- Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
- / ISBN・EAN: 9784101164717
作品紹介・あらすじ
春が来れば花が咲き虫が集う-当たり前?でもどうやって彼らは春を知るのでしょう?鳥も植物も虫も、生き物たちは皆それぞれの方法で三寒四温を積算し、季節を計っています。そして植物は毎年ほぼ同じ高さに花をつけ、虫は時期を合わせて目を覚まし、それを見つけます。自然界の不思議には驚くばかりです。日本を代表する動物行動学者による、発見に充ちたエッセイ集。
感想・レビュー・書評
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ブックオフで購入本
タイトルの素敵さに衝動買い。
動物行動学者さんによる優しさあふれるエッセイ。
鳥や虫たちの不思議にむむむっとなりました。
モンシロチョウのサナギってフレキシブル対応なんだ〜
蝶は、体を温め 外気温プラス5度で活動するんだ〜
ゴキブリの触覚フラフラ歩きは、食べ物探すためで、行き当たりばったりだけど、それで1日を終えるという充実した日々を過ごしてるんだ〜
虫が灯りに突っ込むのは、人間の罪だなぁ〜
とか、なるほどが満載。
そして、緑いっぱい自然いっぱいっていうけど、それって雑草や害虫を排除した人工物だよね、よく考えてみてって、チクリと問題提起も絶妙。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
動物行動学者の好奇心にあふれたエッセイ集。
身のまわりの植物や昆虫に対する、著者の眼差しのあたたかさと鋭さを両方とも感じることができます。
特に印象的だったのは「自然との共生」についての文章です。(「幻想の標語」「人里とエコトーン」)
そもそも自然とは果てしない競争と闘いの場である。
人間は住みやすい環境を守るために雑草や虫を追い払うけれど、植物や虫は子孫を残すため追い払われてもまた巻き返してくる。
そのように、人間のロジックと自然のロジックがせめぎ合うところが人里であり、その状態こそ「自然との共生」なのではないか、と著者は述べています。
そう考えると、里山の景色がなんだか違ったように見えてくるから不思議です。
また、表題作にもなっている「春の数えかた」もおもしろかったです。
生物はどのようにして春が来たことを知るのだろう?
たった5ページのエッセイとは思えない、わくわく感を味わうことができました。-
すずめさん、こんにちは♪お久しぶりです。
この本はだいぶ前に読んだのですが、大変面白く
読んだことを覚えています。
ヒントを得てブログ...すずめさん、こんにちは♪お久しぶりです。
この本はだいぶ前に読んだのですが、大変面白く
読んだことを覚えています。
ヒントを得てブログ記事にしたものもいくつかありまして(笑)。
で、レビューとは関係ないのですが、「ちいさなつづら」というタイトルは
安房直子さんの作品からとられたのでしょうか?
変なことを聞いてすみません。
作品集の中で殊に好きな一編なのです。
すずめさんと同じだったら嬉しいなぁと。2015/09/04 -
nejidonさん、ご無沙汰しております!
コメントありがとうございます。
日高さんのエッセイは科学者の目線とわくわく感を同時に味わえる...nejidonさん、ご無沙汰しております!
コメントありがとうございます。
日高さんのエッセイは科学者の目線とわくわく感を同時に味わえるのが魅力ですね。
「ちいさなつづら」は残念ながら安房直子さんの作品ではありません…。
HNすずめ→すずめのお宿→宝物の入ったちいさなつづら…というイメージでつけたタイトルです。
「小さなつづら」は安房直子コレクションの3巻に収録されているとのこと。(nejidonさんはこちらのコレクションをお持ちなのですね!)読んだことはないのですが、nejidonさんの"殊に好きな一編"とのことで読む楽しみが高まりました。
ぜひ読んでみたいと思います!2015/09/04
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日高先生は虫や植物と目線を合わせてお話されてるんだなぁ。そして、それらを何にも知らないわたしのような読者へ、とても分かりやすく教えてくださる。
時にはユーモアたっぷりに。
例えば、クジャクのどんなオスがメスにとって魅力的なのかの問いには
“どの動物でも、メスはいつも、オスの数ではなく、より良いオスを求めている。人間の女も無意識のうちに同じことをしているのだと考えれば、奥さんたちのおしゃれもファッションも理解できる。”
例えば、ゴビ砂漠の60度はあるだろう熱砂の上で、熱さにやられた虫を探しているときには、
“虫が死ぬか、自分が死ぬか、ギリギリの限界で生きているアリたちにぼくは心を打たれた。”
大変な状況なのにクスリと笑ってしまう。
このエッセイ集は、幼稚園から子どもがカエルや干からびたミミズやらを持って帰ってきて、ギャーッ!!となってしまうお母さんでも、大丈夫なお話ばかり。 笑
でも時には、人間と自然や動植物との関わり方について、戒めておられる。
“かつてはかなり正しい選択であったことも、時間とともに意義が変わってしまう。人間は正しいことばかりできるわけではない。まずい点に気がついたら、面子や責任にこだわらず、そのときどきで修正していくべきなのだ”
これって、現代の様々な問題にも対処できる考え方じゃないかな。
一番印象的だったのは、
“発育限界温度も有効積算温量の一定値も、生きものの種によってちがっている。それは長い歴史の間に、それぞれの種に固有に定まってきたものだ。生きものの種がちがえば、春のくる日もちがうのである。”
人間だけが、例えば赤ちゃんの成長一つとっても、他人と比べ焦り、出来た出来ないと一喜一憂して、何かにつけ遅いことに不安を持ち苛立ったりしているのではないかな。
ちゃんと、ちゃんと、春は来るんだよ。
その子にあった春がちゃんとあるんだよって言ってもらっているようで、何だかジンと目頭が熱くなってしまったのだ。 -
花も、虫も、人も、それぞれの時を生きている、と噛みしめる。それはなんと素晴らしい営みか!
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人の世に疲れたときは、こういった生物学方面の本を読むとほっとする。
人間以外の生物は、厳しく荒々しくむきつけに生きている。
人間は簡単に「動物を見習うべき」なんてことを言うけれど、とうてい無理だと思う。まあだいたいそういうことを言う時は、人間に都合のいい面だけを取り上げているものなのだけれども。
この本はエッセイなので、いろんな事象についての日高先生の思いが書かれているにとどまっている。ここから先が面白いんだよなあ。
それにしても、植物と昆虫のせめぎあいは実に凄まじい。
もう亡くなってしまったのが改めて残念だ。 -
生きものひとつひとつが、愛おしくなる本。
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先月桜が咲き始めたころに品川エキュートの中の本屋さんで見つけて読んだんだけど、久しぶりに心穏やかにこんな草の匂いがする本を読めました。滋賀県立大学の元学長日高先生の本。
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春の数えかたというタイトルに魅せられました。
同じ高さにそろえて咲かせている花たち、鳥や虫たちが季節を知る方法、自然界の不思議がいっぱいつまった素敵な作品です。
著者の作品にこれからも、触れて行こうと思います。 -
「春が来れば花が咲き虫が集う―当たり前?でもどうやって彼らは春を知るのでしょう?鳥も植物も虫も、生き物たちは皆それぞれの方法で三寒四温を積算し、季節を計っています。そして植物は毎年ほぼ同じ高さに花をつけ、虫は時期を合わせて目を覚まし、それを見つけます。自然界の不思議には驚くばかりです。日本を代表する動物行動学者による、発見に充ちたエッセイ集。」
目次
春を探しに
赤の女王
動物行動学としてのファッション
ボディーガードを呼ぶ植物
カタクリとギフチョウ
ホタル
夏のコオロギ
植物と虫の闘い
八月のモンゴルにて
シャワー〔ほか〕
著者等紹介
日高敏隆[ヒダカトシタカ]
1930(昭和5)年、東京生れ。東京大学理学部動物学科卒業。東京農工大学、京都大学教授、滋賀県立大学学長を経て、総合地球環境学研究所所長。2001(平成13)年『春の数えかた』で日本エッセイスト・クラブ賞を受賞