診療室にきた赤ずきん―物語療法の世界 (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社
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本棚登録 : 695
レビュー : 119
  • Amazon.co.jp ・本 (207ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101160818

作品紹介・あらすじ

「むかしむかし、あるところに…」まさか精神科を受診して、昔話や童話を聞かされるなんて誰も思ってもみなかっただろう。でも、患者たちの当惑はすぐ驚きに変わる。そこに繰り広げられるのは自分の物語なのだ。悩みを抱えた心の深層を「赤ずきん」「ももたろう」「幸運なハンス」「三びきのこぶた」などで解き明かす、ちょっと不思議で、ほんとうは不思議じゃない12話の「心の薬」。

感想・レビュー・書評

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  • 精神科の症例集×童話。患者は精神科へ出向き心の悩みを吐露する。一方、医者は患者の話を聞き『赤ずきん』や『幸運なハンス』などの“童話”の一部に例えて深層心理を明解にする。

    少々のこじつけ感は否めないですが、患者側は馴染み深い例えをまえに目の前の霧が晴れたように解決されているので効果的な解決法なのだと思います。謎に覆われた心療内科の世界を覗かせてくれます。
    本書では“童話”を迷える患者の「例え」として示していますが、もとは幼い子には「道徳」を教え、大人には時に「訓戒」として忙しい日々に気付きを与えてくれます。“童話”はつい子供のモノと考えがちですが、常に人生に寄り添っていて、大人となっても時々立ち返る必要があるかもしれません。

  • 学生さんに教えていただいた本です。
    私は絵本好きで(蔵書600冊以上)、しかも医療面接の研究をしております。
    私にぴったりの本でした。
    臨床では絵本は使いませんが、絵本は子どもが理解できるようにシンプルで、しかも人間の本質が書かれております。
    様々な人生を生きる私たちにピッタリ当てはまる絵本が必ずあるはずです。
    そんな本に出会えたら幸せですね!

  • タイトルに魅かれて手にしたら三省堂書店限定復刊という帯を見て復刊するくらいなのか、と購入。
    精神科医のエッセイ。おとぎ話や童話を物語療法として使っているということで私でも読めるかなぁと読み始めたら読み易いし、知っている童話ばかりなのですごく興味を魅かれどんどん読み進めた。
    全編明るく開いた書き方なのは、患者に対する優しい視線と症状に対する鋭い洞察力と精神科医としての深い知見が含まれているからなのかな。解決した症例ばかりだからというのもあるだろうけれど。
    読後しみじみ思ったのは、人はちょっとしたきっかけで、でも本人にとっては知らぬ間に、道に迷ったり闇に落ちたりするのだなということ。
    決して他人事じゃない。
    最後の章で、
    『皆さんも思い出してみて下さい。幼いときに心ひかれた物語が、きっと皆さんの人生を導いてきたことに気づくはずです。人には誰にでも自分の物語があるのです。』とあり、思い出すと私にもあるなと気付いた。知らず知らずの内に導かれていた感じの。今となってはなんでそれに魅かれたんだと後悔する感じの。
    『過去に限る必要はありません。人生の節目節目に自分に合った童話や昔話を見つけて下さい』
    と続くから、これから探すのでも遅くはないらしい。
    解説の南伸坊さんも『自分の物語』に興味津々でした。

  • 著者は、聖路加国際病院精神科部長でもあります。患者の治療を目的として、童話や昔話を話します。確かに、童話や昔話は、勧善懲悪だったり、最後に愛は勝つだったり、子供を良い方向へ導くための物語です。しかし、長い間語り継がれてきたのには、それだけではない理由があるのでしょう。話す人・聞く人の心を癒すという大きな理由が。

    ここでは、『ねむりひめ』『三ねんねたろう』『幸運なハンス』『食わず女房』『ぐるんぱのようちえん』『ももたろう』『赤ずきん』『うたしまたろう』『三びきのこぶた』『いっすんぼうし』『つる女房』『ジャックと豆の木』のお話が書かれています。その中で、『三びきのこぶた』が一番印象に残りました。

  • 解説 南伸坊

  • この本は心の病を著者が「ももたろう」等の物語で解き明して治療してゆく様子がわかりやすく描かれています。なじみ深いけれど遠い物語たちが読む前と違った面を持って自分にぐっと近くなって来ます。
     かなり前の本ですが今の時代にも通じる内容です。
     訳もなくだるーい日がやたら続いたり、何となく暗い気分の続く人におススメです。
     何かが見えてハッとしたりホッとしたり出来ると思います。

    ペンネーム:猿亀

  •  昔々あるところに...。子供のころ、さんざん聞かされたフレーズだ。
     その昔話、童話、民話、おとぎ話が精神医療に用いられてるとしたら、意外に思うだろうか。

     精神を病んだ人が医者に「あなたの病気はこうで、原因はあーです」と言われても、素直に受け入れるほどの心の余裕はないだろう。

     そこで、物語療法では誰もが聞いたことのある物語を使う。
     あなたの状況は、この物語にそっくりではないでしょうか。突然に物語の話を出された患者は驚き、自身の状況を物語に当てはめて納得する。

     子供のころに聞いた物語が、大人にも必要な時がある。
     昔々あるところに...。このフレーズが今の社会にも途絶えず子供たちに伝えられますように。

  • 中々面白いし、含蓄がある。
    人の心の悩みと言うものは、他人には分かりにくいものですが、それが童話になぞらえて上手に説明されています。
    それが、中々タメになりそうな感じなのがまた良いです。

  • なるほど童話をほとんど読まずに育ってきたような気がしてきた。お伽話に救われることもあるんだな。

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