- Amazon.co.jp ・本 (238ページ)
- / ISBN・EAN: 9784101164724
感想・レビュー・書評
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「ホタルが光り、蝉が鳴き、蚊柱が立つのはなぜ?―すべて、より効率的に配偶者と出会おうとする、彼らの合理的で賢い戦略なのです。生き物は皆、生き延びて子孫を残すというのが人生の大目標。動物行動学の第一人者が、一見不思議に見える自然界の営みを、ユーモアたっぷりに解き明かします。私たち人間も、しっかり自然を見据えれば、本当の生き方が見えてくるかもしれません。」
目次
町の音
琵琶湖の風
ギフチョウ・カタクリ・カンアオイ
犬上川
ショウジョウバエの季節
八月の黒いアゲハたち
セミの声聞きくらべ
秋のチョウ
真冬のツチハンミョウ
冬の草たち〔ほか〕
著者等紹介
日高敏隆[ヒダカトシタカ]
1930(昭和5)年、東京生れ。東京大学理学部動物学科卒業。東京農工大学、京都大学教授、滋賀県立大学学長を経て、現在は総合地球環境学研究所所長。2001(平成13)年『春の数えかた』で日本エッセイスト・クラブ賞を受賞詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
ドーキンスの「利己的な遺伝子」、ユクスキュルの「生物から見た世界」の翻訳などで有名な動物行動学者によるエッセイ集。
人間を、自然を超越した特別な存在と見ることなく、等身大の視点から見た生物の世界を感じることができました。 -
虫の世界をみてきた方の視点
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矢倉紀子先生 おすすめ
36【教養】460.49-H -
一科学者の社会へのまなざしがわかります。文系人間の私が、理系の考えを知ろうとするきっかけとなりました。 (あなたの一冊:北海道大学文学研究院 佐々木亨先生よりメッセージ)
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「分かりやすくて(役に立つことばかり)学んでいると、新鮮な驚き、冴えた発想、知的な喜びは生まれない」私自身本当にそう感じる。筆者の謙虚さにも似た探求心が各章に記されている。「科学」という言葉の魔術性、現在の「基礎知識・専門知識」偏向への疑問、大学の役割まで、動物生態についてだけではない論点が多く盛り込まれている。”ああ、また分からないことが増えてしまった・・・”である。(ちいさな帆) -
動物昆虫植物を知れば知るほど、人間とのあまりの違いに驚きが増す。しかしそれと同時にどんどん彼らが身近に感じてくる。
人間の色眼鏡を取り去るのは難しいが、この本は眼鏡拭きの役割をしてくれた。小さい頃、庭の中央に咲いたポピーが翌日父親に抜かれていてとても悲しかったことを思い出した。 -
P172 昆虫の飛ぶ仕組み
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タイトルに惹かれて読んだが、動物学の話が大半でこのタイトルの内容について深く掘り下げているというわけではなかった。
ただ、農業が人間の原罪だという発想は大変面白い。確かに農業や牧畜ができてしまったことが人間をここまで発展させる要因になっていたわけだし、それがなければここまで生態系のバランスは崩れていなかっただろう。 -
日本の動物行動学の第一人者が新潮社のPR誌『波』に連載したエッセイをまとめ、文庫化したものである。
著者は、1982年に設立された日本動物行動学会の初代会長で、『春の数え方』で日本エッセイスト・クラブ賞(2001年)を受賞しているほか、コンラート・ローレンツによる世界的名著『ソロモンの指環』やリチャード・ドーキンスのベストセラー『利己的な遺伝子』の翻訳を手掛けている。
40篇のエッセイでは、生存戦略などの昆虫の様々な生態、タヌキの子育て、外来生物、花粉症などの自然や動植物に関するテーマから、自らが学長を務めた琵琶湖畔の滋賀県立大学の建設と自然の問題や教育などについて、ユーモアを交えて語られており、読み易い。
書名である「人間はどこまで動物か」と題する一篇では、「人は、「イヌはどこまでネコか?」という問いを発することはない。それは人々が無意識のうちに、イヌとネコはまったく違う動物であることを知っているからである。・・・それなのに人は、なぜ「人間はどこまで動物か?」と問い続けるのだろう?そこには常に一本のスケールの上での到達度を問題にしようとする近代の発想の呪縛があるようにしか思えない」と、近代の人間の(動物学の分野に留まらない)あらゆるものの捉え方に対して強い疑問を呈している。
(2014年1月了) -
穏やかな筆致で動物たちの行動原理を説くとこによりヒトの生き方を鋭くえぐる。
ショウジョウバエの一節などは目が覚めた思いで読ませて頂いた。
グラスに小バエがとまった、という私なら「邪魔だ!シッシッ!」で終わる日常のひとコマを豊かに広く展開していく。
単に話が面白いにとどまらず、知性の意義を考えさせてくれた一冊。