細川ガラシャ夫人(上) (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社
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本棚登録 : 808
レビュー : 93
  • Amazon.co.jp ・本 (352ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101162140

作品紹介・あらすじ

明智光秀の娘として何不自由なく育てられた玉子は、16になった時、織田信長の命令で細川忠興のもとに嫁ぐこととなった。女性が男性の所有物でしかなく、政略の道具として使われた時代に、玉子は真の人間らしい生き方を求めて行く…。実の親子も殺し合う戦国の世にあって、愛と信仰に殉じた細川ガラシャ夫人。その清らかにして熾烈な悲劇の生涯を浮き彫りにした著者初の歴史小説。

感想・レビュー・書評

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  • 今年の大河ドラマを見ていて、
    この方が気になったので読んでみました。

    三浦綾子さんの作品は「氷点」とか「塩狩峠」なんかを
    中学生くらいの時に読んだ以来でした。
    歴史小説を書いているなんてちょっと意外。

    「細川ガラシャ」夫人って名前は知っていたけど
    大名の奥様でキリシタンだった、くらいしか分からず
    どんな人生だったのか
    読んでよくわかりました。

    明智光秀の娘ということで
    なかなか大変な人生だったんですね…。
    戦国時代の大名の妻というのは
    本当に人権が無くて、
    読んでいて痛ましくなってしまいました。

    三浦綾子さんだからななのか、
    “どうして細川玉(ガラシャ)がキリシタンになったのか”
    丁寧に描かれていて
    読み応えがありました。

  •  司馬遼太郎の「胡蝶に酒」を読んで、細川ガラシャに興味を覚え、本書を読んだ。読んだのは、細川ガラシャが薄幸の運命を背負わされたキリシタン女性であったということだけではなく、「胡蝶に酒」によれば、その夫の細川忠興が妻を支配することに病的なほどであったことが描かれていたからだ。いまで言えば、忠興は手のつけようのない家庭内暴力夫であった。
     しかし、三浦綾子のこの本では、忠興は必ずしもドメスティック・バイオレンスの暴力夫としてではなく、むしろ妻への愛に溢れてはいるものの、ときにその愛の表現方法を誤る夫として同情的に描かれている。果たして、事実はどのようなものであったのか。
     なぜ三浦綾子がガラシャ夫人を主人公に小説を書こうとしたのか、よく分かるような気がする。ご本人がクリスチャンであるという理由は自明としても、もっとも弱い立場から歴史を物語りたかったのではないか。戦国時代、力と狡猾が生き残る術であった時代、一番弱い立場に置かれていたのは、何よりもまずたやすく人質の材料にされる女性であった。同じ女性でも、支配者から目の付けられやすいキリシタンは、さらに弱い立場に置かれた。底辺の底辺から時代を照らすことによって、歴史を捉え直したいというか、時代を超えた普遍的価値を捉え直したいという欲求があったのではないか。
     その価値を、三浦は明智光秀の口を借りて読者に訴えている。「よいか。人間を見る時は、その心を見るのだ。決して、顔がみにくいとか、片足が短いとか、目が見えぬなどといって嘲ってはならぬ。また、身分が低いとか、貧しいなどといって、人を卑しめてはならぬぞ、お玉。人間の価(あたい)は心にあるのじゃ」
     

  • 細川ガラシャ夫人・・・どこぞの武将の奥方で妖艶な美女、そしてキリシタンという事くらいしか知りませんでした。
    この本を読んで、細川ガラシャ夫人こと玉子は明智光秀の娘、そしてガラシャとは洗礼名グレーシアであるという事を知りました。

    20年ぶりに読み返しましたが、三浦綾子さんの文章は分かりやすくやさしいと感じました。
    歴史ものを読みなれてない私ですらスッと内容が入ってくる。
    だからといって本の内容が浅いというわけでなく、きっちりと描かれていて深く厚みのある内容。
    つらつら歴史上の出来事を書くだけでなく、反対に細川ガラシャ夫人という一人の女性だけを取り上げて書いたものではない。
    興味をひくような実話、逸話を入れて、そこに登場人物の心情も丁寧に書かれているので、興味深く読む事ができます。

    以前読んだ時もそうですが、この本を読んで印象に残ったのは、明智光秀という人となりが思っていたものと全く違ったという事です。
    この本を読むまでは、「三日天下」の愚か者、浅はかな人間という印象でしたが、軍略・知略に長け、教養もあり人民を重んじる人、また当時の武将にしては珍しく生涯側室をおかず妻一人を愛した、穏やかで思慮深い人だとこの本では書かれています。
    幼い頃の玉子が母親の顔の疱瘡の事を口にした際、普段穏やかな光秀が激しく怒り、今にも玉子を殺そうとしたという話には、どれだけ妻を愛していたかが伝わってきて感動しました。

    その光秀だけでなく、舅の藤孝も側室を生涯置かず教養人であったし、一途に玉子を思い見守った初之助といい、義弟の興元といい、彼女は優れた男性に囲まれていたのだなと思います。
    癇性で嫉妬深い夫、忠興ですら、玉子への愛情は読んでいてまぶしいほどでした。
    三年もの年月をかけて妻、玉子へ贈る手描きの百人一首を作ったという話には心打たれました。
    忠興があれほど玉子に執着したのは、彼女の美しい外見を愛でていたのもありますが、彼女がそれほど自分を愛していないと感じていたからだと私は思います。

    意外にも玉子が信仰に目覚めたのは物語の本当に後半でした。
    当時の女性としては珍しく率直に自分の意見を言い、最後まで気高さを失わなかった女性。
    そして信仰に生きて信仰に死んだ女性を見事に描ききった作品です。
    これが初めて書いた歴史小説だとは思えません。

  • 再読。ガラシャの波乱に満ちた生涯を通して、信仰に纏わる含蓄ある言葉が散りばめられた力作。とはいえ、上巻ではまだまだ人生は波立つ前。
    この本で、彼女の父である明智光秀の印象が一番変わった。敵側の意のままにはならないと死を選んだガラシャと主君の意のままにはさせないと反旗を翻した光秀、二人の生き方の根底に流れているものが、本当によく似ている。決して浅はかな人物ではなかったように思う。その光秀が、母の痘痕を笑った娘を厳しくも温かく諭す親心が印象的。
    夫の忠興が妻に贈った手づくりの百人一首にもホロリとさせられた。

  • 光秀に対するイメージが変わる。歴史は勝者側から語られると言うがその通りなのかもしれない。

  • 女性が政治的戦略や人質として扱われていた戦国時代に明智光秀の娘として生まれ、細川忠興に異常なまでの執着心を持たせたガラシャ。

    両親から愛情深く育てられた少女時代、忠興を夢中にさせた美貌、本能寺の変の後、不安の中で暮らした様子など、周囲の状況で生き方が大きく変わる当時の女性の様子に胸が詰まるようでした。

    印象に残ったのは、キリスト教に出会ってから、自分自身の傲慢さや周りを見下していた態度に気がつき、慈愛の心で満たされていくプロセスです。
    姫として生まれ育ち、嫁ぎ先でも夫の愛情を受け、周りから美しさを讃えられる中で、侍女たちとは「主人ー仕える人」という人間関係が出来上がってしまいます。

    その中で、自分のわがままや傲慢さに自分で気づいて、侍女たちへの接し方を変えるというのはなかなかできないことだと思うのです。
    自分を束縛し、側室まで作った夫・忠興に対してもより甲斐甲斐しく接しています。

    この時代、神を信じて自分のあり方を確認するというのが、心の平穏を守る方法だったのかもしれません。
    強く切ない生き方でした。
    平和な時代に生まれた幸せを改めて感じます。

  • 読みやすいし、ほろっと泣けるシーンもあり。

    明智光秀はいいイメージで語られないことも多いけど、これを読んだら印象変わるんではないかなと。
    冒頭、母親の顔の痘痕を笑ってしまう玉子に光秀が怒るシーンがすごく感動した。人の価値は中身。ホントですね

    早く下巻も読みたい!

  • うーん
    ひろ子や玉子は可愛い

  • 上巻は父明智光秀を背景にガラシャこと玉子の生い立ちを描く。三浦綾子の光秀像は秀逸。

  • 多くの作家が取り上げてきた細川ガラシャ。
    しかしやはり描き方もそれぞれで、歴史的、伝記的解釈の違いが興味深い。
    本作はガラシャの母凞子の少女時代から描き、そのルーツを丁寧に追う。父光秀についてもしかりで、なぜ本能寺の変を起こしたかを実に説得力のある筆致で描いている。
    夫である忠興の捉え方も私にとっては少し意外な部分もあり、夫への愛と信仰とが矛盾しないかたちでガラシャに染み込んでいたのが新鮮な感じであった。

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著者プロフィール

三浦 綾子(みうら あやこ)
1922年4月25日 - 1999年10月12日
北海道旭川市出身。終戦まで小学校教員を努めたが、国家と教育に対する懐疑から退職。1961年『主婦の友』募集の第1回「婦人の書いた実話」に『太陽は再び没せず』を投稿し入選。
1963年朝日新聞社による投稿した小説『氷点』が入選し、朝日新聞に同作を連載開始。1965年、同作で単行本デビュー。刊行直後にベストセラーとなり、映画化・ラジオドラマ化される代表作となる。ほか、映画化された『塩狩峠』が著名。様々な病苦と闘いながら、キリスト者として執筆を続けた。

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