剤。

全55件中 1 - 30件を表示

著者プロフィール

大正十二(一九二三)年一月二十五日、東京市浅草区聖天町生まれ。昭和十(一九三五)年、下谷区西町小学校卒業、株式仲買店勤務。昭和十四年より三年ほど証券取引所にあった剣道場へ通い、初段を得る。旋盤機械工を経て昭和十九年、横須賀海兵団入団。敗戦の翌年、東京都職員として下谷区役所の衛生課に勤務。昭和二十三年、長谷川伸門下に入る。昭和二十五年、片岡豊子と結婚。昭和二十六年、戯曲「鈍牛」を発表し上演。新国劇の脚本と演出を担当する一方、小説も執筆。昭和三十年、転勤先の目黒税務事務所で都庁職員を辞し、作家業に専念。昭和三十五年、『錯乱』で直木三十五賞受賞。『鬼平犯科帳』『剣客商売』『仕掛人・藤枝梅安』の三大シリーズや『真田太平記』等、数々の小説で人気を博す一方、食や映画、旅に関する著作物も多く上梓した。受賞歴はほか吉川英治文学賞、大谷竹次郎賞、菊池寛賞等。平成二(一九九〇)年五月三日、入院していた東京都千代田区神田和泉町の三井記念病院で死去。小社では同じく単行本未収録のエッセイ集『一升桝の度量』(二〇一一)と初期戯曲集『銀座並木通り』(二〇一三)を刊行している。

「2022年 『人生の滋味 池波正太郎かく語りき』 で使われていた紹介文から引用しています。」

池波正太郎の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×