俺俺 (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社
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本棚登録 : 540
レビュー : 95
  • Amazon.co.jp ・本 (352ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101164526

作品紹介・あらすじ

なりゆきでオレオレ詐欺をしてしまった俺は、気付いたら別の俺になっていた。上司も俺だし母親も俺、俺ではない俺、俺たち俺俺。俺でありすぎて、もう何が何だかわからない。増殖していく俺に耐えきれず右往左往する俺同士はやがて――。他人との違いが消えた100%の単一世界から、同調圧力が充満するストレスフルな現代社会を笑う、戦慄の「俺」小説! 大江健三郎賞受賞作。

感想・レビュー・書評

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  • 出来心から他人になりすました若い男性が、本来の自分を見失い、やがて周囲の人たちがみな自分になっていく狂気の世界を描く。

    自分が増殖し、他人との区別がつかなくなるという恐怖。最初はおふざけのSFかと思いきや、徐々にシュールで哲学的になっていく。
    映画化もされているそうだが、映像にしてしまったらコメディかホラーにしかならないと思うのだが。

  • 軽いノリから意外と深いテーマへ。
    この作家の作品は初めて読みましたが、非常に洒落た作品だと思いました。
    途中の流れはこれ必要?という点もあったけど、
    思いついた自身のテーマをドヤ顔で描き切った感じが、
    非常に好感持てました。

    秀逸です。

  • 映画をみてから興味を持って読んでみました。主人公のおれおれぶりが活字の場合、また違った勢いを伴っていて面白かったです。

  • 2013-4-9


  • なりゆきでオレオレ詐欺をしてしまう俺。
    気付くと別の俺に。上司も俺、母親も俺、俺ではない俺、俺俺。見渡す限り、俺だらけに。
    ある日、家に帰ると知らない人間、いや俺がいた。どう見ても俺にしか見えない。他人なのに俺だ。いや、俺なんだが他人だ。そして、母もそれに気づいていない。
    右も左も俺だらけ。やがて、俺が俺同士を削除し合う。肉体を切り刻み、俺同士がその人肉を食べ始める。しかし、俺が淘汰し合うとその先には...
    初めて読む著者だが、衝撃的な一作でした。
    アイデンティティの崩壊かー。荒唐無稽ではあるが、随分と哲学的というか厨二病的というか。
    精神異常犯罪者とかこんな感じだろうなと思っていたら、やはり後書きで、秋葉原無差別殺人事件の件に触れられていたな。

  •  読み終わった後に、亀梨和也が33人役を演じた映画の原作だったことを知る。
     映画の紹介をテレビで観た時はコメディというか、一種のスラップスティック的な内容かと思ったのだが、実際に原作である当書を読んでみると全然違った。
     自分と同じ自分が増殖していって、最後は削除しあうという内容なのだけれど、決してSFでもなければ、コメディでもスラップスティックでもなく、これはホラーだ。
     あるいは、自分が増殖していく世界を、単に誰かの精神世界内の話だと考えれば、全然違う世界も見えてくる。
     自分が増殖するといっても、それはドッペルゲンガー的な現象ではなく、まさに自分自身が増殖していくのだ。
     そしてラスト近くになって自分は自分を削除していく。
     このラストのカニバリズムの考え方は、安部公房の「自己犠牲」を思い出させてくれる。
     まさに「自己」を「犠牲」にして初めて見えてくる世界もある。
     結局、「自己」なんてのは相関対象である他者がいてこそ確立されるものであり、相関対象がすべて「自己」になってしまっても、結局それは「絶対的」な「自己」にはなりえない。
    「自己」なんてのはそれほどに脆弱なものなのかも知れない。
    「自分探し」とか何とか言って「現実逃避」するような甘ったれた人間がこの本を読んだら、耳が痛くて逃げ出したくなるだろう。

  • Kindle版印象としては少しダメ。期待が外れた印象。惜しい。

  • 田丸雅智さんの本と勘違いして選んでしまった(智しか合ってない)がすごくよかった。
    大江健三郎賞受賞作ですが、途中までは安倍公房って感じで結末は大江健三郎って感じ。
    現代と強く結びついているからこそ、面白いんだよな。
    文庫表紙の絵もいい。

  • 筋の展開どおりに自分の気分も動く。そうだろうな。
    家族同僚関係会話とりあえず別のも読もうと

  • タイトルに釣られて購入。ドタバタナンセンス(往年の筒井康隆作品)を想像していたが、後半からは哲学的SFのような印象。社会で人間関係を構築する時、周囲の人間に対する同調・敵対などの感情は、所詮「俺」の中に全て包括されているのではないかということを教えてくれた。『崩壊』以降は増殖した「俺たち」の削除から逃れる「俺」の行動が、畳み掛けるように進行しスピード感が増す。物語の舞台は東京・埼玉が中心だが、カバーイラストは何となく大坂をイメージさせた。

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著者プロフィール

星野智幸(ほしの ともゆき)
1965年ロサンゼルス生まれ。東京都立戸山高等学校、早稲田大学第一文学部文芸専修をそれぞれ卒業後、産経新聞社記者に。1991年産経新聞社を退職、1991年から1992年、1994年から1995年の間、メキシコに留学。1996年から2000年まで、字幕翻訳を手がけていた。
1997年「最後の吐息」で文藝賞を受賞しデビュー。『目覚めよと人魚は歌う』で三島由紀夫賞、『ファンタジスタ』で野間文芸新人賞、『俺俺』で大江健三郎賞、『夜は終わらない』で読売文学賞、『焰』で谷崎潤一郎賞をそれぞれ受賞している。

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