- Amazon.co.jp ・本 (294ページ)
- / ISBN・EAN: 9784101161013
感想・レビュー・書評
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「幼児狩り」を読んでさっぱりわからなかったのが高校生のころ。今回読み返してまず面白く感じたのは、倒錯的な嗜好を持っている人の、ヘンタイでありつつも地味に普通に暮らしているところ。当人も「わたしはちょっとヘンなんで!」と(こっそりとでも)威張っているわけではなくて、なんだか持て余しているようなところが、かったるいけど生きてるんだから仕方ないという点でなんだか共感してしまう。
どの短編も、一種の愛について語っている。本書を閉じた後は、程度の差はあれ、どのような愛も歪んでいるんだろうなと思わずにいられない。気晴らしの愛情、本当はその人になってしまいたい自分、愛されたいがための愛情、そのために抱え込まずにいられない苦痛。あんまり自分のことは考えたくないですね。でも自分はノーマルだからと安閑としていられないことはわかります。
「塀の中」は★★★★★。「雪」は★★★★☆。あとは★★★☆☆。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
『蟹』は第45回芥川賞受賞作。『幼児狩り』や『劇場』のような露骨にサドマゾ描写のあるものよりも『蟹』や『夜を往く』のふと魔が刺したかのように表出してくる倒錯した心理を描く作品の方が好き。
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夫とのやんらりした確執が描かれている
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日常を描いているのに、何処かズレている様に感じるのは登場人物達の異常さによるものだと思う。
深く関わらないと分からないけど、分かったら抜け出せない。 -
幼児狩り,蟹 (新潮文庫 こ 9-1)
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What is it like that you don't have a kid when you are in your 30s being a female??
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「幼児狩り」以下、6編を収めた短篇集。
どれも何だか不思議な世界だ。たとえば「幼児狩り」は、未婚の女性である主人公が男子児童に寄せる異常な執着を、「劇場」は、これまた未婚の女性がふとしたことで知り合ったせむし男と美女という異様な組み合わせの夫婦に対する執着を描く。
一番印象的だったのは「塀の中」。戦時下の工場で働く女学生達が、圧迫された生活の中で、監視役の中尉の目を盗み、迷い子の男児の世話をし始める。彼女達のある意味高ぶった感情は分るような、分らないような。
☆新潮社同人雑誌賞(幼児狩り)・芥川賞(蟹) -
新潮社の同人雑誌賞を受賞した作品。伊藤整が授賞式の時選者代表でスピーチをした。
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2009/2/5購入