民族世界地図 最新版 (新潮文庫 あ 40-4)

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  • Amazon.co.jp ・本 (274ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101160245

感想・レビュー・書評

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  • 始めはさながら客船で港々をめぐって、世界一周をしているような気持ちで読んでいました。

    朝鮮半島、台湾、中国、フィリピン、小国ブルネイ、インドネシア、シンガポール、マレーシア、ベトナム、タイ、ミャンマースリランカ、インド、パキスタン・・・とアジアを行き、その先はイラン、イラク・・・カタール、ヨルダン、トルコ・・・エジプト、モロッコと中東・アフリカへと続き、ヨーロッパ・ロシア、アメリカ・オセアニアの国々で終わる読む地図の旅です。しかし、観光ではありません。

    国というくくりにうめく民族の叫びを淡々と述べてあるのです。国というのものは何によって出来るか?あるいは国境はどうして決めたのか?こんな問いかけは平凡かもしれません。でも、国境でくくられたため様々な民族が共存していく困難さ、民族に絡まった人種差別・覇権主義・闘争。世界情勢の危うさはいまだに続いております。

    この本が文庫になったのは2004年。9.11の直後でありその影響の世界情勢です。資料としてしては古く、著者の浅井さんは2015年にお亡くなりになってしまい、続編は書かれないのですが、わたくしとしてはその後の世界は見ておりまして、ここに記述されていることに予言を感じます。アメリカの内向きも中国の覇権主義もヨーロッパの右傾化も広範なイスラム主義伝播も。世界の人々のそれぞれの生き残りエネルギーは経済機構を様々に変え、人々の差をバネとして永遠に続くのがわかるのです。

    知り合いに一人2000万円の豪華客船で世界一周をした人がいます、どんな旅だったのでしょうか?わたしはこの500円の文庫本で、そう、愉しくはないけれども充実した旅をした気分です。

  • 関西外大図書館OPACのURLはこちら↓
    https://opac1.kansaigaidai.ac.jp/iwjs0015opc/BB40031692

  • 著者は元読売新聞の海外特派員。
    世界のあちらこちらの民族や民族同士の争いを解説する。著者の視点というよりから事実を淡々と述べる印象。民族意識は「他」との相違を認識することによって、芽生えてくる。相違にとどまらずら対決する関係になれば、民族意識がさらに強化される。言葉を変えれば尖峰カする。
    著者曰く、「民族をいくら考えてもすっきりとした結論は引き出しにくい。確実にいえるのは、多様な要素がからむがゆえに、結論を急がないほうがよろしい」。
    争いを避けるのであるならば、相違に目を向けるのではなく共通項を見つけるということなのかもしれない。

  • 古本1円で購入したが国家、民族、宗教の多様性等をざっと知ることができた。

  • アジア18か国、中東・アフリカ11か国、ヨーロッパ・ロシア12か国、アメリカ・オセアニア9か国の合計50か国について、民族分析をしながらコンパクトに解説した書。

  • ちょっと汚い話、トイレの友としてコツコツ読み進めて、とうとう最後までたどり着きました。国ごと読み切り型になっているから、隙間時間にはもってこい。かといって、内容がペラペラな訳ではなく、最低限、各国の民族問題について触れられるべきところには触れられているから、なんとなくわかった気にもなる。あの国やこの国のことがふと気になったとき、とりあえず手に取りたい本。

  • ちょっとそれぞれの情報が少ない気がする。。

  • うーん、世界は歴史の積み重ねで成り立っているのね。

    日本は、大陸の端についているから、あまり感じなかったけれど、ユーラシア大陸の真ん中は色んな民族が行ったり来たりしたのね。そして、イギリスやらアメリカから、ロシアやらの影響。

    昔の過ちは、消せないね。
    現在が、昔に影響受けちゃってるもんね…

  • 国家とは何か、人間とは何かということを考えさせられる。僕らは、共同幻想の中で生きていることを実感させられる。民族の概念は、共同幻想そのもの、たとえばバルカンのキリスト教徒とイスラム教徒に生物学的な差異などまったくないにもかかわらず、彼らは宗教に基づいた文化を育み、そして憎しみあい、殺しあう。単一の民族で構成されている国家などなく、それぞれの国家がいろんな民族を抱え、しかし確実に支配的な民族がそこにあり、それが不安定要因になっている。国家の解体か、民族の融合か・・。あわせて行おうとしているのがEUの実験だろう。人類は、EUに国家と民族の未来を託しているように、僕には思える。サハラ以南のアフリカは、主権国家、民族国家の創設はあきらめて、一気にその先の段階へ進むべきではないか?

    って、ぜんぜん本に書いてあることではないな。現実を認識するということが重要である。多くの出来事の裏に、民族の問題を発見するだろう。

  • わたしの思っている以上に世界は広くて複雑だった!

  • CIAって世界中の人口構成を把握しているのですね。すごい頻繁にCIAが参照されるもんだから、すごい、けど怖い。8月7日から9日まで青春18切符で故郷博多まで旅をいたしました。その旅のお供にと、ヴィレッジヴァンガードの旅コーナー的な所でジャケ買い。どーせビレバンの悪趣味サブカル本だからとなめてたけど、結構世界史の予備知識が必要で、とくに地図が頭に入ってないと、毎回地図の勢多くれるとはいえ少しきつい。まぁとにかく、民族ごった煮の国はトラブル続きでてんやわんやなのだと言うことがわかりました。これから日本も移民が入ってくる訳だから、海の向こうの出来事ではすまされないのかもしれない。だからシビアな内容なのでお気楽な旅には向いてない・・・・。というわけでサブカル本ではなかったです。

  • 井の中の蛙のままではいけない。もっと視野を広げなければ、と考えさせられた。

  • 知っているようで知らない各国の話…、民族問題は宗教問題と同じくらい知っておくべきことだと思う。

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著者プロフィール

1935年長岡市に生まれる。東京外国語大学卒。読売新聞社入社、ジャカルタ、ニューデリー、カイロ各駐在特派員、ワシントン支局長を歴任。その後、米国ジョージタウン大学客員研究員、東京大学、東京外国語大学各講師、中東調査会理事、神戸市外国語大学国際関係学科教授を歴任。2015年歿。著書『中東を動かすものは何か』(1988)『ミステリーと虚構の国際政治』(1992)『アメリカ50州を読む地図』(1998)『アジア情勢を読む地図』(2001)『最新版・民族世界地図』(2002)ほか。

「2018年 『イスラム報道【増補版】 [新装版]』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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