「死の棘」日記 (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社
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感想 : 12
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  • Amazon.co.jp ・本 (562ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101164052

作品紹介・あらすじ

思いやり深い妻が夫の不実の証拠を眼にし、狂気に苛まれ豹変する-。夫婦の絆の行き着く果てを描き、昭和52年の刊行以来読み継がれる小説『死の棘』。本書は、その背景をつぶさに記録した日記である。不安に憑かれ、夜を徹して責める妻、心身共にぎりぎりまで追いつめられ、心中の相談をもちかける夫…。小説よりも凄まじい夫婦の軌跡を記し、深い感動を呼ぶ日記文学の傑作。

感想・レビュー・書評

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  • 小説『死の棘』の始まりに呼応するように昭和29年9月30日の日記から始まり、『死の棘』の終わりに当たる昭和30年6月6日を過ぎ、その年の大晦日まで綴られている日記。小説の睡眠療法のために夫婦揃って入院し、4ヶ月を経て退院し、退院したその足で夫人の生まれ故郷に近い奄美大島の名瀬市に子供達は一足先に行っているが、家族4人で暮らす。入院中は睡眠療法や冬眠療法などを受けるも全快せずに奄美大島へ。小説よりも淡々と書かれているために逆に小説よりも壮絶な、夫婦とは何かを教えてくれる記録。

  • 著者の小説『死の棘』にえがかれることになった、著者と妻のミホとの凄惨なやりとりを記録した日記です。

    昭和29年9月から30年12月までの、1年4か月の記録ですが、毎日のように「ミホ反応する」「もつれる」といった記述があり、救いのない日々が連綿とつづいていく様子が記されています。

    『死の棘』のトシオとミホのやりとりが、現実に存在していた家庭のすがたであったことが実感され、あらためて慄然とした気持ちにさせられます。加藤陽子の「解説」に、「本文をすべて読まれてこの解説まで辿り着いた方には、心からお疲れさまといい、生還を祝したい」と記していますが、『死の棘』と同様に体力を根こそぎうばわれるような読書体験でした。

  • 両親がこれじゃあホントに子供がかわいそう。
    ちゃんと奥さんや子供達の面倒見れる父親なんだよね。優しそうな感じだし。 

    この本だけでなく、島尾敏雄著の他のものも併せて読まないとここに至った背景は理解できない。そして その後のことも気になるなら、島尾伸三のものも含めて読むと良い。伸三の妹や母親の晩年などが分かる。


  • 図書館で借りた本。写真でも分かるが島尾敏雄は長身イケメン。妻のミホは敏雄に尽くす明るい妻だったのに、夫の日記を盗み見し、浮気を知った妻は激情しやがて狂っていく。妻は夫の浮気相手への追及をやめないし、自分への愛の確認作業は永遠と続き、敏雄もやがて精神がまいってしまい夫婦揃って精神病院に入院。問題は夫妻には男女の子供がいた事に尽きる。父親の浮気から母親が狂いやがて父親までもおかしくなっていく様を家庭で見せられ続ける環境で育つ子供達。ミホは母親というより、女の性の感情が大きかったんだろうし、怖い程の深い愛情があった分の反動が狂う事に繋がる。本書は島尾敏雄の日記の文庫本。浮気で妻を狂わせてしまった贖罪の気持ちは分かるが、胸糞悪い日記でもある。

  • 貸し出し状況等、詳細情報の確認は下記URLへ
    http://libsrv02.iamas.ac.jp/jhkweb_JPN/service/open_search_ex.asp?ISBN=9784101164052

  • 『死の棘』を未読の状態で読んだ。面白かった。妻のミホだけが狂っているのかと思いきや、敏雄もたいがいだった。入院の前あたりの中盤が読んでいて一番つらい。

  • 2013/8/31F~新聞読売新聞
    相談

  • どうすれば、この表紙写真のように妻が寄り添ってくれるか勉強になった。

  • 読むに非常に時間がかかった。
    一日の日記量は少ないが、重い。
    子供2人はどんな思いだったのだろうか。
    つらい。

  • ちょうど1年前、
    この道を通った夜・・・

    つまり、ちょうど1年前に読んだのでした。

    「敏雄が浮気したのが悪いんですよ」
    と言ったら、某先生に、
    「良いとか、悪いじゃないだろう!」
    と叱られた。

    私には、分からない。

    だけど、こころがきゅっと痛む。

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著者プロフィール

1917-1986。作家。長篇『死の棘』で読売文学賞、日本文学大賞、『日の移ろい』で谷崎潤一郎賞、『魚雷艇学生』で野間文芸賞、他に日本芸術院賞などを受賞。

「2017年 『死の棘 短篇連作集』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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