怪物がめざめる夜 (新潮文庫 こ 10-32)

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  • Amazon.co.jp ・本 (282ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101158327

感想・レビュー・書評

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  • シニカルな目線が良い。
    そして、話の展開がうまい。

    人を煽動する、
    難しいし、怖いよなぁ。

  • 文学

  • 年末の大掃除で、我が家で“発掘”された“積ん読”本を読んだ。面白かった。
    買ってすぐ読んでいたら、より面白かっただろうなと思う。
    HP・メール・ツィッター・Facebookを誰もが利用する現代で、もし、この物語が展開されたら、もっともっと恐ろしいことになる……。

  • 「私」とミスターJとの同性愛関係を疑っていた愛人が、死んだはずのミスターJの影に怯えて精神を病みそうになる。それを阻止するため「私」は愛人とアナルセックスを試みる…わかったようなわからないような、馬鹿馬鹿しく人を食ったオチが気に入った。

  • ホラーのカテゴリにしてしまうと、構えてしまうかもしれない。この本を初めて読む人は、そこまで構えなくてよい。ワタクシの場合「純文学書きおろし」という宣伝文に完全にだまされたクチである。

    放送作家とジャーナリストが「架空の怪物」を作り上げていき、それが本物になり、作った当事者を襲い始める。怪物は架空の人物なのか実在の人物なのか、それに憑依した何かなのか、はたまたそこを取り巻く大衆心理なのか。襲ってくる恐怖も見えるものから見えないものになっていくあたり、現在のネットを絡めた話ではないかと錯覚する。

    オウム真理教事件より3年前、ましてやインターネットが出来るよりも5年ほど早く、こういう恐怖を描いているところは特筆に値する。メディア論だの世代論だのを論じるのは野暮である。「怖くて面白い本」として読めばよいのだ。

  • 放送作家が仲間と作り上げた架空のコラムニストに,売れない芸人を割り当てたことでやがて怪物に育っていく話。
    深夜ラジオを通してリスナが暴走していく話なのだが,現代のネットの祭りに通じるものがあり,古さを感じなかった。

  • ブックオフ購入する。再読です。期待ほど面白くない。理由は時代とのずれです。以前は、ラジオは若者のものでもありました。しかし、現在、ラジオは中年以降のものです。本質的に、若者の局であるニッポン放送は低迷しています。TBSの天下です。つまり、この手の人物は無理なのです。それだけです。

  • ラジオ業界に息づく人間たちの軽いニヒリズムがいい。やや性急な書き方が残念。

  •  放送作家たちが「ミスターJ」という架空のコラムニストを創り上げ、人気を集めることに成功する。勢いに乗って、無名の芸人を「声のミスターJ」としてラジオDJに仕立て上げ、それも大成功。しかしミスターJはどんどん彼らの手を離れて……という話。

     噂がどんどん現実に侵食していくっていうのは、いとうせいこうさんの「ノーライフキング」を思い出した。架空の人物が一人歩きするっていうと、乙一さんの「はじめ」がそうだし、その乙一さんが好きな伊集院光はまさに「謎のDJ」だった時期があった。芳賀ゆいっていう架空のアイドルもいたねー。90年代の頭くらいに仮想現実ブームがきてたっぽい。

     小林信彦さんに褒められたって、以前に伊集院さんが言ってたっけなぁ。好きなものがあちこちで繋がってておもしろい。

  • いまやインターネット全盛期、怪物はより生まれやすくなってますね。

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著者プロフィール

小林信彦 昭和7(1932)年、東京生れ。早稲田大学文学部英文科卒業。翻訳雑誌編集長から作家になる。昭和48(1973)年、「日本の喜劇人」で芸術選奨新人賞受賞。平成18(2006)年、「うらなり」で第54回菊池寛賞受賞。

「2019年 『大統領の密使/大統領の晩餐』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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