この土の器をも―道ありき 第2部 (新潮文庫)

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著者 : 三浦綾子
  • 新潮社 (1981年8月27日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (275ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101162041

この土の器をも―道ありき 第2部 (新潮文庫)の感想・レビュー・書評

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  • 三浦綾子先生の自伝、「道ありき」に次ぐ第二弾。
    結婚後の生活が書かれています。

    この方の作品はどれも背筋が伸びる思いがします。
    先生はもちろん、旦那様もとてつもなく素晴らしい方のようで……
    その信仰の部分で全ての選択に賛同できたわけではありませんが、ご夫婦の真摯に生きようとする様からは多くを学べると思います。
    また、小説「氷点」執筆時のエピソードなどもあり、興味深く読むことができました。

  •  三浦綾子氏の自伝の第2部である。

     結婚後、雑貨店を開き、小説「氷点」が入選するまでの話。

     充実した結婚生活を送りながら、小説を書き、雑貨店をきりもりする彼女は、夫に色々と話をしながら、時には反対されながらも自分の意志を通しながら、生活を送る。そんな中でも夫はキリスト教の信徒としてどう生活・行動すべきかの軸はぶらさない。ただ、キリストのみを信じ、信じたら疑わないのである。

     ある時、彼女が夫のお気に入りの背広をクリーニング屋に出し、それを店員が盗んで逃げたといわれる。彼女でも誰でもそう思うと思うが、弁償してもらおうと彼女は夫に言う。その時、夫は彼女をたしなめるのである。「綾子は聖書を読んでいるか。聖書にはなんと書いてある。許してやれと書いてあるだろう。いいかい、綾子、許すと言うことは、相手が過失を犯したときでなければ出来ないことなんだ。何の過ちも犯さないのに、許してやることは出来ないだろう。だから許してやりなさいよ。弁償せよ、などとは決して言ってはいけない。」人を許し、人を受け入れることは、人間誰しも容易に出来ることではない。結婚と言うものも、二人の人間が、お互いに全面的に相手を受け入れなければ成り立たないものではないか。すべてを許しあうのが結婚生活でなければならないと彼女はその時思ったのである。

     姦淫の場で捉えられた女を人々がキリストの元に連れてきたときのキリストの言葉で「あなた方の中で罪の無いものが、まずこの女に石を投げつけるがいい」と言った。当時、ユダヤでは、姦通した者は石で殺せという律法があったのだ。ここで、このキリストの言葉を聴いて、人々は一人去り、二人去りして、ついには全部去ってしまったという。本当に自分を罪ある者と思うなら、人を裁くことは出来ない。責める事は出来ない。

     彼女が物を書くについて、重要なきっかけを作ってくれた牧師に、中嶋正昭牧師と言う方がいる。その方は結婚式で司式をしたが、「結婚式をしたからといって、直ちに夫婦になったとはいえない。夫婦とは一生かかって努力しあってなるものである」と言われた。また、人間は一人では生き得ないこと、夫婦だけでいくら愛し合っていても、人の助け無しには生きてゆけないこと。上のクリーニングの話もそうであるが、「聖書の言葉は、自分の問題をひっさげて読まねばならぬ」と言う。

     また、五十嵐健治先生というクリーニング白洋舎の創立者も信徒であったが、彼女はその方とも繋がりもあり、貴重な手紙を頂いている。「人間は恵まれるときはいちばん警戒を要するときです。」と。徒然草に木登り名人の話が出ている。弟子が高いところに登っているときは、名人は黙って見ていた。だが、低い所に降りてきて、地上に近くなったときに、危ない、危ないと声をかけた。見ていた人が不思議がって尋ねると、危険なところでは、注意されなくても、自分で気をつける。けがは容易なところでする。というような返事であった。病人でも、悪いときは自分で大事にするが、治りかけはつい油断して、死んだり悪化したりする人がいるものだ。車も危険な山道より、直線で事故を多く出したりする。

  • (10.03.2016)

    道ありき•青春編に続く結婚編。三浦綾子氏は素晴らしい人脈に恵まれたなと羨ましくなる。夫である光世氏の深い愛と信仰がなければ三浦綾子という名は世に出なかったであろう。本物の結婚、夫婦、愛、そして信仰とは何なのか改めて考えさせられた。

  • 第一部「道ありき」はさすがの重みがありましたが、この第二部は仲の良い新婚夫婦の平凡な日々を描いて、ある意味では退屈、第一部の後日譚を覗きたい思いがなければ楽しめないかもしれません。
    でもこの本を読むと、筆者も特別な人間ではなく、読者と同じ、至らぬばかりの存在であったことを感じさせます。一方で、平凡な一主婦であった筆者が、雑事の合間にあれだけの大作を書き、作家としてデビューされた稀有の才能には感嘆を新たにします。

  • 過ちを犯してくれる人がいて初めて許すことができる。

    自分の生を通して何を伝えたいか

    求めるものは既に成ったと考える

    夫三浦光世氏の崇高さとそれに呼応し高め合う綾子さん、お二人ともに本当に素晴らしい生き方を体現されている。

  • 三浦綾子の人生は間違いなく神様に導かれてると思う。私の人生はどうなのだろう‥そう思える人生に、どうしたらできる?

  • 三浦綾子の自伝3部作の2作目、結婚編。第一部「道ありき」も三浦綾子氏を囲む人々の心の美しさに感動したが、本篇は病気が治り結婚してから「氷点」が入賞するまでの記録で、夫婦の在り方を考えさせられる。
    三浦光世氏の、キリスト教に根差した、綾子氏に対する深い愛情に心が洗われる。人間って(少なくとも自分は)もっと汚いものだと思っていたが、本来ここまで美しいものなのか。支えあい、補い合える人に出会い、努力しながらも幸せいっぱいな姿、日々の健康に感謝する姿勢が感動的である。
    個人的に印象に残ったのはこの部分。「子供をもうけることだけが結婚の目的だとは、わたしたちは考えていなかった。二人がお互いの人格を尊敬し合いながら、子供のいない夫婦はそれなりに、この世に果たすべき使命があると思っていた。」
    愛を受け取るだけでは幸せになれないのかなと思った。

  • 道ありき第二弾。三浦氏との新婚生活から「氷点」入選まで。長い闘病生活を経て力強く人生を歩む夫婦に、「あっ、生きるってこういうことなんだ」と学ばせていただきました。元気をもらいたいときに読む本。

  • 日々の夫婦生活や対人関係について学ばされることが多く、生活しながらこの本に書かれた言葉を思い出して過ごした。
    閉じてしまうとすぐに忘れてしまう私。その中でも一番心に刻みたい言葉は、「氷点」が朝日新聞の懸賞の一位に選ばれたとき、夫の光世さんの言った、「この土の器をも、神が用いようとし給う時には、必ず用いてくださる。自分が土の器であることを、今後決して忘れないように」という言葉。
    いろいろな意味で私には胸にささる言葉。大事にしたい。

  • 「道ありき」のインパクトが強すぎて、この本の影が薄いような気がするけど、結婚してからの三浦夫妻の生活はつつましく、じんわりあたたかいものを感じる。とくに夫の光夫氏の誠実さは驚くばかり。今、自分が本にある光夫氏の年齢に近づいてきていても、到底そうはなれやしないと思う。

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