嵐吹く時も 上 (新潮文庫 み 8-24)

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  • 新潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (335ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101162249

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  • 家というものが人を支配していた時代の話

    下巻に続く

  • 北海道の雑貨店の娘、志津代が主人公の物語。明治末期から大正時代の風習、人々の考え方が表立って興味深い。2023.12.10

  • 現在の沿岸バス沿線が舞台になっているお話。昔は結婚と跡継ぎはセットだったのかと考えさせられました。

  • 志津代と順平の蔵の中でのシーンが好き。
    順平が志津代を思う気持ち…尊い。。

    "金や財産は人間を育てない。いや、育てる邪魔をするかも知れない"
    はなんかわかる気がしてうぬ、、。

  • 人は罪を犯してしまういきものであり、それをどう許し受け入れるか

    この時代の生活や価値観が丁寧に描かれている。
    若干の人物像の描写にしつこさも感じるが、人の業とういものがリアルに感じられるさすがの小説だった。

  • 名作

  • 北海道、苫幌の村で唯一の雑貨屋、「かねなか」。
    その大店に長女として生を受けた志津代という女性の半生を描いた物語。

    丁寧でリアルな人物描写、自然描写に引き込まれました。
    登場人物が皆、生き生きとしている。
    賢く一本気な主人公。
    その主人公の初恋の相手で、真面目で誠実な人柄の文治。
    志津代の母で、さっぱりした性格ながら、どこか危な気な美女のふじ乃。
    温厚で包容力のある父親。
    ワガママでどこか恐いところのある弟の新太郎。
    つつましやかで賢い文治の母親。
    ・・・。
    ほんのちょっとしか登場しない人まで、一人一人がとても丁寧に描かれていて、はっきりと人物像が浮かびました。
    その中で、主人公の志津代と初恋の相手、文治があまりにまともなので、少し印象が薄く思えるほど。
    特に、志津代の母親のふじ乃は個性が強烈で、その破天荒な行動を見ていると「大丈夫なん?」とハラハラしました。
    前半は自分勝手な女性だという印象でしたが、中盤あたりで見直す場面があり、そして、ふじ乃が志津代に本心を打ち明けた場面は、私自身もハッと胸をつかれたような気になりました。
    私はいつも人に見下される立場、存在だと思っていたけど、そうじゃなかった、自分が正しいと思う事はそれだけで人を見下す事、色眼鏡で見る事にもつながるという事を一瞬にして理解する言葉でした。

    志津代と文治の二人の純愛は読んでいてじれったくなるほどですが、それだけに時を経ても変わらない真実の愛を感じました。
    また、登場人物のおかれた自然、風習、伝統行事も生き生きと描かれていて、これは何かを見て調べただけでは書けない文章だと思いました。
    ラストは少し物足りない気もしましたが、それは多分、この物語は終わっても、主人公たちの人生はずっとこれからも続いていくからだろうと思います。
    作者のあとがきを読むと、この物語の主要な人物は作者の血縁者をモデルにしているそうで、それでこんなに生き生きと描かれていたんだ・・・と納得しました。

    『いつも小説を書く度に思うことだが、人間は何と罪を犯さずには生きていけない存在であろう。誰もが罪を犯す存在であってみれば、誰もが許してもらわねば生きていけぬ存在であるとも言える。(略)人の命をいとおしむということは、人を許し、人を受け入れるという、実に重いことなのだと、私は思う。』作者のあとがきより

  • 【嵐吹く時も 上】 三浦綾子さん

    北海道苫幌村でただ一軒、日用品・雑貨から食料品まで扱う「カネナカ」。
    その「カネナカ」の娘志津代は母親に似て美しく賢しい子どもであった。

    父親の順平は温厚で人望もあり、母親のふじ乃は美しく鉄火肌の人であった。
    両親は二人で力をあわせ「カネナカ」を苫幌一の店に育て上げた。

    志津代は幼き頃より、苫幌村の宿屋「山形屋」の次男文治に思いを寄せる。
    文治もまた、志津代に思いを寄せるが、内なる思いを打ち明けることが出来ずに居た。

    ある日、順平が東京へ出かけている時、ふじ乃が行商人の増野と過ちを犯し
    新太郎を身ごもる。

    順平は新太郎が我が子で無いことを察し、志津代にカネナカを継がせるよう心に決める。
    志津代が文治を好きなことを知った順平は、いずれは彼と志津代にカネナカを継いで
    貰おうと考え、彼をカネナカに使用人として迎えようとする。

    しかし志津代に対し、素直になれない文治は順平の話を断り勉強の為に
    東京へ行ってしまう。


    思いやりの深い順平も新太郎に対してはやさしく接するコトが出来ず、
    そのコトに不満と順平へのやましさを感じるふじ乃。

    順平とふじ乃の仲も狂い始めた。


    新太郎を甘やかすふじ乃に、見るに見かねた志津代が激しく叱責し詰め寄る。
    その諍いに心を痛めた順平は急死してしまう。

    志津代とふじ乃は順平の死に衝撃を受け、自らを責める。

    順平が居なくなってもカネナカの忙しさは変わらない。
    その年の暮れ、病気で苫幌へ帰ってきていた文治はふじ乃の願いで
    カネナカで働くコトになる。



    三浦綾子さんの書く小説に出てくる主人公はいつもキレイだと思う。

    「氷点」の陽子、北原邦雄、「泥流地帯」の拓一、耕作兄弟
    「銃口」の竜太、「海嶺」の音吉
    そして、この本の志津代と文治

    清貧で、謙虚で、潔癖で、まっすぐで。。

    読んでいて心が洗われる気がします。

     

  • 6月10日 読了

  • 天売・焼尻島を眼前に望む苫幌村で商店を営む順平、ふじ乃の一人娘として生まれた志津代。幼なじみの文治に思いを寄せる志津代の幸せな生活も、天性の美貌を持つふじ乃が行商人と一夜の過ちを冒し、息子の新太郎を身篭ったことから狂い始め、それを苦にした順平は急死してしまう…。自らの祖父母をモデルに、明治・大正を生きた家族の肖像を描く、波瀾万丈の人間ドラマ。

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著者プロフィール

1922年4月、北海道旭川市生まれ。1959年、三浦光世と結婚。1964年、朝日新聞の1000万円懸賞小説に『氷点』で入選し作家活動に入る。その後も『塩狩峠』『道ありき』『泥流地帯』『母』『銃口』など数多くの小説、エッセイ等を発表した。1998年、旭川市に三浦綾子記念文学館が開館。1999年10月、逝去。

「2023年 『横書き・総ルビ 氷点(下)』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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