ネコはどうしてわがままか (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社
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感想 : 57
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  • Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101164731

作品紹介・あらすじ

飼ってもフンが見つからないドジョウのえさは?オタマジャクシを脅かすと皆一斉に逃げるのはなぜ?雌雄同体のカタツムリはなぜ交尾する?アブラムシ、ボウフラ、ムカデ…みんなみんな生き物たちの動きは不思議に満ちてます。さて、イヌは飼い主に忠実なのにネコがわがままなのは、一体なぜでしょう?動物行動学の第一人者が、ユーモアたっぷりに解き明かす自然の知恵のいろいろ。

感想・レビュー・書評

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  • 例えば、蜂、ウグイス、ドジョウ、オタマジャクシ、モグラ、カラス、カエル、カタツムリ、トンボ、セミ、ボウフラ、ヤモリ、ムササビ、イヌ、タヌキ、オオカミ、ツル、ネコなどいろいろな生き物についてのエッセイだ。著者が疑問に思ったことを、実際に実験して調べてみたり、知り合いの研究者に聞いたりとすごく実践的というか、やっぱり学者の人らしい文章だけど、なにかしみじみとした情感やちょっと人間の生き方を考えてみたくなるような深みがあって、読むのが愉しかった。解説の山下洋輔の文章もよかった。

    • nejidonさん
      goya626さん、タイトルを見ただけで嬉しくて思わずポチしてしまいました。
      私も大好きな本です。
      日高さんの語り口には生き物たちへの愛...
      goya626さん、タイトルを見ただけで嬉しくて思わずポチしてしまいました。
      私も大好きな本です。
      日高さんの語り口には生き物たちへの愛情がありますよね。
      そんな風に感じるのは自分だけと思っていたので、ちょっぴり舞い上がりました(^^♪
      2019/12/12
    • goya626さん
      nejidonさんへ
      そうそう、動物への愛情があります。それが核心ですね。
      nejidonさんへ
      そうそう、動物への愛情があります。それが核心ですね。
      2019/12/12
  • 身近な動物や昆虫の生態や知恵が、どれもユーモアたっぷりに書かれいる。

    ネコはどうしてわがままか?メスのカエルが選ぶ「いい男」の条件とは?イヌが飼い主をジッと見るのは?
    これらの何気ない、人によってはどうでもいいような疑問を、旺盛な好奇心で悉く調べ尽くす、その姿勢に感服。

    「すねる」「確かめる」「迷う」「気取る」といった人間的な行動が動物・昆虫の世界でも行われているとは感動すら覚える。

    うちのネコとは擬似親子の関係なのか?人間が呼んでも来ない。エサが欲しい時は、ニャーと呼ぶばかり。朝は寝ている頭にネコパンチしてまで起こすものの、食べたあとは勝手に寝る始末。基本的にネコは単独行動。ネコは鳴いてエサを与えられることで親を認識。そうだったのかと目から鱗。

  • 「春の数えかた」に引き続き購読。四季の『生きもの博物誌』は、四季ごとの生きものたちの生態を並べたもの。1篇ごとに昆虫や爬虫類、鳥や動物についての書かれている。文章量とスタイルが決まっていて、スイスイ読める。
    自分の遺伝子を残すためにオスはメスに選んでもらわないといけない。だから、選択権はメスにある。うるさく鳴くカエル。着飾る孔雀。角を誇る鹿。
    なるほどオスは懸命なんだ。
    後編はすねたり、気取ったりする動物たちの生態。オスに見られていることを意識しながら、気付いていないふりをしながら、ちらちら見るメスの鳥。ホント人間に似ている。我々もやはり動物ということか。

    あとがきは友人であるジャズピアニスト、山下洋輔氏。ちょと得をしたカナ。

  • 2012/12/18読了。動物行動学の研究者による、生き物エッセイ。
    猫好きなのでタイトルに惹かれて購入。内容は、猫のことはほんのちょっとだったけれど、虫や魚や鳥などなどいろんな生き物の知られざる習性が紹介されていて、生き物好きにはたまらない一冊。

    雌は何によって雄を選ぶのか。進化とはなにか。シンプルなようでいて奥が深い。生き物の「なぜ?」は、解明されていないことがまだまだ沢山あるんですね。わくわくします。

    もう一度、大学に通えるとしたら、動物行動学を勉強してみたい。
    現役大学生のときも、ほんとは動物系の生物学をやりたかったんだけど、成績が足りなかったんだったなぁ…。

  •  猫はツンデレだ、などと言われることがある。犬はあんなにも飼い主に忠実なのに、ネコはどうしてわがままなのか。
     この本は、そんな生き物達の様々な不思議な行動の謎を解き明かした、傑作随筆である。紹介されている生き物達は、蜂などの昆虫から雀、表題の猫など多岐に渡る。
     著者の日高敏隆さんは動物行動学(エソロジー)の泰斗であり、その分野のこの国における草分け的存在と言える。この他にも様々な一般向けの啓蒙書を書いており、また、ローレンツの「ソロモンの指輪」やドーキンスの「利己的な遺伝子」など海外の名著の翻訳などもしている。
     そんな一流の学者が書いた本である。面白くないわけがない。読んでいる途中は終始関心のしっぱなし。読んだ後は、生き物達への見方が変わる。一つの生き物に割いているページが4ページ(内1ページは挿絵)となっており、気軽に読める所も長所である。
     日高さんは2009年に残念ながら亡くなられたそうだが、私は今更ながらこの人にハマってしまった。急いで他の著作も探してこよう。

  • 日本の動物行動学の第一人者であられた日高敏隆先生が、楽しくわかりやすく動物たちの行動について書かれています。

    本書あとがきで日高先生はご自身で「どうやらぼくは、かなり昔から生きものたちの、どっちだっていいようなことが気になってしまうような性だったらしい」と仰っていますが、その研究から発見された生き物たちの性質の面白いこと!
    動物たちが生き残り、子孫を残すために独自に獲得していった行動様式に、目が丸くなりっぱなしでした。

    特に動物たちの求愛行動のバリエーションが興味深かったです。
    タガメのメスの"悪女"っぷりに、目を白黒させてしまいました…

  • 動物行動学のセンセの面白いお話。利己的な遺伝子が好きなら楽しめると思います

  • 軽く読める本。前半、後半とそれぞれ別の雑誌に連載した小編をまとめた構成。前半は一つの生き物ごと、後半は生き物に共通する行動特性ごとに、自由に、軽やかに、そして著者の専門である動物行動学(エソロジー)からの解説や考察がまぶされていて、なるほど、と思ったり、へえ、そうなんだ、と新しい知識が得られたり、読みやすくて、面白く、大変お得な気分になる本。良書です。

  • 小さくて身近な生物たちへの、著者の温かい眼差しと愛に溢れている。

    何気なく目にする生き物たちの行動の不思議が解説されている。
    それらももちろん面白かったが、生き物たちの不思議に魅せられ、あの手この手で解明しようとする、著者をはじめとする人間たちのピュアな情熱も描かれていて、とても微笑ましく、面白かった。
    中でも、セミの鳴き声の秘密を探るために、かの有名なファーブルがセミの近くで大砲をぶっ放したという話には、思わず笑いが込み上げた。

    また、大嫌いな毛虫ですら可愛く見えてしまう、大野八生さんのシンプルでありながら温かみのあるイラストも、とても良かった。

    小中学生にぜひ読んで欲しい本。

    ☆-1は、タイトルが誤解を招きやすい(実際、ネコの本だと思って買ったら期待外れだった、との声も見られる)のと、個人的にはもう少しそれぞれの生き物について掘り下げて欲しかったため。
    タイトル自体はとても好きなので、せめてサブタイトルがあれば。

    レビュー全文
    http://preciousdays20xx.blog19.fc2.com/blog-entry-490.html

  • 物行動学者の日高先生の著作。
    いままで数冊、日高先生の作品を読みましたが、ダントツで読みやすいです。
    動物や虫の不思議な生態を、ひとつの生物につき3〜4ページほどの読みやすい文章でサクサク紹介する第一部と、
    「すねる」「きどる」「待つ」など、人間にとってごくありふれた行動をキーワードに、人間以外の動物との差異や共通点を見出す第二部の二部構成です。
    動物が人間に思えたり、逆に人間のことを動物のように感じたり、人間とそれ以外の生き物の境界線がぼやけるような感覚を味わえます。
    動物行動学の入門書にピッタリです。

    カエルはオスよりメスのほうが体が大きいことは珍しくないのですが、オーストラリアにいるカメガエルのメスは、繁殖期にきまって自分の体の70%の体重のオスを選ぶという。その理由がまた面白い。動物には動物の事情があるのだなあ。

    • workmaさん
      NOMさんへ
      ほ~(ФωФ)
      おもしろそう!!
      NOMさんへ
      ほ~(ФωФ)
      おもしろそう!!
      2022/12/23
    • NOMさん
      >workmaさん

      ぜひぜひ、おすすめですよ。
      >workmaさん

      ぜひぜひ、おすすめですよ。
      2022/12/23
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著者プロフィール

総合地球環境学研究所 所長

「2007年 『アフリカ昆虫学への招待』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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