帰りこぬ風 (新潮文庫 み 8-8)

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  • 新潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (262ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101162089

感想・レビュー・書評

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  • 日記を書いて自分自身と向き合いながらも悪い男医者に騙されていく若い女性看護師。

    本当の愛への気付きと、心からの神への祈りが同時に訪れるラスト。

    三浦綾子は日常をすくって精神世界を味わせてくれる。

  • この小説を読んで、杉井田のようなこんなにも酷い男がいるものかと思った。こんな男を好きになった主人公の女性看護師の千香子が哀れでならなかった。

  • 読んでいて、自分の考え方や、やってきたこと、数々の失敗を思い出し、恥を感じながら読みました。

  • やっばり、自分のやってることを直接言われるより、
    人のを見たほうが心にズドンとくるよね。

    反面教師が一番の勉強方法。

  • 名作

  • 人間とは何か、生きるとは何かを、平易な文章から鋭く問うてくるのは流石に三浦綾子。
    憧れの医師に純潔を奪われつつ、その男がどうしようもない男だと承知しながらも愛に溺れていく若き看護師が綴る日記という設定。
    ハイローの無い日記調の文体が、堕落していく(そしてそれに気付かない)人間の恐ろしさを感じさせる。

    しかし、注目すべきは、主人公の働く病院に入院する広川さん。私と同じ年齢でありながら達観した思想と精神的厚みを兼ね備えた彼が、めちゃめちゃかっこいい。一方で、いわゆる世間知らずのお嬢様である主人公にに恋心を抱きつつも、「心の教師」として振る舞ううちに、そのポジションから抜け出せず…といった弱さも見せる。(そこがまた人間的で良い)

    失いかけた大切なものを甦らせてくれる意欲作!

  • 共感。主人公が信仰に完全に目覚める様には描写されてないのもよかった。

  • この方の本を読むと
    少し気持ちが凛とします。

    おそらく作者がキリシタンであることが影響された文章を
    読んでいるせいかな。

    作品としては日記の形で話が進んでいきます。

    いろんな本やことわざから
    格言がたくさん出てきて
    そういうところも楽しめます。

    受け入れることより否定することのほうが
    簡単で容易なことだけど
    それは心の要領の狭さを意味するし
    受け入れることが
    いかに難しくて苦悩するものであっても
    受け入れようとしていくことで
    心が広くなっていけるように
    していきたいと思いました。

  • ナース千香子の院内恋愛日記。婚約までした医師に五股!され、揺らぎながらも真の愛を信じた末に裏切られる。患者広川の言葉を通して、人は弱く誤りもする存在であることを気づかせ、如何に生きるかを考えさせる作品。
    三浦綾子さんがこの本でいいたかったのは、他人に流されるな、本物かどうかを問え、自分を大事に、安売りするな、ということ。
    真贋を見極めることは容易ではない。基準となる自分の「真」はいつも揺らぐから。しかし自分を大事にできるようになれば揺らぐことはなくなるのだろうか。

  • 何股男を好きになってしまった看護婦の話。
    傍から見たら絶対危ないよその男!って人でも
    恋は盲目とはよく言ったものだと思う。

    広川さんが千香を諭す言葉が沁みる。
    こういう終わり方というか切り取り方の話はあまりないのでは。

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著者プロフィール

1922年4月、北海道旭川市生まれ。1959年、三浦光世と結婚。1964年、朝日新聞の1000万円懸賞小説に『氷点』で入選し作家活動に入る。その後も『塩狩峠』『道ありき』『泥流地帯』『母』『銃口』など数多くの小説、エッセイ等を発表した。1998年、旭川市に三浦綾子記念文学館が開館。1999年10月、逝去。

「2023年 『横書き・総ルビ 氷点(下)』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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