塩狩峠 (新潮文庫)

Kindle版

β運用中です。
もし違うアイテムのリンクの場合はヘルプセンターへお問い合わせください

  • 新潮社 (1973年5月29日発売)
3.91
  • (1474)
  • (1367)
  • (1513)
  • (142)
  • (32)
本棚登録 : 13684
感想 : 1410
サイトに貼り付ける

本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています

Amazon.co.jp ・本 (464ページ) / ISBN・EAN: 9784101162010

みんなの感想まとめ

「犠牲」や「愛」をテーマにした物語が展開される本作は、明治末の北海道で実際に起きた列車事故を背景に、主人公が自らの命を賭けて多くの乗客を救う姿を描いています。冒頭に引用される新約聖書の言葉「一粒の麦」...

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 著者、三浦 綾子さん(1922~1999)の作品、ブクログ登録は、4冊目になります。


    で、本作の内容は、BOOKデータベースによると、次のとおり。

    ---引用開始

    結納のため札幌に向った鉄道職員永野信夫の乗った列車が、塩狩峠の頂上にさしかかった時、突然客車が離れ、暴走し始めた。声もなく恐怖に怯える乗客。信夫は飛びつくようにハンドブレーキに手をかけた…。明治末年、北海道旭川の塩狩峠で、自らの命を犠牲にして大勢の乗客の命を救った一青年の、愛と信仰に貫かれた生涯を描き、人間存在の意味を問う長編小説。

    ---引用終了

  • 一粒の麦、

    地に落ちて死なずば、

    唯一つにて在らん、

    もし死なば、

    多くの果を結ぶべし。

    (新約聖書 ヨハネ伝 第一二章 二四節)


    続いておびのりさんの本棚から

    冒頭の一文は本作の冒頭に書かれている新約聖書の言葉です
    超有名な言葉で、キリスト教の信者でなくともどこかで聞いたことあるかもしれませんね
    もちろんこの小説の主題となっている「犠牲」についての言葉です

    イエス・キリストが十字架にかけられる前夜に弟子たちに残した言葉とされています

    意味は「麦が自分一個にこだわって死ななければ、それはただの一粒の麦にすぎない。 しかし、土の中で死ねば他の多くの実を生ずる」ということです

    そこから「一粒の麦」ということわざにもなっていて、こちらの意味も「人を幸福にするためにみずからを犠牲にする人。 また、その行為。」となっています

    つまりこの物語は「一粒の麦」となった人の物語なんですな

    無理よな〜って思う
    わい無理よ「一粒の麦」は「一杯の麦茶」も無理よ(なんだそれ)

    でも、あれやな
    素直に感動したもんね
    すごいな〜って思ったもんね
    なんかちょっと人のために出来ることってないかなって思ったもんね

    まぁ、とりあえず今のところはそんな程度で良しとしましょうよ
    どんなもんでしょう?イエスさん

    • bmakiさん
      娘の読書感想文の本で、本が全く読めない娘の為に代わりに読んだ作品でした。

      とっても良い本で、こんな本に出会わせてくれて、読書感想文あり...
      娘の読書感想文の本で、本が全く読めない娘の為に代わりに読んだ作品でした。

      とっても良い本で、こんな本に出会わせてくれて、読書感想文ありがとう!!という本でした。

      去年だったか、一昨年だったか、塩狩峠を通る機会があって、おおー、ここかぁー!って感動しました。
      2024/12/31
    • ひまわりめろんさん
      まきちゃ

      実話が元になってるみたいだからね
      リアルな感動があるだろうね
      わいも塩狩峠行ってみたいな〜
      まきちゃ

      実話が元になってるみたいだからね
      リアルな感動があるだろうね
      わいも塩狩峠行ってみたいな〜
      2024/12/31
    • ひまわりめろんさん
      一Qさん

      やかましわ!( ゚д゚ )クワッ!!
      一Qさん

      やかましわ!( ゚д゚ )クワッ!!
      2024/12/31
  • 著者の代表作の1つ。明治末、北海道の塩狩峠での列車事故。身を呈して乗客を救った青年(鉄道職員)の一生。心洗われる感動作。「一粒の麦、地に落ちて死なずば、唯一つにて在らん」
    名作と知っていましたが、宗教色が強いかなと思い、手に取るのを躊躇していました。読んでよかったです。

  • 懐かしい1冊。
    私は中学生の時、全寮生の学校だった。
    同じ部屋だった中3の先輩が、良い本だからと押し付ける様に貸してくれた。私はまだ中1だった。今考えると、よく読み切ったと思う。

    主人公は、列車の運転手。そして、桁外れな意志の持ち主だった。それが、彼を
    大変な行動へと・・・・
    ・・・・何と言い表わすのがふさわしいのだろうか。このままだと、悲惨な大事故になってしまうと判ったからといっても、彼の精神力は並大抵ではないと思う。
    ・・・・これから待っていたであろう未来は彼の頭を掠めなかったのだろうか。
    そんなはずはない。
    もしも、彼があのような行動を起こさなかったら、列車はどうなっていたのだろう。やはり、思わずにはいられない。

    本屋で「塩狩峠」を見つけると、あの時の先輩の姿を思い出す。
    ・・・・それは、中1と中3の姿のままで。

    • 淳水堂さん
      ゆうママさんこんにちは。
      私のレビューの方にコメントいただきありがとうございます(^o^)
      私は読んだ後にレビューを書き、他の方々のレビ...
      ゆうママさんこんにちは。
      私のレビューの方にコメントいただきありがとうございます(^o^)
      私は読んだ後にレビューを書き、他の方々のレビューに目を通して、いいね、させていただきました。

      ゆうママさん中学生の時に読まれたのですね。
      うちも中学生の娘から回ってきたのを読んだのですが、中学生でこれを読むってすごいな−と思います。娘は「婚約者かわいそう」とだけ言ってましたが(苦笑)

      また機会がありましたら〜(^−^)/
      2021/05/22
  • 若い頃、この本に出会った。
    クリスチャンではない私だが、この本をきっかけに三浦綾子さんの世界に誘われていった。
    同僚に教会で上映会があるからと誘われたので出かけたら、この塩狩峠だった。
    小説でも映画でも最後が鮮烈だった。
    「真っ白な雪の上に、鮮血が飛び散り、信夫の体は血にまみれていた。」
    塩狩峠を家族で訪ねたのも冬だった。
    この一文が浮かび、身体は凛とした。
    娘もこの本を読み、感動をおぼえたという。

    世代を超えて、この小説は問う。
    本当の愛とは何か。
    最後は辛い。

    • ぐっちょんさん
      こちらでもコメント失礼します
      ブクログを始める前の前の若い頃、三浦綾子さんは、よく読みました。私もクリスチャンではないのですが、三浦綾子さん...
      こちらでもコメント失礼します
      ブクログを始める前の前の若い頃、三浦綾子さんは、よく読みました。私もクリスチャンではないのですが、三浦綾子さんが描く、純粋すぎる人物像には、惹かれてしまいますよね。
      塩狩峠は、氷点の次に読んだ作品だった気がします。
      自分を犠牲にすることの難しさ、是非…
      考えさせられますよね。
      生きていると、さまざまなこと、人に影響され、良くも悪くも少しずつ、染み込み、汚れることもある心。洗い流したくなりました。
      2024/07/06
    • まいけるさん
      今は時代が違い過ぎますが、三浦綾子さんの描く心を確認しに読みたくなります。穢れを落とすために。
      ぐっちょんさん、コメントありがとうございます...
      今は時代が違い過ぎますが、三浦綾子さんの描く心を確認しに読みたくなります。穢れを落とすために。
      ぐっちょんさん、コメントありがとうございます。
      2024/07/06
  • ラストが悲しすぎました。
    時代背景から異国の宗教が
    煙たがられていた頃に
    主人公の生い立ち、
    環境(母親がキリスト教信者)
    少年から成人した大人に
    なるまでの心の葛藤が
    繊細に描かれていました。
    偉大だと思っていた父親にも
    心に抱えていたものがあり
    本人も自問自答しながら
    大人になり、無宗教の自分には
    (神社に祈るくらいで)
    1つの宗教を持つ事で
    あらゆる苦難や人生の
    苦しみからそんなに
    救われる事が驚きでした。
    人としてそこまでへりくだり
    相手を受け入れてゆるす事は
    とても出来ない。

    • きよきよさん
      ミカンさんへ
      きよきよと申します。
      ミカンさんのレビューを見て、塩狩峠を手に取りました。とても感動しました。
      貴重な読書体験をありがとうござ...
      ミカンさんへ
      きよきよと申します。
      ミカンさんのレビューを見て、塩狩峠を手に取りました。とても感動しました。
      貴重な読書体験をありがとうございました!
      2026/02/22
  • 読み終わって涙が止まらない。
    実話に基づく物語と聞いてさらに感動が深まる。
    キリスト教信仰に生きた永野信夫の生涯。
    母がヤソ教(キリスト教)の信者であった為に姑に追われ、幼い信夫を置いて家を出た辛い過去がある。ヤソ教に対して強い反発があったものの、その真理に触れる中で心酔、没頭していくのも必然であった。
    病に伏せるふじ子への愛をも気づかせてくれる。
    信仰により変わっていく信夫。
    優しく穏やかではあるが強く厳しい。
    どうしてここまで人の為に尽くす事ができるのだろうか。命を賭してまで…。聖書を読めばわかるのだろうか。
    壮絶なラストは、勇敢だがあまりに悲しすぎて言葉にならない。

    〈一粒の麦、地に落ちて死なずば、唯一つにて在らん〉

    彼は聖書の言葉通りに一粒の麦となってこの地に多くの麦を芽生えさせた。
    そして117年後の今もなお、小説となり語り継がれる事となった。折しも事故が起きた2月28日はもう間もなく。巡り合わせに驚きながら、この小説の意味をかみしめたい。

    以前から読みたいと思っていたが、ブクログのフォロワーさんのレビューを見て手に取りました。背中を押していただきありがとうございました。

  • 最後は衝撃とともに胸を打たれました。
    幼少期からの主人公の心情の変化、成長が丁寧に描かれていて、登場人物が優しい心の持ち主ばかりなので読んでいて心地良かった。
    主人公は実在された人物の原型で、著者が創りあげた人格として描かれています。あとがきにある実在の人物のエピソードも読み応えがありました。
    どう生きるかを深く考えさせられる物語でした。


  • ブクログを始めて記念すべき100冊目。

    亡くなった祖母が好きだった三浦綾子さんを初読。
    この本も祖母の本棚から拝借してきた。

    三浦綾子さんは難しそうなイメージがあり
    なんとなく敬遠していたのだが、
    まもなく祖母の四十九日なので
    まだこっちにいるうちに読んでみたくなった。

    結論、全く難しいことはなく
    かなり読みやすかった。

    先が気になる!というような話では無いのに、
    読む手が止まらず時間が溶けるようだった。

    物語は実話を基にしたフィクション。
    永野信夫の生涯を描いたもの。

    キリスト教が疎まれていた時代背景だが
    信夫が死や生きる意味について考える中で
    キリスト教に触れ、次第に信仰するようになる。

    あらすじがネタバレみたいになっているので、
    事前情報なしで読んだ方が楽しめたと思う。

    自分もキリスト教に関わったことはあるが、
    聖書の抜粋程度にしか読んだことはなかった。
    大人になってから聖書を読むと
    また違った視点で見えるかな。

    • ハニロビさん
      こんばんは⭐︎

      夏の文庫フェアの対象本になっていたので、購入しようか迷いましたが…辞めてしまいました。

      いつか読みたいです♩

      私は遅読...
      こんばんは⭐︎

      夏の文庫フェアの対象本になっていたので、購入しようか迷いましたが…辞めてしまいました。

      いつか読みたいです♩

      私は遅読なのに、欲しい本をどんどん買ってしまうので読むスピードが買うスピードに全然追いつきません。笑
      2024/11/01
    • MATSURIさん
      普段読み慣れない作家さんやジャンルだと
      なかなか手を出すのに勇気入りますよね。
      自分も祖母が好きじゃなかったら、
      手を出してなかったかもです...
      普段読み慣れない作家さんやジャンルだと
      なかなか手を出すのに勇気入りますよね。
      自分も祖母が好きじゃなかったら、
      手を出してなかったかもです!

      それは自分もです!
      誘惑されないように本屋に行く頻度減らしました(笑)
      2024/11/01
    • ハニロビさん
      こんばんは⭐︎

      本屋さんに行く回数を減らすのは正解ですね!行くと必ず何冊か連れて帰ることになりますので。笑

      まわりに本好きがいないので、...
      こんばんは⭐︎

      本屋さんに行く回数を減らすのは正解ですね!行くと必ず何冊か連れて帰ることになりますので。笑

      まわりに本好きがいないので、本について色々お話しできて楽しいです♩いつもありがとうございます!
      2024/11/08
  • 人はなにか芯になるものが必要であり、その”芯”にどうやってたどり着くのか。
    「一粒の麦、地に落ちて死なずば、唯一つにて在らん」『ヨハネ伝』の第12章24節

    ===
    明治十年の2月に永野信夫は東京の本郷で生まれた。
    母はすでに亡く、父の貞行は一見穏やかだが芯の通った人物ではあったが、仕事のため信夫の養育は祖母のトセに任されていた。
    祖母トセは、武家筋であることを誇りとし、信夫を厳しく育てていた。そして折に触れて信夫の母の菊を侮蔑する。だが信夫は、会うことのできない母に密かに慕情を感じているのだった。

    だがその祖母トセが死んだときに、ある女性が家に来た。
    この女性こそ、死んだと聞かされていた信夫の母の菊だった。
    菊はキリスト教だったため、ヤソ教を忌み嫌うトセにより家から追い出されていた。
    しかも信夫の父の貞行は菊のもとに通い、妹の待子まで生まれていた。

    信夫は混乱する。
    密かに憧れていた母は、優しく穏やかで、父とも妹とも心から結ばれている。だが自分は?母は幼い自分よりもヤソ教を取ったのか?妹だって?信夫は自分の家族を慕いつつ、素直になれない気持ちも持つ。

    信夫が小学4年のときに同級生の吉川修、そして吉川の妹ののぶ子と知り合う。
    吉川は北海道に引っ越ししていったが、距離が離れても信夫と吉川とはこの後生涯の親交を結ぶことになる。

    思春期を迎えた信夫は自分自身について思い悩む。
    人はなぜ死ぬのか、自分の言葉と行動は本心なのか着飾っているだけなのか、自分は平等なつもりで他人を見下しているのではないか、家族が好きなのに素直になれない気持ち、自分自身のヤソ教への理不尽な反発心、そして触れたことのない”女の人”への憧れと後ろめたさ。

    そんな折に父の貞行が死ぬ。貞行は、思い悩んだり精神的傲慢さを見せる信夫に対して穏やかに、だが力強く、人としての道を示してきた。

    母菊と妹待子のために働き始めた信夫は、10年ぶりに吉川と再開する。
    文通を重ねてきた彼らは、お互いに本心を話せる、お互いの考えを深め合う間柄となる。

    数年後、信夫は東京での務めを辞めて北海道の鉄道会社での職に就く。
    吉川のこと、それよりもその妹である病床ののぶ子への慕情の想いだった。
    吉川に「のぶ子さんと結婚したい。病気が治るまでいつまででも待つ」という信夫だったが、実はのぶ子はキリスト教信者になったのだと知らされる。

    人の救いは?人は他人の罪を我が身と思えるのか?人は誰かの”隣人”になれるのか?
    ある時キリスト教宣教師の言葉を聞いた信夫は、これまでの反発心や心の迷いやわだかまりすべてを超えて、キリスト教の教えへに心を囚われるのだった。

    キリスト教徒になった信夫は、その人柄、人への平等性、普段は穏やかだが芯の燃えるような伝道で、鉄道会社の職場でもキリスト教教会でも、特別な人に慕われる人物になる。

    だが決して信夫は昂ぶらず常に考えていた。
    自分は本当に聖書の教えそのものを実施できているのか?人は他人のために死ねるのか?

    吉川の妹ののぶ子の病も回復の兆しが見え、信夫との結婚の話も進む。
    信夫は、自分の務める鉄道で、吉川とのぶ子の元に向かう。
    だがその車両が塩狩峠を登っているときに暴走し、転覆の大危機が訪れるのだった。

    ===
    中学生の娘の課題読書(の中の1つ)。娘が「私課題提出したからお母さんも読みなよ」と回ってきた。中学生でこれを読むってすごいなと思う。みんなどんな感想を書いたのだろう。

    実在の宣教師の行いを聞いた作者の三浦綾子さんが、その信仰の深さに感銘を受けて、宣教師をモデルにし、人の愛と勇気の根源、信仰を持つ人間の強さを書いた小説。
    最期の場面は、実際の記録だと、事故っぽく書いてあるようですね。小説のように自ら犠牲にだと自殺っぽくなってしまってキリスト教精神に背くからなのかな。

    信夫の子供の頃からの気持ちの複雑さが語られて、なぜ彼が信仰を持ち、それほど強くなれたのか。
    最初は反発したキリスト教であり、なぜ反発したのかも(母は自分より宗教を取ったのだとか、宗教が違うからと言って祖母の仏壇のお世話をしないなんて、とか)、けれどなぜ信仰にたどり着いたのか。
    お話としては、キリスト教徒になってからの迷わなさよりも、そこに行くまでの思い悩みの語られ方が印象深いです。

    私が以前友人から聞いた話で(キリスト教徒の人⇒私の友達⇒私 で聞いた)「人間関係は横糸。他の人に引っ張られて自分がズレてしまうこともある。神様との関係は縦の糸。自分がズレそうになったときにまっすぐに引っ張ってくれる」ということがあります。
    その縦糸は宗教だったり、道徳心であったり、人によって違うのでしょう。では私にとってそれは何?と言われると答えずらいのですが。。

    • アールグレイさん
      こんばんは、初めまして!
      ゆうママと申します!
      本にいいねを頂きありがとうございます。
      淳水堂さん、今日レビューを書いたのでしょうか。しっか...
      こんばんは、初めまして!
      ゆうママと申します!
      本にいいねを頂きありがとうございます。
      淳水堂さん、今日レビューを書いたのでしょうか。しっかりと読ませて頂きました。私のレビューは、昔の記憶を手繰り寄せながら、やっと書いたもの。淳水堂さんのおかげで、
      「こういう本だったんだな」と、思うことができました。ありがとうm(__)m 夜遅くに大変失礼しました。
      これからも機会がありましたら・・・・
      おやすみ(-_-)zzzなさい
      2021/05/20
  • 1976年に開始された『新潮文庫の100冊』で、47年間選ばれ続けている常連作品。

    この三浦綾子の『塩狩峠』と同様に、開始時から毎年選ばれている日本人の作品は、夏目漱石『こころ』、太宰治『人間失格』、井伏鱒二『黒い雨』、宮沢賢治『銀河鉄道の夜』の4冊のみ。名作と言っていいでしょうね。

    東京の本郷で生まれた主人公は、母が生まれて間もなく亡くなったと祖母に聞かされて育ちます。士族の家系故に厳格な祖母は、事あるごとに亡き母を例に上げて母を侮蔑していました。しかし、逆に少年は、もう会うことが叶わない亡き母を思い慕う日々を過ごしていました。

    そんなある日、父に連れられて団子坂に菊人形を見に行くと、1人の少女が父に近付いて「おとうさま」と声をかけます。事情が分からない少年は、家に帰って祖母にその時のことを話してしまいます…

    ここまでで約30ページ。裏表紙にあらすじが書いてありますが、それはラスト30ページのこと。その間には主人公が成長するにしたがって、様々な経験と共にキリスト教への信仰に目覚めていく過程が描かれる心の成長記です。

    この話しは「あとがき」にもありましたが、実際にあった事故が下地にあり、事故の事実以外は、自己犠牲のキリスト教の精神に感銘を受けた著者の創作です。著者は小説を通して、はたして敬虔な教えをもとに行動し、私的な人生を省みずに人命を救うことができるのかという自己犠牲について問いています。自分が同じ立場になったら、残される人のことが脳裏に浮かんでしまい、おそらく無理でしょうね。

    主人公は、クリスチャンになった後は、人間味溢れる人物描写が少なくなっていき、まるで聖人のようになっていくので、無理と考える自分が宗教と関係のない日常を過ごしているせいかもと思いました。しかし、聖人になるより、自分は日々を誠実に生きていきたいとは思いました。

    • 雷竜さん
      高校1年性の頃読んだのですが、とても感動して友達に渡したら、なんてくだらない本だと言われた記憶があります。そしてそれから50年後に年寄りにな...
      高校1年性の頃読んだのですが、とても感動して友達に渡したら、なんてくだらない本だと言われた記憶があります。そしてそれから50年後に年寄りになって、オーディブルで聴いたのですが、あまり集中できませんでした。夏目漱石は何度読んでもジンときますよね。
      たぶん、自分の心が汚れてしまったのか?キリスト教の歴史を知ってしまったからなのか?
      そんな思い出を思い出させてくれて、ありがとうございます。
      2024/03/22
    • Marさん
      この事故は、あとがきの補遺の藤原氏の発言にもありますが、氷に足を滑らせて線路上に真っ逆様に転落し、客車の下敷きになったのが真相だと思います。...
      この事故は、あとがきの補遺の藤原氏の発言にもありますが、氷に足を滑らせて線路上に真っ逆様に転落し、客車の下敷きになったのが真相だと思います。客車の重量を考えると、人一人が飛び込んだところで止まる訳がないですからね。それまでのハンドブレーキが効いていたのでしょう。

      事故で殉職された方は、立派な聖職者だったみたいなので、自ら飛び込んだという美談に仕立て上げられたのが真相と思われます。

      と、自分もそんなことを思いながら読み終わったので、そう思いつめない方がいいですよ。本を読むタイミングも、その時々で変わるものなので気にしないことですね。
      2024/03/22
  • 信じる心の強さ、尊さ、恐ろしさを感じました。
    私はキリスト教信者ではありませんし、信者になるつもりもありませんが、宗教を信仰する気持ちがわかる気がしました。人は弱いし、何かを信じ、なにかに救いを求めたいものだと思うのです。

  • ブクログのお勧めということで読んでみました。

    塩狩峠で、自らの命を犠牲にして大勢の乗客の命を救った青年の物語ということで、ハラハラドキドキの物語かと思ったら、想定とはかなり違ったお話でした。
    そりゃそうよね。本書は昭和48年の発行だし、物語の舞台は、明治時代だし...

    キリスト教の教えを中心に、生き方を語る物語

    厳格な祖母に育てられた信夫。祖母の死後、現れたのは、死んだと思っていた母親の菊と妹。
    菊はクリスチャン故に祖母から家を追い出されていた。
    そして、信夫の親友となる吉川、その妹ののぶ子
    キリスト教との出会い、当初は毛嫌いしながらも、その気持ちが変わっていきます。

    同僚への献身的な思い。信仰。そして、のぶ子への愛
    正直、この人、崇高すぎてついていけない。

    そして、驚愕のラストへ
    ようやくかなったのぶ子との結納に向かうその列車で、自らの命を犠牲にして、他人を救うのか?
    とても、重く切ない

  • ダメ母の私は、娘の読書感想文を書く為にこの本を購入して読んでみた。

    課題作品だから仕方なく、、、だったが、、、

    これは娘にお礼を言いたくなる程の良書!
    あっという間に物語の世界に引きずりこまれ、没頭してしまう。

    主人公、永野信夫の生涯を丁寧に描いている壮絶、壮大な物語。そしてその誠実な人柄には、読み手の気持ちがぐっと掴まれてしまう。

    身分や宗教、病気など日常繰り返される差別を色々な方向から映しだしている。

    学ぶべき点が多く、読後の感動も半端ない!

    何でこんな良い作品を知らなかったのだろう?

    是非前面平積みで売って欲しい!そんな素敵な作品だった。

    この本に巡り合わせてくれてありがとう。読書感想文のおかげですm(_ _)m

  • 主人公の信夫は厳格な祖母の影響を受け育つ。一方、母はキリスト教の信者であり、祖母との確執で会えない状態。父親が未だ母親と会って娘を作っていたことを知った祖母の死、その後、両親、妹と暮らす信夫だったが、父親の死によって、死への恐怖感を実感する。信夫は自然に生命、女性、愛、信仰についてストイックに考える。病気で身体が不自由なふじ子への愛を貫く覚悟をする。幼少時には明朗活発で親しみやすい信夫が、信仰にのめり込むに従い、徐々にストイックさを増して、信夫の魅力がなくなっていったと感じたてしまった。うーん、残念。

  • 昭和43年に刊行された、明治時代のお話。
    読み始めは表現や時代の古さになじめないところはあったけど、すぐに慣れてぐいぐい引き込まれた。
    キリスト教について、深く考えたことが無かったし接点もなかったけど、この小説を読んでもっと深く知ってみたいと思った。
    信夫のようには生きられないけど、少しでも恥ずかしくない生き方をしたいと思った。

    それにしても、50年以上前の作品が今だに売れている、読まれているのはすごい。読んでみて納得したけど。

  • 先日、北海道で暴風雪の中53歳の男性が亡くなられた。最愛の娘を守るよう10時間抱き続けて・・・父の必死の思いと引き換えに娘の命は救われた。

    親が子を、また愛する人を守るため、自らが犠牲になったケースはある。しかし、見ず知らずの人の命を守るために死を覚悟できる人間はそう多くはないと思う。

    この小説は長野政雄さんという実在の人物をモデルに描かれている。
    1909年2月28日、塩狩峠に差し掛かった列車の最後尾の連結器が外れて客車が暴走しかけたところ、当時鉄道院(国鉄の前身)職員でありキリスト教徒であった長野政雄(ながの まさお)さんが列車に身を投げ、客車の下敷きとなり(自らの肉体をブレーキにして)乗客の命が救われたという事故が起こった。

    実際の長野氏が「塩狩峠」の主人公 永野信夫のように結納に向かう際に事故にあったのかどうかは分からない。
    信夫がキリスト教徒になる大きなきっかけとして描かれる親友吉川の妹 ふじ子。肺病と脊椎カリエスで長年臥せており、しかも長年結婚を待ってくれた婚約者の存在・・・このエピソードからも、ふじ子のモデルは三浦さん自身で間違いないだろう。

    キリスト教徒がヤソと嫌われることがまだ多かった時代、母と祖母の間の宗教観をめぐる確執・・・最初はキリスト教に反感を覚えながらも不思議と信仰を深めていく信夫。

    宗教的なカラーが濃すぎる、と敬遠するきらいもあるが長野氏の行いの尊さに当時の人々は胸を打たれただろう。
    ひとりの人間の生涯を、後世にまで知らしめる。
    そういう意味でこの小説の持つ意味は大きいと感じた。

  • 三浦綾子『塩狩峠』。
    一度読まないと、と思っていた作品。

    祖母・トセの影響からキリスト教嫌いだった永野信夫。トセから亡くなったと聞かされていた母・菊だったが、父・貞行が菊と別れることができず、別のところに家庭を設け、妹・待子も設けていた…
    真実を知り、母・菊にもキリスト教にも反感を覚える信夫だったが…
    小学生時代からの親友・吉川の住む札幌に移り住んで、吉川の妹・ふじ子と再会し、ふじ子が肺病とカリエスに侵されてながらも…

    信夫は本当に純粋でまっすぐな人間だった。
    祖母・トセの教えを守り、親友・吉川との約束を守り、お坊さんになろうとしたり、他人の給料を盗んだ同僚・三堀の救おうとしたり…
    トセの教えも当時であれば間違いではないが…
    キリスト教とは正反対の教えだった。
    そんな信夫だからこそ、キリスト教や母・菊に反感を持ってしまうのも当然だろう。が、優しい人間だけにそれを言葉に出してしまえない。
    苦しい時であったであろう。

    ふじ子を待ち続ける信夫。
    そこまでできるだろうか…

    自らを犠牲にして、他の乗客を助けることができるだろうか…
    それを目の当たりにした三堀の人間性まで変えてしまうのだから。

    ふじ子が不憫でならない。お互い待ち続けたにもかかわらず、このような結末になって…

    『塩狩峠』という題名にもかかわらず、『塩狩峠』の場面、信夫の決死の行動の記述は…
    ちょっとがっかり。

  • ずっと以前に、氷点を読んだ時に、三浦綾子の代表作は塩狩峠だと言われたことがあった。
    気になってはいたがそのまま読まずにいた。
    書店へいったら、目立つところに置いてあったので購入し読んでみた。
    これほどまでに、重く深い小説を読んだのは
    初めての様な気がする。
    その中の一つをあげると
    愛とは、自分の大事なものを人にやってしまうこと。
    その大事なものとは、命ではないか。
    三浦さんはキリスト教の伝道師、
    私は、キリスト教ではないので、とうてい真似できないが、なるほどと思った。
    また、この作品は人間の心の奥深いところをよく捉えている。

  • 三浦綾子と言えば、最も有名な著作は「氷点」だと思う。かく言う自分も、まず氷点を読んだ。

    それから、ツイッターで「塩狩峠」の名前を見るようになった。例えば、「名刺代わりの小説10選」みたいな。読書系のハッシュタグツイートで、しばしば目にした。

    気になって購入。自分にとっては氷点以来、2作目の三浦綾子となった。

    「塩狩峠」の時代設定は明治時代。読みながら、昔の人たちのシンプルな生き様、シンプルな人生が少し羨ましくなった。

    そんなシンプルな時代において、主人公の信夫が少年から大人になっていく。その過程では、身近な人の死、病気、罪などを目の当たりにする。

    その度に、信夫はキリスト教の信徒や教えに触れる。そして読者もまた、キリスト教の教えや教義について自然と触れることができる。

    給料泥棒をした同僚の三堀の許しを乞うため、上司に土下座をした信夫の姿には、不覚にも泣きそうになった。

    信夫の遺書より、「苦楽生死、均しく感謝」という言葉が気に入った。自分もこんな境地に至れたら、と思った。

    ただ一点。結核で「びっこ」のふじ子に対する周りの差別発言があまりに酷すぎた。時代、なのかもしれない。そんな時代の空気感を学べた、という意味では読書の醍醐味とも言えるけど。

    あと、細かいけど、信夫が読書の癖がいい。書籍を手に乗せて、その重みを味わうという。真似してみたいと思わされた。

    総評としては、悪くなかった。キリスト教小説として、重くなりすぎずにライトに読めてしまう。氷点が傑作なら、塩狩峠は良作かな。

    (書評ブログも書いてます。よかったらそちらもどうぞ)
    https://www.everyday-book-reviews.com/entry/%E8%8B%A6%E6%A5%BD%E7%94%9F%E6%AD%BB%E3%80%81%E5%9D%87%E3%81%97%E3%81%8F%E6%84%9F%E8%AC%9D_%E5%A1%A9%E7%8B%A9%E5%B3%A0_%E4%B8%89%E6%B5%A6%E7%B6%BE%E5%AD%90

全1204件中 1 - 20件を表示

この本が好きな人におすすめの本

著者プロフィール

1922年4月、北海道旭川市生まれ。1959年、三浦光世と結婚。1964年、朝日新聞の1000万円懸賞小説に『氷点』で入選し作家活動に入る。その後も『塩狩峠』『道ありき』『泥流地帯』『母』『銃口』など数多くの小説、エッセイ等を発表した。1998年、旭川市に三浦綾子記念文学館が開館。1999年10月、逝去。

「2023年 『横書き・総ルビ 氷点(下)』 で使われていた紹介文から引用しています。」

三浦綾子の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×