人間はどこまで動物か (新潮文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (238ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101164724

感想・レビュー・書評

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  • 一科学者の社会へのまなざしがわかります。文系人間の私が、理系の考えを知ろうとするきっかけとなりました。 (あなたの一冊:北海道大学文学研究院教授 佐々木亨教授よりメッセージ)

    「分かりやすくて(役に立つことばかり)学んでいると、新鮮な驚き、冴えた発想、知的な喜びは生まれない」私自身本当にそう感じる。筆者の謙虚さにも似た探求心が各章に記されている。「科学」という言葉の魔術性、現在の「基礎知識・専門知識」偏向への疑問、大学の役割まで、動物生態についてだけではない論点が多く盛り込まれている。”ああ、また分からないことが増えてしまった・・・”である。(ちいさな帆)

  • 動物昆虫植物を知れば知るほど、人間とのあまりの違いに驚きが増す。しかしそれと同時にどんどん彼らが身近に感じてくる。
    人間の色眼鏡を取り去るのは難しいが、この本は眼鏡拭きの役割をしてくれた。小さい頃、庭の中央に咲いたポピーが翌日父親に抜かれていてとても悲しかったことを思い出した。

  • P172 昆虫の飛ぶ仕組み

  • タイトルに惹かれて読んだが、動物学の話が大半でこのタイトルの内容について深く掘り下げているというわけではなかった。
    ただ、農業が人間の原罪だという発想は大変面白い。確かに農業や牧畜ができてしまったことが人間をここまで発展させる要因になっていたわけだし、それがなければここまで生態系のバランスは崩れていなかっただろう。

  • 日本の動物行動学の第一人者が新潮社のPR誌『波』に連載したエッセイをまとめ、文庫化したものである。
    著者は、1982年に設立された日本動物行動学会の初代会長で、『春の数え方』で日本エッセイスト・クラブ賞(2001年)を受賞しているほか、コンラート・ローレンツによる世界的名著『ソロモンの指環』やリチャード・ドーキンスのベストセラー『利己的な遺伝子』の翻訳を手掛けている。
    40篇のエッセイでは、生存戦略などの昆虫の様々な生態、タヌキの子育て、外来生物、花粉症などの自然や動植物に関するテーマから、自らが学長を務めた琵琶湖畔の滋賀県立大学の建設と自然の問題や教育などについて、ユーモアを交えて語られており、読み易い。
    書名である「人間はどこまで動物か」と題する一篇では、「人は、「イヌはどこまでネコか?」という問いを発することはない。それは人々が無意識のうちに、イヌとネコはまったく違う動物であることを知っているからである。・・・それなのに人は、なぜ「人間はどこまで動物か?」と問い続けるのだろう?そこには常に一本のスケールの上での到達度を問題にしようとする近代の発想の呪縛があるようにしか思えない」と、近代の人間の(動物学の分野に留まらない)あらゆるものの捉え方に対して強い疑問を呈している。
    (2014年1月了)

  • 穏やかな筆致で動物たちの行動原理を説くとこによりヒトの生き方を鋭くえぐる。
    ショウジョウバエの一節などは目が覚めた思いで読ませて頂いた。
    グラスに小バエがとまった、という私なら「邪魔だ!シッシッ!」で終わる日常のひとコマを豊かに広く展開していく。

    単に話が面白いにとどまらず、知性の意義を考えさせてくれた一冊。

  • 普段、花を見ても虫を見てもなんとも思わない。そのなかでも蜂やゴキブリがいれば逃げるし、夏の暑い時期の蚊や蝉はとても鬱陶しく思う。
    そんな思いでしか見ることのできなかった植物や動物、虫たちに対するきもちが、本書を読んで少し変わったように思う。
    蝶の話し。 モンシロチョウの翅とアゲハチョウの翅の違いなんて、考えたこともない。この本を読まなければ、この先ずっと知りたいとも思わなかっただろうことがたくさん綴られている。そうだったのかと驚くことばかり。
    人間には計り知れない、動植物、昆虫たちの生活や生き方が、筆者の自然に対する謙虚な姿勢と共に綴られたエッセイ集です。

  • 動物行動学者によるエッセイ集。セミの泣き声や、秋に舞うチョウ、タヌキのオスの子育てといった生き物の行動の「なぜ」をユーモアを交えて解き明かしている。飽くことのない好奇心と観察者としての冷静な視点、それでいて観察対象である生き物への愛情を感じる。
    気軽に読めて詩情のある文章なので、少し疲れた夜にゆっくりしたいときにお勧めです。

  • ホタルが光り、蝉が鳴き、蚊柱が立つのはなぜ?―すべて、より効率的に配偶者と出会おうとする、彼らの合理的で賢い戦略なのです。生き物は皆、生き延びて子孫を残すというのが人生の大目標。動物行動学の第一人者が、一見不思議に見える自然界の営みを、ユーモアたっぷりに解き明かします。私たち人間も、しっかり自然を見据えれば、本当の生き方が見えてくるかもしれません。

    動物行動学者の日高敏隆先生のエッセイ集です。昆虫、植物、動物の生態について、日高さんの研究実績や普段の生活での経験がユーモアを交えて語られます。タヌキの子育て、蝶、セミ、琵琶湖、川、雑草・・・人間とテーマは幅広く、どれに対しても暖かで、それでいてしたたかな日高さんの考えが感じられます。ところどころに、「文化」を産み出し共に生きることによって人間は成功裡に生きてきたが、それは自然との対決の上に生まれたものであり、対決している自然からはつねに反作用があり、人間誕生当初から対立は続いている、という持論も展開され、読者としても考えさせらるところもありました。声高に環境保護を叫ぶのではなく、静かに警鐘を鳴らす、そんな日高先生の人柄がにじむ一冊でした。

  • (推薦者コメント)
    人間、つまり「ヒト」は、何が人間であって、何が動物なのか。「ヒト」という生物の種は、どこまで動物なのか、動物でないのか。そんなことを考えたことがある“ヒト”なら、おすすめできる本。

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著者プロフィール

【訳者】 日高敏隆 (ひだか・としたか)
1930年生まれ。京都大学名誉教授。2009年歿。

「2018年 『利己的な遺伝子 40周年記念版』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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